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“これが最善” がん治療の選び方 その5-2


「がん治療の選び方」、特に進行がんにおいて、抗がん剤治療を勧められた時にどうすればいいのか?について考えてきています。
今回は、「治療を選択したら、それで終わりじゃないですよ」というお話しのつづきです。
「つづき」ですので、最初にこちらにたどり着いてしまった場合にはお手数ですが前回分から(お時間があれば『その1』から)ご覧いただけますと大変嬉しいです。
最後までお読みいただけたら嬉しいのですが、“予後”や“死”に関する話題が含まれていますので無理なさらずにお願いいたします。
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▼治療選択後に後悔しないようにするには
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色々考えた末にようやく治療を選択したものの
「あとは担当医に任せてやってもらうだけだ」と考えていると、失敗したり、後悔してしまうことがよくありますので、そうならないようにしていくことが肝要です。
よくある失敗例として、
①やはり副作用が大変だ
②残念ながら効果がでなかった
③担当医とあわないから、変更してほしい
以上の3つを挙げ、前回①についてお話ししましたので、今回は②から考えていきたいと思います。
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▼②残念ながら効果がでなかった
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副作用が多少強めでも、治療効果が高い治療を選択している状況と考えてください。
そして言われた通り、多少強めの副作用が出てしまい、結構大変だったにもかかわらず、CTを撮影してみたら、抗がん剤の効果はなく"がん“は大きくなってしまっていたという、とても残念な状況だったと仮定します。
『がん細胞』が、元からその抗がん剤に対する抵抗力(耐性)を持っている場合があります。これを自然耐性と言います。
副作用のある治療ですから、投与する前に効くか効かないか、分別できればいいのですが、現状では難しく、投与してみないとわかりません。
このような自然耐性(初回評価で無効)は10人のうち1-2人で経験されます。
担当医からしたらそれなりにあることですから、「残念だけど仕方がない。次の治療に期待しましょう!」と、あっさりした対応になりがちですが、患者さんにとってみたら心中穏やかでは居られません。
「やはりあちらの治療にしておけば良かった(後悔)」
「あんなにつらい思いをしたのに、効かなかったなんて・・・(怒り)」
「次の抗がん剤も効かないのでは?効かなかったらどうしよう(不安)」
「担当医が勧めるから頑張って受けたのに、担当医のことが信じられない(不信)」
様々なネガティブ感情が渦巻いてしまいます。
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▼効かないものは効かないようだ
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このような場合、最も避けなければならないのは、現在の治療を継続することです。
2-3ヶ月、つらい思いをしながら頑張ってきたのに、効果がなかったとなれば、「せっかく頑張ってやってきたのだから、もう少し続けたら効果がでてくるのではないか?」と考えたくなっても仕方がありませんが、効かない抗がん剤を継続して、あとから効果が出てくることはまずありません。
追加でつらい思いをして、また効いてなかったなんてなったらショックも二倍ですので、『せっかく頑張ったのだから・・・』という思いは、考えても実行はしないようにしましょう。
これは、たとえ副作用がほぼなく、継続することに全く抵抗がない場合でも言えます。
また次の選択肢がないため、今の抗がん剤が無効となれば、抗がん剤治療自体が終了となる(そして多くの場合は緩和ケアに移行することになる)場合でも同じです。
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▼失敗はない!
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やはりもう一方の治療にしておけば良かったという後悔をしてしまう場合もあります。
B治療は効かないということがわかったに過ぎませんから、次の治療として最初に提示されたもう一方の治療=A治療を選択することも可能かもしれませんが、全く別なC治療という選択肢が担当医から提案されるかもしれません。
初期治療(一次治療)の段階では、適応がなかったり、もっと良い選択肢のため提示されていなかった治療でも、初期治療が無効となったあとの治療=二次治療としてなら有効性が高い治療というものがあります。
「また選択しなければならないのか・・・」と思われるかもしれませんが、「そうです」としかいいようがありません。
とはいえ、一番最初よりは間違いなく判断材料が増えてきていますので、最初の選択よりは楽に選択できると思います。
一次治療の副作用がつらくて、同程度の副作用がでたら耐えられそうにないと思えば、副作用の少なめな治療を選択するというのが良さそうです。
逆に、副作用が強いと言われていたけど全然大丈夫だったというのであれば、次もある程度副作用が出るような治療をトライしてみてもいいかと思います。
担当医との関係性が良好で信頼しているのであれば、「先生の良いと思う方でお願いします」というのもありかもしれません。これは、担当医の方も数ヶ月間患者さんと接してきて、だいたいこんな人、こういう希望を持っている人、体力的にもこのくらいな人という「患者像」ができているので、「オススメ」もしやすくなっているからです。
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▼次は絶対に効く治療を!
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「次の治療も効かなかったらどうしようと考えると選択できない」という人も結構いらっしゃいます。
次の治療が効くか効かないかは、やはり確率です。
しかも多くの場合、一次治療が効く確率よりも二次治療が効く確率の方が低くなります。
「じゃあ、一次治療が効かなかったオレは二次治療も効かないということか!」「やっても無駄だと言いたいのか!(怒)」
そういうことではありません。
あくまでも確率の話です。
一次治療が初回から全く無効である確率は10~20%くらい(がんの種類にもよりますが)。
そして二次治療が初回から無効である確率は30~40%くらい。
一次治療、二次治療ともに全くの無効である確率は、計算上3~8%になります(あってます?)。
ですので、やっても無駄ということは決してないのですが、「次は絶対に効く治療を!」と言われても「残念ながら次も効かない可能性はあります」と言わざるを得ません。
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▼『運』を引き寄せろ!
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結局のところ、抗がん剤治療が効くか効かないかは『運』です。
「運であれば仕方がない。どうしようもない。」とあきらめる事なかれ!です。
以前『運の方程式(鈴木祐・著 アスコム・出版)』という本をご紹介させていただいたことがあります。
『運』の方程式とは、幸運=(行動×多様+察知)×回復 とのことでしたね。
端的に言えば、「とにかく色々なことにチャレンジしろ。失敗しても何度でも。」と僕は理解しています。
一次治療が全く効かなかったという状況の中、後悔や不安、怒りなどもあることでしょうが、そこから一日でも早く回復して、次のチャレンジ=二次治療を行っていくしかないのです。
そして、二次治療がうまくいくようにさらに『運』を上げるには、自分でできることをとにかく色々試してみることに尽きます。
食事を改善してみる。運動してみる。睡眠の質を上げてみる。ストレスを軽減してみる。
ヨガ、瞑想、太極拳etc.…
何が良いかわからなければ、「がん」の勉強をしてみる。
何を勉強すれば良いかわからなければ、患者会に出席してみる。
色々やれることはあります。
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▼まとめ
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選択したらそれで終わりということではありません。
一度の選択で終わるということもないでしょう。
何かを選択すれば、その結果何かが起こります。
時には残念な結果になってしまうこともあります。
進行がんの場合、残念な結果イコール「死に一歩近づいてしまった」と考えて、より強い不安や心配を感じてしまう人が少なくありません。
しかし、二次治療が著明に効いた人もたくさん知っておりますし、二次治療まで効果が出ずに三次治療で完治した(完全奏効を得て、再増悪なく数年経過)と思われる経過になった人もおります。
こればかりは、「やってみないとわからない」です。
「次こそは!」と信じて進んでいきましょう。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
また次回もどうぞよろしくお願いいたします。

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