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子育てと働くの共存を考える ②課題観から生まれるサービスや場

「こどもとはたらく オトナリラボ」をスタートして4年目に入る2021年。
この3年間で「子育てと働く」にはどんな変化があったのか?
「子育てと働くの共存」はどうなっていくのか……オトナリラボや当事者だけでなく、非当事者にも接点を用意し、一緒に考えて行く必要があるのでは…?
そんな思いつきで、オンラインミーティングを企画していく事にしました!

オトナリラボ芳野です。
この記事では、「子育てと働くの共存を考える」2/9に実施した初めてのミーティングをレポします。
「子育てと働くの共存を考える」ミーティングについては、前回の記事をご覧ください。

2/9 初ミーティングを実施

参加者はメインスピーカー含め9名。初回は人数を少なく、密に意見をもらいたかったので、私から声かけした範囲。当事者として自らの事業を話す3名と、子育てしながら働く方や、子育て経験の無い方6名が参加。それぞれまったく違う職種や業界に働き、子育てとの距離感も様々。
初回から多様な人達に見守れながらの会となりました!

当日の流れ

1.当事者による「課題観とそこから生まれたサービス・場の事業」発表
2.非当事者を含む参加者による感想・意見・アイデア交流
と前半・後半に分けて進めましたが、以下のレポートではまとめて記述します。

自らの「子育てと働く」にある課題観から生まれたサービス・場の事業

今回はオトナリラボを含む3つの事業を発表。オトナリラボ以外は計画段階の新規事業のため、実名・詳細は伏せてます。

新規事業を発表してくれたお二人は、それぞれまったく別ルートから「オトナリラボ」を知って「自らの考える新規事業について聞いて欲しい」と声を掛けてくれました。
私だけが聞いてちょっとしたアドバイスをするよりも、こう言う事業こそいろんな人に知ってもらって、感想や意見もらった方が良いアドバイスになるだろうなあ!と思ったので、巻き込んだ形で発表してもらいました。
では、順番に発表内容を紹介していきましょう。

[1]芳野:オトナリラボ

オトナリラボでは「子育てと働く」親子を支える施設・サービスを企画運営しています。その内容を説明する前に「子育てと働く」の当事者である女性について知ってもらおうと、「子育てと働くの共存「わたし」のコンポジション」と題して、1人の女性が子育てというフェーズを迎える前と後を整理しました。

画像1子育ての前、1人の働く女性としての「わたし」は、「女性としての心身」と「働く事・自己アイデンティティ」で構成されています(おおざっぱに言って、です)。
それが、妊娠出産を経て子育てというフェーズが加わると…

画像2これは、赤ちゃんが生まれてから入園までの大体1歳まで育児休業を取っている間に「働くお母さん」を構成する事象をまとめています。(詳細にするともっとあると思いますが)
当事者の方なら、大体想像出来ると思いますが、書き出して見てなかなか壮絶だなあと言うのが分かります。

画像3

オトナリラボでは、先に挙げた「子育てと働く」コンポジションに対応する形でサービスを展開しています。(実のところは、やってることを整理したらこう言う構成になってることに気付いたという流れですが)
保育付きコワーキングという場所(図・左側)、スタッフ・講師が提供出来るコンテンツ(図・右側)それぞれに「働く・自己」「女性の心身」「こども・子育て」という「働くお母さん」を構成する要素を支えるサービスがあります。どれか一つではなく一貫して支える事に意味があると捉えています。(その上で利用者は自分に必要な支援を選ぶことができます。)
(この中では、「家事・妻」について書いていませんでしたが、今回は見送ります。)

今後の課題:この「子育てと働く」支援サービスは、現状は個人に向けたものとして提供していますが、企業・雇用する側が従業員に対する福利厚生・子育て支援に得ないだろうか?という所です。企業における子育て支援に注目して、機会を得られたらと考えています。

<参加者からのコメント>
○「子育てと働く」の大変さを知る事ができ、会社や社会として出来ることがあると気付いた。
・会社の制度ルールを可能にする内状・風土
・大変さや辛さを発散・共感するコミュニティ・場
・子育て中の人材の力を活かすために、柔軟な働き方を認める、可能にする ということが必要。

○育休中、子育てか働くか、ではなく、ワンステップあればよかった、という経験がある。こう言う場があれば、それが叶ったと思う。

[2]Tさん:キッズスペース付きコワーキング新規事業

「いきいき働く姿を子どもに見せていきたい」
Tさんは、3歳と1歳のお子さんを持つお母さん。
二度の育休を経て下のお子さんが7ヶ月の時に復職するも、子育てと仕事の日々が作業になっている感覚に気付き、会社員を辞め、ご主人と共同で副業にしていたシェアハウス事業に一本化。物件との出会いや自らの経験もあり新たなシェアハウス・コワーキングスペース事業の立ち上げを進めています。

<きっかけ>
副業のシェアハウス経営する中で、若い世代に言われた一言。
「子育ても働くも大変そう。だから自分には無理」
子育てしながら働く自分の姿がそんな風に見られていた、と同時に、
自分の子どもにそう感じさせたくない。そう思って、子育てしながら働く事を選ばないようになって欲しくない。

そのために、自分が生き生き働けられるように。その姿を子どもに見せられるように。また、そういう人がもっと増えるように、キッズスペース付きコワーキングスペースを計画。

<どんなサービス・場にしたいか>
大人をみて子どもが学ぶ空間。
子どもの世代が将来、子どもが居ることを良い事と思える、
こどもたちの未来を考えた事業にしていきたい。
(オトナリラボを参考に)保育付きも検討しているが、保育できる人にまだ出会えていない。子どもが居ても何か始めたい人を応援できる場にしていきたいと考えている。

<参加者からのコメント>
○子育て中、視野が狭くなってしまう。その経験から、豊かな働き方に向けて、俯瞰で見て柔軟に考えていることに感心した。

○「子育てと働くが大変そうに見える=本人が大変だと思っている」と言う事が、キャリアアップ・管理職になりたくない若手と同じ現象。
大変に見える仕事を、楽しそう・可能なものに転換する必要がある。

○大変な事を、近くに居る人や地域でサポートしていく、助けていける関係性を育てては。

[3]Sさん:ワークスペースのシェアリングサービス新規事業

「場所にとらわれず、仕事ややりたい事ができるように」
Sさんも二人のお子さんを育てるお母さん。現在はフルリモートで在宅勤務しながら、新規事業の立ち上げを目指してます。

<きっかけ>
自分自身が、結婚や出産で希望の仕事を離れざるを得なかった経験から、「場所や時間に縛られない働き方の実現」をコンセプトに事業の立ち上げを目指している。

<どんなサービス・場にしたいか>
最近になってフルリモート・在宅勤務が可能になり、働く事・働き方は広がったけれど、今度は家族との暮らしと働くの間にモヤモヤが生まれるようになった。家族が暮らす空間で働く、ということは、場所や時間も共有することになる。例えば、家庭内で集中して作業が出来る場所や、インターネット環境、働く親のスケジュールと子どものスケジュールがかみ合わないなど。

そんなモヤモヤを新規事業で少しでも取り除いていきたいと考えている。

<参加者からのコメント>
○ リモートワークや在宅勤務など、合理的としてはじまったことが、実は合理的でない状態を生み出している。ということが結構多い。
あるべき姿にもどる、昔に戻る。
例えば、地域コミュニティ・助け合い。
信頼性のある人と繋がるコミュニティを活用して、
非合理=もやもやを無くしていくことができるのでは。


総括: 参加者がお互いに、良い意味で考えもしなかったことに気付く

参加後の全体的な感想として「知らなかった事に気付けたし、自分では考えないような意見が聞けて、今後に繋げていきたいと思った」というコメントが多く聞かれた。
「当事者の課題観を知り、非当事者からの感想や意見を聞く」
→当事者にはない視点からの意見が新しいアイデアになる
という実証実験は成功したと言えるかと思います。

当事者からの「育休中、社会との繋がりがない事が不安だった。だから早く仕事に復帰したかった。でも、子育てとの両立にはズレが合って、子育てが作業になった」という話しがあったり、モデルケースや理想とはちがった、実践したから分かったこと、感じた事に触れる事も出来た。このような流れになってしまわないために必要なことは何か、を考えさせられた。

「子育ても働くも、自分も豊かに生きられる」そんな社会にして行くには、
・働く・会社の制度だけではなく風土
・地域コミュニティ
が鍵になるのでは

今回のミーティングは以上のような気付きで締めくくられました。

さて、「子育てと働くの共存を考える」ミーティングは、子育てと働くの当事者だけでなく、その課題観を知りたい、考えるべき意識はある、など様々な思いや立場の人が集まって意見交換していける場となっていけたらと考えています。
次回は4月ごろ、少しオープンな会として実施してみたいなと思っています。

ミーティングに関心がある! 参加してみたい! という方は、ぜひFacebookTwitterで芳野尚子までお友達申請くださいませ。人見知りなので一言沿えて頂けると助かります。

引き続き、よろしくお願いします!

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