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とってもうれしい『ショッピング』サブスク入り 〜 井上陽水奥田民生

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井上陽水奥田民生 / ショッピング

これ、いつからサブスクに?つい数日前のお散歩ミュージックにとチョイスし、CDからインポート済みの(Apple)Musicアプリで聴こうと立ち上げて、あれっでもなんかちょっと、ジャケットが全曲で表示されるようになっているし、っていうんでSpotifyでも検索したら見つかりました。

そう、井上陽水奥田民生の『ショッピング』(1997)は稀代の傑作ですよ。どこでも見たことない意見ですが、ぼくはそう思っています。こういう音楽にここまでひどく共感するっていうのは要するに1960〜70sのクラシック・ロック的なもの(へのオマージュなんだけどこれは)が好きだからというだけの趣味ですけど。

それがサブスク(ぼくはたいていSpotify)で手軽にいつでもどこででもワン・クリック or タップで聴けるようになったというのがあまりにもうれしくて、音楽的なことはいままで二度書いてきたし、再言の必要がないわかりきった内容ですが、いまさらのように新鮮な楽しみを味わっています。

聴きながら涙と涎をたらすほど好きでたまらないというものが本作にはいくつかあります。アルバム全体が好きだけど、なかでもことさら大好きっていうものが。リリース当時からぼくにとってのNo.1は、ボートラっぽくラストに収録されている「アジアの純真」。もちろんPUFFYが初演のあれ。

陽水民生は「アジアの純真」のソングライター・コンビなんで、本人たちヴァージョンがどんだけカッコいいか、まざまざとみせつけたような格好ですね。強力なドラムスとエレキ・ギターを軸に、重心を低くしてタメの効いたノリを聴かせるバンドもヴォーカルも最高。そうそう、このアルバムは全曲人力生演奏なんです。いまでいえばオーガニック。

とにかく本人たちヴァージョンのこの「アジアの純真」のことをどんだけ愛しているか、ことばを尽くしても尽くしきれないと思うほど。これを聴きながらだったら死んでもいい。ふざけた無意味な歌詞ときわめて音楽的なメロとサウンドもいい。

そのほか民生の独壇場である5「意外な言葉」は60s的にクラシカルなギター・トリオのサウンドで(いちおうフェンダー・ローズも入っている)、特にエレキ・ギターがあまりにもカッコよくてシビレちゃう。やはり民生が歌うレッド・ツェッペリンふうの7「2500」も。

作詞でも参加の小泉今日子に提供した9「月ひとしずく」はジョージ・ハリスンの「マイ・スウィート・ロード」を意識したもので、これももおだやかでまろやかで心が落ち着きます。アクースティック・ギターのカッティングを多重してあるサウンドゆえ、このところ愛好度がどん増しな一曲ですね。

一曲一曲、終わって次の曲がはじまるまでのあいだの無音部分がしっかりとられているのもレトロ仕様というか、これ1997年の作品ですからね。クラブ系などの音楽CDで曲間のポーズをおかずどんどん連続で流れてくるのが定着していた時期です。

だから『ショッピング』を聴くと一瞬、あれっ、再生不良?と感じちゃうくらいなんですが、そのへんもサブスクでそのまま再現されています。いまや2010年代以後これだけレトロな眼差しが大流行しポジティヴにとらえられるようになって、若いミュージシャンたちがどんどんやっていますから、陽水民生の本作みたいなのに(サブスクで聴けるようになったので)もう一度日が当たってもいいと思います。

(written 2022.5.28)

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