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がんと『サードプレイス』

『サードプレイス』という言葉をご存知でしょうか?
日本語に訳すと、「第3の居場所」となるかと思います。
第1が「家庭」
第2が「職場」で
それ以外の居心地のよい場所、リラックスできる場所を『サードプレイス』と呼んでいるようです。
アメリカの社会学者であるレイ・オルデンバーグが、「家庭」と「職場」を往復するだけになっているアメリカ社会を観察し、このストレス過多の社会を生き抜くためには、潤滑油の役割を果たす場所=『サードプレイス』が必要だと提唱しました。
フランスで言うカフェやイギリスのパブのような場所ですね。

スターバックスが、このサードプレイスを意識したお店作りをしていることはよく知られているようです。
とはいえ、僕自身は一人でこのような喫茶店(カフェ)に入る習慣(度胸?)がないのと、そもそもコーヒーをあまり積極的に摂取する方ではないので、リラックスを求めてスターバックスにいったことがないです・・・
このようなことは、僕だけではなく、日本人はサードプレイスを持ちにくいといわれています。そもそもサードプレイスを持つ風習がなかったり、飲食店の単価が高い(特に居心地のよい所は)などが理由のようです。

家でも職場でもない「自分だけの場所」と聞かれてどのような場所を想像しますか?
多くの方が、スポーツジムや公園などの屋外と回答するようです。
勿論、カフェと回答される方も多いようですが、20%程度のようです。
その他、居酒屋、カラオケボックス、映画館・美術館、エステサロン等々が続きます。
僕自身は、本屋さんに行くのが好きです。
特に何か目当ての本があるわけでもない時でも、ふらっと立ち寄ったりしますし、待ち合わせの時間に早く着きすぎた時も近くに本屋さんがあれば安心です。
これまであまり意識していませんでしたが、僕にとっては本屋さんが『サードプレイス』、居心地のよい場所、リラックスできる場所だったようです。

とはいえ、『サードプレイス』にはもう一つ条件があるようです。
それは、他の人との出会いと交流です。
居心地がよいことに加えて、小さなコミュニティ(別に小さくなくてもいいのだとは思いますが)が形成されている。
そこで会話を楽しんだりすることができる。
社会的な肩書きや地位にとらわれず、いわゆる平等な関係でいれる場所が、オルデンバーグの提唱する『サードプレイス』のようです。

僕における本屋さんは、この第二の条件を満たしておりませんね。

ママさんがいて、常連客がいるスナックが条件に当てはまる場所かなって思いましたが、僕自身はそういう場所を持ち合わせていないため、定かではありません。

前置きが長くなってしまいましたが、
「がん」になったというだけでも大きなストレスでありますが、更に「がん治療」「抗がん剤治療」を受けているとなれば日々ストレスで気が休まるところがない状態かと思います。
そのようなストレスフルな生活から少し離れて、息抜きができる場所、ホッと一息つける場所、リラックスできる場所が「がん患者さん」には必要だと思いますというのが、今回のお話しの主題です。

「抗がん剤治療」が効くようになり、年単位で治療を継続される方もとても多くなってきていますが、
治療が長くなることで、途中で「治療疲れ」を起こし、モチベーションを維持することが難しくなってしまう方が増えてきているように思います。
「私、何のために頑張って治療しているんだろう?こんなに頑張る必要あったのかな?」なんて相談に来られる方もいらっしゃいます。
長期にわたるがん治療を乗り切っていくために、がん患者さんこそ『サードプレイス』を意識的に持つことが必要なのではないか、重要性が高まっているのではないかと考えています。
いかがでしょうか?
皆さんは、『サードプレイス』というものがありますか?

がん患者さんにおいて、家庭と職場(病院?)以外の場所として最初に思いつくのは「がん患者会」や「がんサロン」などでしょうか?
しかし、僕自身はほとんど参加したことがないため、『サードプレイス』的な集まりなのか判断しかねますが
「がん」に関することが話題の中心であったり
そもそも「がん患者さん」もしくは「その家族」中心の集まりであるため、「がん」を一時忘れてホッと一息つきましょうというよりは
より強く「がん」を意識するようになる場所なのかなって想像します。
つまり、社会的な肩書きや地位にとらわれず、平等な関係を保つのは難しいコミュニティと考えますし、
「がん患者会」や「がんサロン」は、情報収集などには向いていると思いますが、息抜きやリラックスできる場所というイメージは少なく、
これらの点で『サードプレイス』ととらえにくそうです(そもそもサードプレイスとして機能することが目的ではないのかもしれませんが)(あくまでも僕個人の感想です)。

「がん患者会」や「がんサロン」より、「カーブス」のようなフィットネスクラブだったり、ヨガスタジオだったりの方が、オルデンバーグの提唱する『サードプレイス』に近そうです。
とはいえ、どちらも女性中心のコミュニティなので、男性がん患者さんの『サードプレイス』は何処にあるのか?
「囲碁・将棋クラブ」、「雀荘」、「ゴルフ練習場」くらいしか思いつきません・・・

がん患者さんは男性の方が多いので(声は小さいかもしれませんが)、男性がん患者さんの『サードプレイス』になるような場所作りって必要かもしれませんね。

僕自身も『サードプレイス』をもって、バーンアウトせず、いつまでも「最高のがん治療」を提供できるようにしていけるといいなぁ~というお話でした(今、ちゃんとできているのというツッコミは無しでおねがいいたします(笑))。

今回も最後までお読みいただきありがとうございます。
また次回もどうぞよろしくお願いいたします。


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