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「名言との対話」2月18日。岩田弐夫「平凡の凡を重ねよ、いつかは非凡になる」

岩田弐夫(いわたかずお 1910年2月18日-1992年10月22日)は、経営者。享年82。

愛知県常滑市出身。東京帝大卒。1934年東京電気(現東芝)に入社する。石坂泰三社長の秘書をつとめる。土光敏夫社長に抜擢されて専務となり、1976年には社長に就任した。

不採算部門の見直し、関連会社の経営刷新などで東芝の基盤を強化した。歯に衣きせずに直言する岩田は、部長時代には左遷されるなどの危機にも遭遇するなどの苦労もしている。岩田は、後に1988年には日本たばこ産業の初代会長に就任した。

岩田は石坂、土光など上役に恵まれた運の強さがあった。そして公平な人事を行うことで部下に慕われた。「責任者として最も大切なことは、あらゆる意味で私がないということです」。人を挙ぐるには、すべからく退くことを好むものを挙ぐるべし、である。仕事は「ちょこんと打ったり、バントしたり、フォアボールをもらったりしてに出ていくよりしょうがない」という凡人のスタイルだった。社長になってもこのスタイルで通している。

本を読む習慣が身についたのは、読書家で有名な石坂泰三社長に仕えてからだ。そして社長になってからも原書を毎日1時間読むという習慣を獲得している。(「黄金の昭和・リーダーたちの直言」http://tskeightkun.blog.fc2.com/blog-entry-6883.html)

岩田は大学を出る時、総長の祝辞で、『諸君は実社会へ出てからも、長年学校でやった外国語に10分でいいから接してもらいたい。それを続けてもらえば、やがて諸君の人生にどれだけ裨益することになるか、はかりしれないものがある』といわれたそうだ。

「何だ。たいしたことではないじゃないか。朝の十分ぐらいはジャパン・タイムスを読むよ」と思ったが、若い時代は麻雀などで実行はできなかった。部長になった頃から本を読み初めて、ようやく総長のいうことがよく理解できたという。

毎日、本を読む、外国語に短時間接するなどという、平凡で誰にでも実行できそうなことは、実はなかなかやれるものではない。知ってはいるが、実行は難しいものなのだ。知ることと行うことはべつものである。本当に若い頃から、そういう習慣があれば、前途は洋々であることは間違いがないと思う。

岩田は「平凡に徹せよ」という。そして「当たり前のことを当たり前にやる。そして、この積み重ねがホンモノとなった時、それは非凡に通ずるのです」と語る。

平凡の凡を重ねて行くと、いつしか非凡になっている自分を発見する。冒頭に掲げた「平凡の凡を重ねよ、いつかは非凡になる」という言葉は私のもっとも愛する言葉の一つだ。凡才を自覚するものにとって、勇気をもらえる至言である。この路線で行くしかない。

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