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拒食の先にリフィーディング症候群

初めての事例

回復期病棟は主に脳血管障害や骨折、廃用症候群後にリハビリ目的で入院される方が多いが、休み明けに聞き慣れない言葉が病棟を飛び交った。
今日はその「リフィーディング症候群」について学びを投稿する。

リフィーディング症候群とは

慢性的な栄養障害がある状態に対して、急激に栄養補給を行うと発症する、代謝性の合併症。 飢餓状態が長く続いたあとに急に栄養補給されると、心不全や呼吸不全、腎不全、肝機能障害ほか多彩な症状を呈することがある。

メカニズム

人間の本来のエナジーサイクルは糖代謝を主体としている。飢餓が長期に及ぶと、代謝の主体は脂肪に移り、主要エネルギー器質がケトン体になる。同時に飢餓が進むと主要なミネラルが枯渇する。

この状況でリフィーディング(再栄養)が行われると、糖の負荷がインスリン分泌を増加させ、低血糖状態となり、インスリン活性がすすむと、血清カリウム濃度は著明に低下し、不整脈や心停止の原因となる。
さらに糖代謝に重要なビタミンB1が枯渇すると、ウェルニッケ症候群(眼性異常、運動失調、錯乱状態、低体温、昏睡)またはコルサコフ症候群(逆行性健忘、作話症)などが発症する。
また、組織酸素代謝に大きな役目を果たすリンが慢性的に枯渇している状況でインスリンサージによる細胞内導入がおこりリン消費が加速する。
多大な細胞機能障害が発生し、生体のほとんどすべての生理システムに重い影響を受ける。

治療内容(ガイドラインの1文のみ紹介。患者情報なし。)

【BMI<16あるいは2週間以上の飢餓状態の場合】

・集中治療期間は15~30mmol/3時間のリン酸を投与
・最大でも 5~10kcal/kg/24時間の栄養投与で開始し、循環モニタリングも密に行う。
・4~7日かければ必要エネルギーの全投与量が達成できる。

【5日間以上ほとんど何も食べていなかった場合】

・まず必要エネルギー/日半量の栄養投与から始め、密にモニタリングしながら徐々に増量するよう推奨されている。

看護に必要な視点

再栄養開始から1~2週間までは、リフィーディング症候群の発症リスクが続くので、血糖症状及び循環動態、呼吸状態の密な観察が必要。

今日も1日働きます;-)

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