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身体拘束の話
身体拘束要件
厚生労働省は、身体拘束が認められる要件として以下の3つを定めている。
【切迫性】
利用者本人または他の利用者等の生命や身体が危険に晒される可能性が高い
【非代替性】
身体拘束以外に代替する介護方法がない
【一時性】
身体拘束が一時的なものであること
背景
全国の精神科病院および一般病院精神科病床の入院患者のうち、2014年に身体拘束を受けていた患者数は全国で1万682人と報告されている。2003年の患者数の約2倍にあたる数。
その理由として、認知症の増加がある。
2025年には65歳以上の認知症患者数が約700万人に増加と推計されており、高齢者のうち5人に1人が認知症となっている計算。
一方で、介護の人手不足は年々深刻化。身体拘束の廃止が困難な理由として、58.9% の施設が「介護を担当する職員が少ない」と回答したことが分かっている。
3つの身体拘束
1.スピーチロック
言葉による拘束です。「~しちゃダメ」「立ち上がらないで」「どうしてそんなことするの」といった叱責の言葉。
2.ドラッグロック
薬物の過剰投与、不適切な投与で行動を抑制することです。夜間の徘徊などを、眠剤や安定剤、泌尿器系の薬でコントロールすることなど。
3.フィジカルロック
物理的な拘束をして身体の動きを制限すること
では私に何ができるのか。
改めて身体拘束の定義を振り返り、背景を調べてみたが、この問題は各施設で働く職員自身が向き合う問題なので、身体拘束がいけないだとか、仕方ないだとか私が言うことではない。
私はとある回復期病院で働く、しがない一般看護師なのだから、その場所でできることを考える。
私の病院では、毎日10分間、身体拘束カンファレンスなるものを開いており、極力身体拘束を減らそうとする話し合いが行われている。1人の職員の考えではなく、皆の意見を聞ける。これは回復期ならではの強みなのだと思う。
また、今回スピーチロックという言葉を知り、あるエピソードを思い出した。
骨折後3ヶ月、下肢筋力低下し、車椅子で過ごす患者さんここ2日で2回尻もちついたって申し送りあり。経過記録には、床の物を拾おうとした。床のものは拾わないように説明した。と記載あり。
私「◯◯さん、ぶつけたところ痛くないですか。
患者「うふふ、大丈夫」
思考(転倒したことは覚えてるみたいだ。)
私「床のもの拾おうとしたの?」
患者(眉をひそめ小声で)「うん、まぁね。」
思考(あ、これまた悪く言われるって思ってる顔だな。)
私「◯◯さん、もしかして拾おうとしたのは他の人の迷惑になるって思ったんじゃない?」
患者「うへへ、そう。危ないなって思ったの」
私「優しい行動ですね。結果的に転倒してしまいましたが、行動自体は私は悪くないと思いますよ。ただ、まだ屈んでから立つということは時期が早すぎたんでしょうね。時期が早かっただけですから、また同じようなことがあれば人を呼んで職員を頼ると良いと思います」
患者(泣き顔)「ありがとね。」
私「リハビリまた頑張りましょ」
このエピソードを踏まえて、私は
①患者が悪いのではなく時期に着目する姿勢
②アサーティブスキルを活かして患者が納得できる説明。
=「拾わないで!」と伝えるより「頼っていいですよ」の方が伝わる。
③(エピソードとは別に)身体拘束の必要性をチームで話し合える(見直せる)環境作り
が大事なことだと思った。
ではまた明日。
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