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「さみしい(淋しい)」と「さびしい(寂しい)」の違いと、鼻濁音と「津軽海峡冬景色」

今朝母のコトを思い出し会えなくて「さみしい」と声に出して言った。「さみしい」と「さびしい」の違いが気になり調べてみた結果今朝の私の気持ちは、涙がこぼれたので「さみしい(淋しい)」だった。

「さみしい」は主観的なさみしさを表し、漢字で「淋しい」と書き、平安時代には使われておらず、近世以降に使用されるようになった言葉。「淋」という漢字には、「水が滴り流れる」という意味があり、そこから「 涙が止まらない様子」が連想され、「さみしい」という言葉を表す漢字として使われるようになった。「さみしい」の特徴は、「淋」という漢字が示すように 心情を表す意味が強く、涙が出るほど悲しい気持ち、一人だけ疎外感を抱いてしまう気持ちなど、主観的な悲しい心を表す時に使われる言葉。

「さびしい」は、「悲しいこと」を幅広く表す言葉で、もとは「さぶし」が語源で、「さぶし」→「さびし」→「さびしい」と変化して生まれたらしい。漢字表記は「寂しい」となって、「寂(さび)」には「ひっそりしていること」「古びて枯れていること」といった意味がある。「さびしい」は、物静かな状況に悲しさを感じることを表すため、主観的だけはなく客観的な悲しさも表現できる。

日本語では、「ば行」の音が「ま行」の音に変化して使われる言葉がたくさんある。左が古くから使われていた言葉で、右が音が変化して使われるようになった言葉。

けぶり ⇒ けむり (煙)
ねぶたい ⇒ ねむたい (眠たい)
つぶる ⇒ つむる (瞑る)
うつぶく ⇒ うつむく (俯く)
さぶい ⇒ さむい (寒い)

多分、「ば行」って言いにくいし、「ま行」のほうが、優しい言い方のような気がする。言葉は文化的背景で変化するし、発音も随分変わってきている。

今の人は私も含めて、美しく日本語を話す時に必要とされる「鼻濁音(「が・ぎ・ぐ・げ・ご」の子音を発音する時に、鼻に音を抜く濁音:「んが」「んご」「んぎ」「んぐ」「んご」)」も使えなくなっている。歌手の石川さゆりの「津軽海峡冬景色」と「天城越え」を聴くと、この鼻濁音がしっかり聞こえてくる。彼女は鼻濁音が苦手で中学を出てから稽古して、発音できるようになったらしい。

どんな言葉を使うかって、その人自身の人柄とか知性が表れるから、十分吟味して使いたい。PS: 私はせっかちで、アタマに浮かんだ言葉が考える前に口から飛び出すので、吟味した言葉が出にくいなあ。

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