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しんどいとき助けになる音楽(53)〜 ビートルズ『アンソロジー』

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The Beatles / Best from Anthologies

ビートルズの『アンソロジー』CD全三巻(1995、96)から自分好みの曲やテイクを抜き出していい感じに並べておいたのが上記リンク。『アンソロジー』シリーズがなんであるか説明の必要はないと思います。なんだかんだいってけっこう熱心に聴いたというのが事実。

当時の新曲二つ「フリー・アズ・ア・バード」「リアル・ラヴ」も大好きだったし、いまでも聴けばいいなぁって思います。特に前者。さらに本編たる未発表テイク集についても、さがせばかなりいいものがあるぞと思うんですよね。

そのへん、発売から時間が経ってみんなが冷静に考えることができるようになったと思いますから、当時は賛否両論でしたけど、実は中身にすばらしいものも相当数まじっていたと言えるはず。ほとんどが1960年代に発売されていたオリジナル・ソングの別ヴァージョンとかですけれど。

『レット・イット・ビー』にようやく収録された「ワン・アフター・909」は、当時から言われていたようにバンドのキャリア初期にできあがっていた曲。その初期ヴァージョンが収録されているのも出来がよくて、特にノリの深いビート感なんか聴きごたえがあります。

さらに「ワン・アフター・909」はトレイン・ピースであるということで、ブルーズの伝統にのっとったものだということもわかりますし、慎重に検討すればロバート・ジョンスン「ラヴ・イン・ヴェイン・ブルーズ」の血を引くものだとはっきりしていますし、その点ではローリンズ・ストーンズとの関連も見えてきます。

アクースティック・ヴァージョンというか、お化粧をほどこす前、電気楽器もオーケストラも入っていない素朴なデモみたいなもののなかにもかなりいいものがあります。

たとえば「ワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス」「オブ・ラ・ディ、オブ・ラ・ダ」「マザー・ネイチャーズ・サン」「サムシング」など。けっこう聴きものですよ。

「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」だって「レット・イット・ビー」だってポールの意図したとおりの簡素なサウンドでのテイクがあるし、「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(リプリーズ)」のラフでワイルドな魅力もステキです。

ライヴ収録のものもふくめスタジオ演奏でも、四人の演奏力の高さだって、あるいはポールのワーカホリックぶりがバンドのキャリアを支えていたんだということだって、よくわかります。

(written 2023.11.8)

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