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「名言との対話」6月18日。ジョージ・マロリー「そこにエベレストがあるから」

ジョージ・ハーバート・リー・マロリー(George Herbert Leigh Mallory 、1886年6月18日 - 1924年6月8日もしくは9日)は、イギリス登山家

イギリス人。ケンブリッジ大学を卒業。マロリーはエベレストに3度の挑戦している

1921年第一次遠征隊は偵察が目的で若手として参加。1922年第二次遠征隊では頂上アタック隊を率いた。1924年第三次遠征隊では、アンドリュー・アービンとともに 8170m地点の最終キャンプから山頂を目指したが、再びキャンプに戻ることはなかった。1999年にマロリーの遺体が発見された。登頂していたか、はいまだにわからない。

「登頂」とは何か。登頂とは生きて帰ってくることまで含むことが常識であり、マロリーが頂上登ったかどうかに関係なく、1953年にイギリス人のヒラリー卿とシェルパのテンジンが初登頂した。

当時は極地探検の時代であった。1909年の北極点到達。1911年の南極点到達。そして世界最高峰のエベレスト登頂への挑戦。イギリスを始め、世界の主要国が国の威信をかけてしのぎを削っていた「探検の時代」であった。

3回目の挑戦の前に、「なぜ、あなたはエベレストに登りたかったのか?」と問われたマロリーは「Because it's there」と答えた。日本では「なぜ山に登るのか?」という問いにし、「そこに山があるから」と訳してしまった。誤訳である。「it」は山一般を指すのではなく、世界最高峰のエベレストをさすのである。本当は「そこにエベレストがあるから」が正しい。

この「そこに山があるから」は、大学の探検部時代に聞いたことがあるが、よくわからなかった。何か哲学的な深い意味があるような議論が多かったが、もっと単純だったのだ。世を惑わす世紀の大誤訳である。

同じような誤訳は他にもある。「United nations」を日本は国際連合と訳した。本来は第二次世界大戦戦勝国連合である。拒否権という大きな権限を持つ常任理事国が米英仏露中であることが示している。ドイツや日本は敵国であるから、世界政府というような幻想は持ってはいけないのだ。

因みに「Right」は福沢諭吉は「権理」と訳すべきだとした。しかし 法律用語として「権利」となってしまった。「利」は利益である。「理」は道理だ。福沢の主張どおり訳していると世の中の風潮も違ったかもしれない。

今さらではあるが、「そこに山があるから」というマロリーの言葉は、本当の意味を離れて、常識になってしまった。

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