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いろ衣都つむぎ ~恋愛によって変わるもの~

恋愛はいつも気がつくとおちている。
あ、と思うともう恋愛の只中にいる。
わたしは、タイプとしていうなら、不幸な人が好きなのだけれど、ちゃんと不幸な人は現れて、そうすると、恋愛においては積極的になるわたしは彼に近づき、話をし、親しくなってゆく。
わたしがこれまで、こんなに好きな人はいない、離れているのはいやだ、と
脇目もふらずに好きになった人は2人だけだ。
1人は夫。
もう1人は、28歳から17年つきあった13歳年上の人だ。
その人はもう亡くなったが、わたしは彼を愛し抜けなかったことが、重い後悔になっている。彼は統合失調症で、どんどん病気が重くなり、認知症のようになってしまった。わたしはそんな彼につきあいきれないと思ってしまったのだ。病気で変わってゆく彼を見るのはつらかった。言葉もろくに通じなくなっていった。
こんなとき、どう愛すればいいのか、教えてほしい。
わたしには支えてくれる家族もいなかった。
友だちはこんな事情はわからない。
愛することは痛かった。なにも返されないものを注ぎ続けることは、非情すぎた。
そして、彼の死後、夫と出会った。同じ年だった。
SNSで出会ったのだけど、身分証明書のコピーを送りあって、実際に会った。背の高い、足の長い、イケメンといえるような人だった。ただし、最初会ったときは、ジャージを着ていたけれど。
夫とつきあい始めてから、わたしのなかはぽかぽかするものでいっぱいになった
だけど、いろいろなすれちがいはあり、大好きなのに、傷つくことを言われたり、わたしもイヤなことを言ったりしたらしい。
他人を知るのはほんとうに難しい。
だけど、難しくても、投げ出してはいけないのだ。大好きな人ならば。
わたしたちは、なにかでもめると話し合いをするのが、決まりのようになった。愛において、未熟なのだから、そうするよりないのだ。
結婚して、今年で9年経つ。
結婚前のわたしと、いまのわたしは、なんとちがっていることだろう。
怒りが湧くことが少なくなったし、雲行きが怪しいときは、ストレートな感情はぶつけない、とか、コミュニケーションの方法を覚えた。
そうやって、わたしを変えることが、恋愛、それから結婚の意味なのだろう。
変わったわたしは、以前より、居心地のいい自分を感じている。
そして、いまも、夫に恋をしている。
これから、どんなふうに変わるのだろうか。

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