運か、実力か 第1節VS鹿島アントラーズ

Jリーグの2021シーズンが開幕した。
清水エスパルスはアウェイで鹿島アントラーズと対戦。3-1で下し、2012年以来のカシマサッカースタジアムでの勝利を飾った。
https://www.jleague.jp/sp/match/j1/2021/022705/live

試合経過

GK 権田
DF 原、ヴァウド、鈴木、片山
MF 竹内、中村、中山
FW カルリーニョス、サンタナ、ディサロ

登録はこうだが、実際には4-4-2ないしは、ディサロと中山を入れ替えて、4-3-3の形でプレーしていた。清水は11人中7人が新加入といういつぞやのジェフを思い出させる起用。昨季の主力だった西澤と立田は、戦術か、コンディションか不明だが、ベンチにも入らず、今シーズンが昨シーズンまでと大きく違うということを感じさせた。

前半は鹿島のペースで試合が進んでいくものの、清水も始動から取り組んできた「細かく立ち位置を修正される」と噂の守備ブロックを固めて、決定的なシーンはあまり作らせない。試合を通して、シュート数は鹿島20本、清水7本と大きく差がついたが、感覚的には「鹿島そんなにシュート打ってたか」という感じで、守備ブロックは機能していたと感じた。印象に残っている鹿島の攻撃も、
・上田綺世のバイシクルからファン・アラーノが反応するもオフサイド
・エヴェラウドのヘディングシュートを権田がセーブ、こぼれ球を土居聖真がシュート、ポスト
・土居聖真がシュート、クロスバー
・CKからエヴェラウドのヘディングがクロスバー、こぼれ球を荒木遼太郎がダイレクトボレー、ゴール
上記の4シーンくらいでハイライト以上のことはなかった。
ただ、清水も奪ったボールの展開は、ディサロを経由して前線、もしくはチアゴ・サンタナに収める形が多かったが、ディサロから次のボールが通らない、チアゴ・サンタナの落としが味方と合わない、という形が多く、攻撃面ではまだまだ連携不足を感じさせた。
結果として、両チームともにあまりボックスの中に侵入してゴールに迫る機会は多くなく、鹿島は攻めてはいるものの点の入る気配はあまりない、という傍目から見ると、塩試合の様相を呈していた。

後半に入っても、大きく傾向は変わらないが、ついに鹿島がCKからゴールをこじ開ける。
「なるほど、鹿島はやっぱり強い」とこのまま試合をクローズさせられる予感も漂ったが、中村と交代で入った河井が左サイドからクロス、中央で中山が合わせるがヒットせず、前に転がったボールをチアゴ・サンタナが収め、相手DFの股を抜く技ありのシュートで同点。勢いそのままに、左サイドのカルリーニョスのインスイングのクロスにこれまたディサロと交代で入った後藤が飛び込み、あっさり逆転。おまけに、河井がニアに蹴り込んだCKのボールが最後、上田綺世に当たってオウンゴールと瞬く間にスコアを3-1として、そのままゲームは終了。開幕戦で貴重な勝ち点3を手にした。

試合全体の雑感

鹿島戦の戦い方がどれだけ、「鹿島スペシャル」で、今後と共通するものなのか不明だが、今後もこの形が続いていくのであれば、もう少し攻撃の時間は増やしたいところ。ディサロのポジションからのつなぎ、サンタナのポストの部分で連携がまだまだ不十分なところは垣間見えた。
ディサロのポジションは、守備の時には中村、竹内と並んで3センターの形をとっていたように見えたが、あそこまで押し込まれるのが誤算だったか、ディサロのタスクが前線へのつなぎと守備がメインになっており、あれなら、ディサロではなく、中盤の選手の方がうまくタスクをこなせたのでは、とも思った。
ディフェンスライン、もしくは竹内のところにボールがあるときに、チアゴ・サンタナ、中山、ディサロが一発で裏をとれる動き出しをしていたが、この試合でそこにボールが出ることはほとんどなかった。ここが上手く使えるようになると一気に相手を押し込めて、守備も楽になると思う。
あと、少し不安なのは12kmくらい走ってる選手が3人くらいいること。特に前線の運動量は多いので、夏は持つのだろうか。

選手への雑感

GK 権田修一
安定したセーブでチームの危機を救うだけでなく、チームの最後尾から絶えず声をかけ続けていて、頼りになった。ハイボールの処理も安定していて、さすが代表レベルのGK。
DF 原輝綺
右サイドから攻撃が始まることも多かったが、あまり組み立てはうまくいかず。まあチームとしても攻撃はうまくいっていなかったので。高い位置でシュート打とうとして当たり損ねたのと、土居聖真ポストのシーンでエヴェラウドにガツンとやられたところ、河井の左CKをニアで避けた(当たった?)ところが印象的なシーン。
DF ヴァウド
失点につながった鹿島のCKのシーンは、「まあゴールラインでプレー切らなくても良かったよね」という感じ。まあでも変わらず対人の強さは見せていたし、空中戦で負けることも多かったけど、エヴェラウドと戦っていた(というかエヴェラウドが空中戦強すぎるんだよな)。
DF 鈴木義宜
そんなに目立たなかった。けど、DFの選手なのでそれが1番。権田がセーブしたこぼれ球を土居聖真がポストに当てたシーンでちゃんと寄せてたのは鈴木だったと思う。
DF 片山瑛一
こちらもそれほど目立たなかった。上田綺世のバイシクルからファン・アラーノのシーンで最後まで詰めてたのは片山だったはず。
MF 竹内涼
前半、バックパス相手に引っかけたり、後ろの方で縦のパス引っかけたり、ヤバ目のパスミスが2本くらいあったけど、失点はつながらなかったので、命拾い。それ以降は堅実にプレーした。貴重な生え抜きの選手、がんばってほしい。
MF 中村慶太
あまりパッとしない攻撃の展開の中で、スルスルっとドリブルで抜けていったり、可能性を感じさせるプレー。治療から復帰した流れでボールが獲れちゃって相手に返すアクシデントあり。
MF 中山克広
右サイドで相手と1対1の局面では特徴を見せてくれたが、そもそもその局面をあまり作ることができなかった。カルリーニョスからのクロスに合わせたシーンは決めてほしかった。
FW カルリーニョス
最初はあまり存在感がなかったものの、ボールに絡めば、さすがという感じ。ゴールにつながった後藤へのクロスもフリーだったとはいえ、あのスピードでピンポイントにあそこに送れるのは能力の高さを見せた。あと、ロスタイムに高い位置でボール持った時に、ペナ内に早いクロス送ってて、個人的には「そこはキープだろ」と思った。
FW ディサロ
守備のタスクに追われすぎて、良さが出せなかったかも、と思ったが、間違いなく、プレー機会を1番多く見たのもディサロ。それだけボールを受けられる位置にいたということで、キーになるポジション。もう少し攻撃の機会が増えれば、良さが出るか。いいサイドチェンジもあったな。
FW チアゴ・サンタナ
よく収まる。落としは連携の不足を感じたけど、身体は強い。得点も相手から隠しながら、ディフェンスの股を抜くといううまさがあった。期待感がある。
FW 後藤優介
逆転ゴールはよく飛び込んだ。少し展開がオープンになる中で、ターンのうまさなどは攻撃を少し機能させた。
MF 河井陽介
直接的に2得点の立役者。ディサロ、後藤のポジションも行けそう?
FW 金子翔太
リードした中で投入され、役割を果たした。

まとめ

今後、リーグ戦は
福岡、セレッソ、鳥栖、広島、柏
と5試合が続くが、できれば3勝以上と勝ち優勢で進めていきたいところだ。
一方で、鹿島戦は相手のシュートがポストに嫌われ、こちらは非常に効率よく点が取れた、というラッキーだった面も多分にあった。内容的に勝って当然という試合ではなく、勝ったので悲観は当然だが、手放しの賞賛もできる状況ではないと思われる。過密日程ではあるものの、とれる勝ち点を着実にとりながらチーム作りを進めていってもらいたい。

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