【研究者志望の学生を応援!】 第1回 「院進相談会・学振/次世代セミナー」 開催レポート
大学院進学には不安がつきもの。研究プランはもちろんのこと、経済面やキャリア形成は学生にとって大きな悩みの種。「経済的に心配なく、研究キャリアを積んでいくには、どうしたらいいんでしょうか?」そんな服部奨学生の声を受け、第1回「院進相談会・学振/次世代セミナー」を開催しました。この春から、日本学術振興会特別研究員(DC1・DC2)、次世代研究者挑戦的研究プログラム(SPRING)に採用された4名のOBOGを講師としてお呼びして、参加者から寄せられた疑問や悩みに、1つずつ答えていただきました。
学振/次世代って?
日本学術振興会特別研究員(学振)は、その名のとおり「日本学術振興会(JSPS)」の支援制度。博士課程の学生が採用された場合、月額20万円の給与と、年間で最大150万円の科学研究費が与えられます。学振にはいくつかの区分がありますが、博士課程学生支援として位置付けられているものは「DC1」と「DC2」の2つ。DC1は、修士課程2年に応募し、博士課程進学後3年間の支援を受けることができるもの。DC2は、博士課程進学後に応募し、1年~2年間の支援を受けることができるものです。
次世代研究者挑戦的研究プログラム(次世代)は、「科学技術振興機構(JST)」の制度。こちらは採択大学によって多少の差がありますが、月額で15~20万円の生活費と、年間20~50万円の研究費が与えられます。
また近年、これらの制度に採用された博士課程学生の授業料を減免する大学も増えており、採用されれば経済的に大きな恩恵を受けることができます。
恩恵は、キャリア形成にも。学振は、制度として長い歴史をもつため、若手研究者の登竜門として学術界で広く認知されています。次世代も、比較的新しい制度ではありますが、インターンシップ支援をはじめ、採択大学ごとにさまざまな育成プロジェクトが設けられています。
学振も次世代も、多少のデメリットはありますが、博士課程学生にとって大きなメリットをもった制度になっているのです。
採用の壁:熾烈な競争と情報格差
そんな学振や次世代は、もちろん簡単に採用されるものではありません。特に学振の場合、受入大学が審査する次世代とは異なり、大学研究者等によって組織された審査委員が申請書(研究計画等を書いた願書)を評価し、採否を決定します。また、学振には全国から大勢の博士課程学生が応募するため、非常に競争率が高く、採用率は例年2割程度にとどまっています。
さらに、コロナ禍以降、学振の面接選考が廃止されたことで、これまで以上に申請書の重要度が増しています。もともと、学振申請をめぐっては、採用者を多く輩出する大学・研究室に申請書作成のノウハウが蓄積されていく一方で、採用者が少ないところは当然ノウハウが乏しく、十分な指導環境が整わないという一種の情報格差があったのですが、今後その差はいっそう開いていくものと考えられます。
セミナー開催:服部財団全体で申請者を応援!
そんななかでも、服部財団には全国の国公立大学に通う大学院生が揃っており、さらに毎年何名かの奨学生が学振に採用されています。その繋がりを活かし、研究者を目指す奨学生のステップアップを支援するべく、今回「学振/次世代セミナー」を開催し、ノウハウを共有する場を創りました。また、同時に、学部生を対象とした「院進相談会」を実施し、早いうちから各種制度の概要を知ることで、今後のキャリアプランを考える機会を設けました。
今回のセミナーには、9つの大学から様々な研究分野の学生が参加し、闊達に意見を交わす場となりました。講師OBOGには、実際に採用された申請書を挙げながら、作成の注意点をお話しいただきました。他にも、申請時点での業績数やスケジュール感、学振と次世代それぞれのメリット・デメリット、各制度の税制上の違いなど、当事者でなければ分からない質問にも丁寧に答えていただけました。
実際に、参加した奨学生からも「M1の終わりまでに第一著者の論文を発表すること、国内外の学会に参加・発表することが大きな目標になりました。これから指導教官と相談し、計画的に研究に取り組みたいと思います」という声や「私の所属する研究室は新しく設立されたばかりで、博士課程に進学している先輩はいないので、博士進学について少ししか知っていることがなかったので、本当にたくさんの知見を新たに得ることができました」という声、さらに「今回学んだ内容は研究紹介や報告書にも適用できる情報だったので、色々な場面で活用したいです」という声が寄せられており、実のある会になりました。
奨学金への応募を検討されている方へ
服部国際奨学財団は、高い目標と夢をもった志ある学生の修学を、月額10万円の給付型奨学金によって支援しています。今回ご参加くださった講師OBOGをはじめ、これまで何名もの奨学生が、日本学術振興会特別研究員、次世代研究者挑戦的研究プログラム、大学フェローシップ、卓越大学院等に採用されて財団を巣立ち、研究キャリアへの第一歩を踏み出しています。
ここ数年の募集選考では、大学院生による応募が増加しており、それに伴って採用者に占める割合も漸増しています。今後も、自らの研究によって社会を、世界を動かし、より良い未来を切り拓いていく意志をもった学生による応募を待っています。
* 2023年度・秋期奨学生募集の詳細は、追って公式HPに公開いたします。お問い合わせは、HPの問い合わせフォームからお願いしております。
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