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アメリカの現実⑪「21世紀の風ー女性を取り巻くダブルスタンダードが徐々に消えてゆく」

白のパンツスーツで登場したKamalaのメッセージ

まだ米国は大統領選挙の開票の最中で、最終的な数字が把握できていないが、投票の有効数と代理人の投票により、アメリカ人は、Joe Biden &Kamalaを次期大統領及び副大統領に選んだ。Bidenは7,567万票以上、Trumpは7,126万票以上の投票を獲得した。これは、言わずもがなで、アメリカ人の大統領への意見は大きく2つに分かれていることを示す。この数字の持つ意味は重く、今後Biden & Harrisのコンビは、コロナ禍でさらに経済格差が拡大し、文化的にも大きく分断されたアメリカという国を1つにまとめていくという重い責務を伴う。

ただ今の私の気持ちは、まずはBiden & Harrisコンビが誕生したことを喜びたい。

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Vice President-elect Kamala Harris speaking in Wilmington, Delaware.
Photo: Sarah Silbiger / Bloomberg via Getty Images

一昨日、Kamalaが真っ白なパンツスーツで勝利のスピーチのステージに現れたことに、多くの米国女性達は納得した。これはKamalaの強いメッセージとして、受け止めたからである。年頭のThe State of the Unionで、多くの女性議員は白のスーツで登場した。米国では、白は女性参政権拡大のシンボルで、1920年に米国女性は、合衆国憲法修正第19条によって初めて参政権を与えられて、今年はその100年目にあたる。彼女はスピーチの中でも、このことに触れており、長年の女性達の参政権獲得の苦労と努力の結果を称えている。

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Female lawmakers wear white in solidarity and a nod to the suffragist movement before President Trump’s State of the Union address Tuesday. (Jonathan Newton/The Washington Post)

また今回の選挙でBiden & Harrisを支えたのは多くの黒人女性でもあり、スピーチの途中で、カメラは会場の人々を写しだしたが、その中で涙する黒人女性や、未来を見つめるかのような少女の姿は印象的である。

KamalaがVPに選ばれたことの持つ意味は大きい。彼女は、米国政治史上初めて女性で尚且つ非白人(アフリカ系&インド系)という立場で、米国で2番目に重い地位に就く。米国女性は、100年かかってこのポジションに辿りついたことになる。初尽くしのKamalaではあるが、Obamaが選ばれた時にも実感したように、米国は色んなPossibilityを見せてくれる。これが私がこの国に住み続ける理由の1つである。

本当にガラスの天井にひびは入ったのか?

VPであるKamalaの出現は、確かにガラスの天井にひびが入ったように見える。但し、このひびは社会の中で巣くう女性へのダブルスタンダードを覆すには至っていない。私は8月彼女がBidenのVP候補として選ばれた時に、このSexismや女性への偏見に基づく社会のダブルスタンダードに関して書いた。

この無意識における女性への偏見を少しでも軽減していかない限り、様々なポイントで、Kamalaも含めて政治・企業・社会の中で、女性は常に「揚げ足」を取られる。

彼女の価値は、初の女性・非白人(アフリカ系&インド系)といった属性にあるのではなく、サンフランシスコ地方検事、カリフォルニア州検事総長、カリフォルニア州上院議員、2020年民主党大統領候補の予備選挙に立候補したという、彼女の略歴そのものにある。彼女の検事として非常に冷静な論理展開で相手を追い詰めるプロフェッショナルとしてAttitudeは、非常に感銘を受ける。またその一方で、常に笑顔を絶やさず、相手に語り掛けるようなトークスタイルは、性差に関係なく人間としての温かみを感じる。

こうした彼女の人間としての資質は、ジェンダーや人種を超えて、政治家として、非常に重要なものだと思う。

何故女性は「ファッションポリス」の餌食になるのか?

Forbesの記事でLela Londonは、以下のように女性政治家を取り巻く、ファッションに関連したダブルスタンダードを指摘している。

記事では、Hillary Clintonのパンツスーツ、Alexandria Ocasio-Cortez(AOC)のヘアカットといった女性政治家がファッションによって揶揄されるダブルスタンダードを指摘する。

「スーツ以外の服を着た女性政治家」には、ニュースのネタになる価値がある。政治家(つまり男性のこと)ならスーツを着るのが当然だ、というのがその理由だ。「政治家」は中立的・標準的なスーツを身に着けるものであり、ファッションを装うのは「女性」なのだ。女性のファッションに難癖をつける「ファッション・ポリス」は、ひどいときには、女性の装いを、その影響力を失わせるために利用する。最も良い時でも、女性の装いを、その好感度の判断材料にする。そして今回、ハリスが副大統領候補になったことで、ファッション・ポリスたちが活動を始めるのは目に見えている。

Kamalaは、検事という立場上、或いは彼女個人のスタイルなのか、非常にジェンダーニュートラルなスタイル(ダークスーツ)でパブリックに登場する。服装で個性を表現する私個人の目から見ると、ある意味Conservativeに思えるが、多分ごく普通のアメリカ人のファッションセンスから見れば、「reasonbale(妥当)」に見えるはずである。

また彼女がキャンペーンやトラベルで愛用するConverseのシューズは、Practicalな動きを可能にするもので、Millennials & Gen Zなど若年層も含めて、実用性や機能を重んじるアメリカンカジュアルとして、好感を持たれている。

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A step ahead? The Democratic presidential candidate Kamala Harris eschews traditional shoes for sneakers. Photograph: Charlie Neibergall/AP

ダブルスタンダードが徐々に消え去る気配を感じる

Obamaは大統領に就任すると、日々決断の連続となるので、大統領職以外で決断することの無駄を省くために、同じスーツ・シャツ・タイを何着も用意して、何を着るかという選択を省いた。

政治家にとって、話題となるべきは、政策でありメッセージである。女性政治家であるがために、ヘアスタイル、衣服、メイクアップ、或いは体型も含めて、揶揄・賞賛されるのは避けがたい。但し、Kamalaを見ていると、そうしたダブルスタンダードが過去のものになりつつあるように、自然体で、自分の個性を生かしつつ、政治家としての資質を証明しようとしているように見える。

Kamalaは、21世紀に生まれた米国政治史上初の女性副大統領である。過去のHillary Clintonに代表されるように、20世紀の遺産ともいうべき女性政治家達が受けてきた偏見をものともせず、VPとしてPublic Servantとして、アメリカ市民のために、彼女の資質を最大限に発揮してほしい。

「ファッションポリス」なんて言葉自体がナンセンスで、時代錯誤である。個々人がその職務を実行するために、最適なAttireを選べばいいのであって、それを人が揶揄する傾向は、徐々に消えつつある。Millennials & Gen Zが主役となる21世紀は、ステレオタイプが消えゆく時でもある。


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