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リトグリ『UP TO ME!』(パシフィコ横浜国立大H )に見るボーカルグループとしての進化

先日公開されたリトグリの動画『UP TO ME!』Tour2023 "Fanfare"パシフィコ横浜国立大ホールを拝見しました。
一言で言えば、非常に上手くなっている、です。
明らかにボーカルグループとしての進化が感じられました。
リトグリ第1章ともいうべき時期も後期に於いては、非常にハイレベルなサウンドを披露していましたが、第2章である新メンバー加入後、昨年後半からは安定したサウンドを作り出せるようになっています。

今回、拝見して、歌声の評価に関しては、ラジオトークの方で話すことにして、記事では、なぜ、短期間で新メンバーはこれほどまでのサウンドを披露できるようになったのか、その根本的な要因について考えてみたいと思います。
冒頭部分だけ無料公開します。


Little Glee Monsterというグループの成り立ち

第1章と第2章の根本的な違いを考える上で、おさらいしておきたいことは,
そもそもこのグループの成り立ちから考えてみる必要があるように感じます。
そこでファンの方なら、当たり前にご存知のことでしょうけれども、このグループの歴史について調べてみることにしました(校閲が入っていませんので、情報の齟齬がありましたらご指摘下さい。訂正致します)

第1章のメンバーは、現メンバーのかれん、MAYU、アサヒに加えて芹奈、manakaの5人の活動時期からを言います。
この5人の経歴を調べてみると、かれんは、2008年、2009年のフジテレビ系『ハモネプリーグ』にユニットの「やきそば☆SOUL」のメンバーや、2010年10月リリースのやしきたかじんのラストシングル『その時の空』に、子供コーラス隊として参加したことが書かれています。
MAYUは、2012年9月、第3回BAKKY JUMPINGシンガーコンテスト優勝。
アサヒは、2010年9月、全日本カラオケグランプリ2010北海道大会キッズ部門優勝。
旧メンバーである芹奈は、2012年5月、第16回ORC200ヴォーカルクイーンコンテスト特別賞受賞。2013年9月、歌うまキッズトーナメント初代チャンピオン。manakaは、2013年1月、第4回BAKKY JUMPINGシンガーコンテスト優勝。2013年5月、第17回ORC200ヴォーカルクイーンコンテスト優勝。

このような経歴の持ち主であることをみると、かれん以外は、アンサンブルやコーラスの経験がないことが伺えます。(幼少期、学生時代は除きます)
即ち、オーディションを受けた段階で、それぞれがソロ歌手として活躍することを目標にしていた節が見受けられるのです。
もちろん、歌手を目指す誰もがソロ歌手を目指すのは当然でしょう。
しかし、ソロ歌手としての練習と、グループ歌手との練習は自ずと異なります。ソロ歌手として通用する人間は、優れた能力の上に、自分を表現する、というものが自ずと身についています。それに比べ、グループ歌手に必要とされるのは、協調性、同調性、という個性よりも、グループメンバーの1員としてのボーカルを求められるのです。
この根本的な違いが両者にはあるということを頭に入れた上で考えてみると、ソロを目指していた人間でボーカルグループを結成していくなら、1つのサウンドを作り上げるまでには、かなりの時間を要するということがわかると思います。
実際、リトグリも2013年に結成後、メンバーの脱退を数度繰り返した上で、2017年以降、5人体制となり、安定したサウンドを披露できるようになっていました。
この時期の彼女達の年齢は、10代前半から後半にかけてであり、まだ自分の方向性というものが見定まっていない時期とも言えます。
そのため、メンバーの脱退や進路変更はありがちなこととも言えるでしょう。
2017年から2021年にかけての彼女達の快進撃については、ここに改めて書く必要もないかと思います。

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