読書記録92(BRAIN DRIVEN (ブレインドリブン) パフォーマンスが高まる脳の状態とは)

・本書は、神経科学の観点から「脳の中で何が起こっているのか(WHAT)」を解き明かし、それに関連する「なぜそうなるのか(WHY)」について知識を深める。
・メタ認知は、「自分自身を、客観視、俯瞰視」した認知の状態で、自分に意識的に注意を向けない限り、自分の脳に自分の情報が書き込まれないのである。さらに 自分のことはよくわかっているという錯覚から、ほとんどの人は意識的に自分を見ようとしない。
・自分の感じ方、考え方、振る舞い方を知れば、自分で感じ、考え、行動する、自律的な脳が育まれる。
・自己の俯瞰視とはそもそもどのような状態なのか、どのような脳がメタ認知なのかが明らかになる。つまり、何をもって俯瞰と言えるのかがわかれば、自分との向き合い方が見えてくる。
・人間がある行動を起こす前には、大きく分けて二つの脳のシステムの情報を参照している。一つは思考系、もう一つは感情系というシステム。自分のパフォーマンスを高め、成長するためには、自分の感情や感覚に注意を向けることがメタ認知の大切なポイント。
・モチベーションを捉えるにあたり、  ① 原因となるお金的な「刺激」があり  ② それを受けて関連する脳や体内の環境が「変化」を催すことによって  ③ 「行動」にうつす。
・モチベーション・メディエータとモチベーションの違いは、平たく言うと、 やる気になっている状態と、やる気になっている自分を認知した状態の違いである。前者の、行動を誘引する脳機能と、その状態を認知する後者の脳機能は別。
・脳幹や間脳などでつかさどる機能のコンディションを整えておくことが、学習系や高次脳処理機能系のモチベーションを引き出す。
・朝のセロトニン量が多いと、それに比例して夜のメラトニン量が多くなるため、朝に大量のセロトニンをつくることが、夜の良い睡眠につながる。
・高次の情報処理や学習よりも、生存に必要なモチベーションが優先される。
・トップダウンのモチベーションを誘導しやすくするもう一つの方法が「モチベーショントリガー」をつくる。
・モチベーショントリガーとして習得するのは一朝一夕にはいかない。まずは、自分が高まる言葉や場面、音楽などを特定する。そしてそれを実際に見聞きしたり、脳で想起する。さらに実際に自己の高揚感を脳で表現する。
・何か行動を誘発する要因が出てきたときには、  ① 「もっと行動したい」という快感を生む β エンドルフィン系  ② 「もうやめたい」というストレスを感じるコルチゾール系   の二つが拮抗的に働き始める。 このバランスが、行動を起こしたときに長続きするか否かを決める指標の一つになる。
・過度にコルチゾールが分泌され扁桃体が過活性化すると、前頭前皮質の活動が弱められ、 自分が思い描いたこととは異なることをやってしまう脳の状態に近づいてしまう。
・嫌避モチベーションの行動が過剰に繰り返されると、うつ病などストレス疾患を誘引する可能性がある。
・未熟なものに対しては自己の能力を高く見積もる仕組みがあるからこそ、新しい学びに対しても積極的にトライすることがよい。
・新しい学びに向かえば向かうほど理想と現実の乖離、自己の至らない点ばかりが浮き彫りになる。その結果としてストレスが増大し、それに基づくネガティブな情動反応が引き起こされる。そうなると、新しい学びが継続できずに最初だけ高まったやる気が失われ、すぐに諦めてしまう。
・「好接モチベーション」はそこに留まり続けるタイプのモチベーションではない。行動や学習の難度が高ければ高いほど「嫌避モチベーション」に変わってしまう可能性がある。
・嫌避モチベーションで新しい学びや新しい試みを行うときに、いかにそれをポジティブな体験にするかが新しい学びや挑戦に際して誰もが注目しやすいネガティブなサイドばかりに注意が向かないように気をつけるのが大切だ。ポジティブなサイド、できている部分、成長している部分、希望などに注意を向けることが、学習モチベーションを維持するうえで必要である。
・失敗の原因を素直に認識し、むしろ成長への栄養素と捉えられるとき、ネガティブな情動反応をポジティブな感情に書き換えてくれる。このような 認知的柔軟性が高い人が、ものごとを継続することができ後日成長する人。
・ドーパミンには、短期記憶を頭の中に留めておくための情報処理能力を高めたり、余分な情報を排除したりする効果がある。
・ドーパミンが放出される「求めている」状態とは、ある情報に興味関心があるために、脳が「知ろう、学習させよう」と反応している。
・「学ぶ内容そのもの」に興味関心がなかったとしても、「教える人」に対する興味関心が高いためにワクワクしたり、場や雰囲気によって心躍るような状態になれば、学びは促進する。
・何かを求めて対象に触れたり関わったりすることで「楽しさ、気持ち良さ」などの快楽を感じると、 β エンドルフィンが放出される。
・「アイスブレイク」をすることで、緊張感を解き、心理的安全状態をつくり、前頭前皮質を働きやすくするだけでなく、楽しい状態をつくることで脳の集中状態を継続させる。
・体験学習を繰り返すことで、脳の中での独自のパターン学習により価値記憶へと変遷し、vmPFCに保存され、その状態変化により、ある事象を価値として認識できるようになると、脳はそれに対し「LIKE」という反応を示すようになる。
・WANTは「欲する情動反応」であるのに対し、LIKEは「学習済みの快の認知的な判断」
・直感力を高める学習をすることによって、我々の意思決定能力はより迅速に高められる。  そのためには、普段から自己の感覚や感情に目を向ける必要がある。
・自分のSEEKとは何か、自分のTRYとは何か、自分のLIKEとは何かを整理するのは、モチベーションを高めていくうえで欠かせない。
・モチベーションが高まっている状態の自分の内側の反応に気づき、味わい、そしてある時、その高まりを思い返すことは、モチベーションを高めやすい脳の状態にするトレーニングとしては欠かせない。
・できた部分に注意が向けられ、それが脳の記憶として書き込まれていくと、自己肯定感が高まり、学びのモチベーションになる。
・頭の中でモチベーションを生み出す六つの方法①dlPFCを活用し、意識的に過去の快の体験を引き出す ②OFCによる「報酬予測」(なんだか言語化できないが、「そちらに向かいたい、向かおう」と脳や身体が反応するような状態) ③「報酬」 ④本当の意味で希望を持っている状態 ⑤「価値」好きなものや大切にしていること、価値として認めているものなどを頭の中で想起している ⑥あらゆる快の感情、状態を予想したり想像したり妄想したりしたとき
・何かを成し遂げようと努力しているとき、かなり苦しい状態や精神的な苦痛を体験しているフェーズがある。そのフェーズに耐えるエネルギーもドーパミンの役割になる。 苦しいフェーズがあるからこそ、何らかの達成や満足を得て、快が発露することに
・だからこそ「苦痛をたしなむ」発想が必要になる。  もちろん、苦痛は辛く、投げ出したくなるものだ。それでも、 ときには自分で自分を追い込み、その苦痛、辛さを受け入れてみる。すると、苦痛を体感したあとに通常以上の大きな差分が生まれ、大きな喜びを得られる可能性を
・他人に強制されると逆に怒りを覚えたり、ストレス反応を過剰にし、パフォーマンスを下げたりする可能性がある。
・人に貢献したり感謝されたりする体験があって、そこに快感情が数多くあれば、それがモチベータとして作用する
・結果に対するポジティブな感情を大切にしつつも、プロセスにおける価値、快感、喜び、やりがいを大切にする人の脳は、たとえ結果がどうなるかわからなくても、やること自体に意味、意義、楽しみを見出し、新しい挑戦をすること。
・たとえうまく行かなくても、準備していた分だけ何がうまくいかなかったのかが明確になりやすい。曖昧、不明瞭に基づくストレスによるモチベーション低減を回避しやすくなることで、学びや成長のモチベーションを保つことができる。
・準備しているからこそ、失敗しても、成功のポテンシャルに注意を向けやすくなるのだ。その準備こそが、自分で自分のやることを決めるということである。その試行錯誤が、学びと成長の原動力となる。
・違和感などの感覚は、論理的でない、とないがしろにされやすいが、脳がこれまでのデータベースから割り出した、脳の生物学的な論理による情報提供である。それが本当に活用できる情報か否かが重要なのではなく、違和感を活用できるような脳に成長することが望まれる。
・重要なのは、成功体験が得られてポジティブな感情が出ているときに、失敗の経験あるいはストレスと結びつけて「同時に」学習すること
・最終的な成功体験に関連づけ、失敗や、ストレスを感じた体験をパターン学習させると、脳の中で「ネガティブな失敗やストレスにも意味があった」と捉える
・「できない部分を見る」のは無意識でもできる。だから、意識的にできた部分を見ることが結果だけでなく、プロセスからも学ぶ。


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