ZBrushで制作した旧作をBlenderに全面移植、ディテールをブラッシュアップ中
先日Twitterにアップした、こちら(↓)のツィート関連。ツィートを補足してもう少し突っ込んだ話。
Blender中心のワークフローに
去年から少しずつBlender中心のワークフローに移行中です。時間がかかっているのはZBrushの過去資産が膨大にあるからです。
移行の理由は沢山ありますが、やはりBlenderのポテンシャルの高さとインターフェイスが好みであることが一番の理由。それと、最近のZBrushのアップデートの方向性に疑問と不満があることが原因です。私はZBrushは大好きですが、同じくらい不満も沢山あります。
具体的には、
・安定性の抜本的なテコ入れ、向上が見られない
・膨大なファイルになった際のサブツールの管理のしづらさ
・クロスプラットフォームに対応する気がPixologicにまったく見られない
・未だにインターフェイスがHiDPI完全対応でない
・大きいデータのハンドリング時の遅さ、不安定さ
などです。
最近のアップデートはキャッチーな新機能追加ばかりです。安定性やパフォーマンス、インターフェイスの整理など、作業に直結する基本的な部分のブラッシュアップが放置されている印象です。
それと、かれこれ10年近くLinux対応を叫び続けているユーザー達がいるものの、Pixologicには全く対応する気が見られません。ZBrushはクロスプラットフォームの開発環境Qtを使って開発されていて、Wineでも全く問題なく動きます。Linux対応は難しくないはずです。その他の3DCGアプリはクロスプラットフォームがほとんど。無料のBlenderでさえクロスプラットフォーム対応です。
そういうPixologicの方向性やZBrush自体の伸びしろに行き詰まり感やがっかり感を感じている、ということが最大の原因です。
とは言っても、過去の資産、そしてハイポリでのパフォーマンスの良さはまだZBrushにアドバンテージがあります。このくらいのハイポリデータをモリモリとスカルプト出来るのはZBrushだけでした。↓
ただ、時代は変わりました。ここ数年でBlenderのスカルプト機能が急速に進化を遂げ、ハードウェアさえ良い環境を整えれば、よほどのハイポリスカルプトでなければZBrushと同じくらいのスカルプトが可能になりました。
上記の画像データはまだ最適化前の4.2GBハイポリ状態です。BlenderはビューポートをGPUが担うので、このくらいであってもCPUにほとんど負荷をかけずにくるくると動かせます。完全CPU依存のZBrushではここにディスアドバンテージがあります。
ZBrushはハイポリのスカルプトには長けていますが、ハイポリの塊の集団を俯瞰した状態でまとめてくるくると回すことは苦手です。頻繁に視点を切り替え続けるとCPUに強い負荷がかかり、爆熱になるのはそのためです。
私の場合、いまやZBrushの良さは、
・ごく一部分の超絶ハイポリのスカルプト
・超ハイポリでのブーリアン処理の速さ
・ZRemesherでのリトポ
・Decimation Masterでの最適化
くらいになってしまいました。現在はBlenderをコアに据えて必要な部分だけZBrushを使う、というスタイルです。ZBrushの良い機能だけ取り出してBlenderのアドオンになればいいのに、とすら思ったりしてます。
Blenderの強みの一つ・レンダリング機能
Blenderの強みはレンダリング機能を実装しているところです。
よく「ZBrush作品」とか言いますが、
正直、ZBrushだけで完結しているZBrush作品はほとんどないです。
ZBrushセントラルなどでアップされている作品群を見れば分かりますが、ペインティングはサブスタンス、レンダリングはアーノルドやMayaやKeyshotなどを使っている作品がほとんどです。なので他のソフトで派手なレンダリングを施して「ZBrush作品」と謳っているのはちょっと半分詐欺な感じじゃないのかなどと私は思ったりします。ポリペイントだけでゴリゴリ塗っているなら別ですけど。
Blenderの場合これらの機能を実装しているため、「Blender作品」が作れます。何もなんでもかんでも一本で創るのが素晴らしいわけではないですが、大まかなワークフローを一本で完結出来るのは強みです。
Keyshotを捨てよ、Blenderを使おう
Pixologicの推しが強いせいか「ZBrushと言えばKeyshot」のイメージがあり、「Keyshotを購入すべきか?」と聞かれることが多いです。実は私もZBrushを使い始めた当初、その宣伝に踊らされて購入したクチです。
結論から言うと、「Keyshotは買わなくていい」
です。私も一時は使っていましたが、Blenderを使い始めてからはもう使うのをやめました。よほどの進化がない限りたぶん二度と使うことはないと思います。Blenderのレンダリング機能の方が圧倒的に良いからです。マテリアルの設定、ライティングの設定など、細かい設定が自由自在に行えます。
リアルタイムレンダリングも早く、新しく実装されたOptiXのレンダリングもGOOD。上のデータのレンダリングも、CUDA=50秒に対しOptiX=17秒で完了、と非常に優秀です。
まとめ
・Blenderはもはやプラットフォーム
・ZBrushに対する不満と期待は大きかったが過度な期待は諦めた
・最新Blenderのレンダリングは優秀。Keyshotは購入不要。
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