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子育て支援は経済成長を促すのか?

久田くにひろは、2018年〜2019年の間、名古屋大学大学院経済学研究科に在籍し、子育て支援施策について経済学的観点から、研究した。その内容を簡単に紹介したいと思う。

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論文タイトル「子育て支援は経済成長を促すのか?」

蔓延している所得格差の拡大が社会・経済に及ぼす潜在的な悪影響が懸念されている。OECDが公表した格差と成長に関する国際比較であるCingano(2014)でも明らかになったように、所得格差が拡大すると、経済成長は低下することが指摘され始めた。その格差拡大を是正するためには、適切な再分配政策を行うことである。経済成長に正の影響を与える再分配政策を確認することで、持続可能な日本、ひいては世界を構築する一助となると考え、研究することになった。

論文要旨

子育て支援が間接的及び直接的に経済成長にどのような影響を与えているかを実証的に分析することである。 言い換えれば、子育て支援が女性労働力率にどう影響を与えるのか、全要素生産性にどう影響を与えるのかということである。最初に, 格差と経済成長に関する世界的情勢を整理し、再分配政策及び子育て支援政策の重要性を確認する。そして、再分配政策と経済成長をめぐる議論における内外の先行研究の結果を紹介する。 次いで, OECD 19ヶ国を対象に, 2000年~2014年までのデータを用いたパネル分析を行った。具体的にはロバスト標準誤差を行った一階階差GMM推定である。 その結果から, 子育て支援支出(ホームヘルプ/施設)いわゆる保育サービスは女性労働力率を高めること、子育て支援支出・老年福祉支出・就労支援支出・失業給付支出・住宅補助支出・生活保護その他支出が全要素生産性に与えるかは統計的に有意ではなかったことが確認された。こうした実証分析の結果は, 大幅な経済成長が見込めないかつ少子高齢化・人口減少が進む日本にとって, 多くのインプリケーションを与えるものである。

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