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コーチング脳で『がん医療』を考える⑧

前回は、過去の楽しかった思い出や充実体験を思い出し、そこから自分の『価値観』を抽出するということを、僕自身の経験から行ってみましたが、参考になりましたでしょうか?
僕自身も意外や意外、過去の昆虫採取の思い出から、自分が腫瘍内科医をやっている理由が出てくるとは思いもよりいませんでした(笑)。
なんでもやってみるものですね。
とはいえ、実際に自分でやってみた方は少ないのではないかと思います。
今回は、『価値観』がわかるとどんなメリットがあるのか?というお話です。

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▼エピソードから自分の『価値観』を教えてもらう
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多くの人が何か物事を決定するときに、何らかの自分が納得する理由をつけて最終的に決定していると思いますが、特に大きな決定をする時何を基準にして決定したのかを突き詰めて考えていくと「何となく」とか「勘」というものだったりしませんか?
その「何となく」とか「勘」みたいなものは、自分の隠し持っている『価値観』がベースになっているのではないかと思っています。
前回、僕自身のエピソードから『価値観』を抽出してみて、改めて「なぜ、自分は腫瘍内科を選択したのだろう?」という長年の疑問が納得感をもって解決し、とてもすっきりした気持ちです。
そして、時に大変な目に会ったりすると「そんな思いまでして腫瘍内科医を続ける意味があるのだろうか?」とか考えてしまいがちですが、腫瘍内科医が自分の価値観に沿っているのであれば「このまま腫瘍内科医を続けていけばいいんだ!」「それが正解なんだ!」と思え、エネルギーが湧いてくる感じがしました。
こういうのが自分の『価値観』を理解するメリットなんだと思います。

がん患者さんは、たくさんの大きな選択を迫られます。
手術するのかしないのか?
抗がん剤治療を受けるのか、受けないのか?
抗がん剤の副作用が大変で、このまま続けるのか、やめるのか?
そして、それらを決定するための時間は大抵の場合、それほど長い時間はとれません(がんが進行してしまったりして状況が変わってしまう可能性がありますので)。
ですので、比較的短時間で大きな決断をしなければならず、どちらかに決定したはいいものの、あとで「もう一方の方が正解だったかも?」「今回の選択は失敗だったかも?」と不安や後悔が湧いてきてしまうこともままあります。
これは、その決定が「何となく」や「勘」に近い感覚で決定しているから起こることだと思いますが、気が付いていないだけで、奥底では自分の『価値観』に従った結果とも考えられます。ですので、その決定はきっと間違いではないのですが、納得感が少なく、あとで不安や後悔につながってしまうのだと思います。
そうならないために、自分の『価値観』を理解しておくことが大切ですよということです。

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▼そこに自分の目指すゴールが見える
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「がん」のことは一旦忘れるか治ったとして、その先の将来で、自分が心底幸せだと思えるような人生を送っていることを想像した場合、どんな「気持ち」を感じているでしょうか?
「コーチング脳の作り方(宮越大樹著)」では、このような時「充実感」「ワクワク感」「幸福感」「満足感」「夢中」などを感じ、これらの感情は自分らしくしている時、自分の心に従って生きている時に湧き上がると書かれています。
そのため、自分らしさや自分の大切なものを知りたい場合、過去の出来事の中から「充実感」「ワクワク感」などを感じたエピソードを思い出し、そこから自分の価値観を教えてもらえばよいとのことです。
コーチングスクールで宮越大樹さんから繰り返し教えてもらっていることの一つに、「ヒトは多くの大切なことを忘れてしまっている」「クライアントがそれらを鮮明に思い出し、再利用できるようにするのもコーチの役割」というものがあります。
僕も前回お話した昆虫採取の話は、大切な思い出として、脳の中の結構簡単に引っ張り出せるところに置いてありました。しかし、そこにあのような『価値観』が潜んでいることには気が付いておらず、つまり「利用」することができない状況だったわけです。
そのような大切な思い出を利用できるような形に変換するためには、
ステップ1:ありありと思いだす
ステップ2:どんな気持ちを感じていたのか?それはどうしてか?
ステップ3:自分は何を大切にしたいのか?
と自分に問いかけてみましょう。
きっと何かとても大切なことを教えてくれると思います。
そしてそこから抽出された、自分が大切にしたい価値観をベースに、「未来どんなことが起こっていたらいいか?」を考えていくのがステップ4です。
価値観がわからない状態で「未来どうなったらいい?」と質問されてもすぐにピンとくる人は少ないでしょうし、特に「がん」患者さんの場合、多くの人が「『がん』が治ったらいい」「そのあとのことは今は考えられない!」となってしまいがちです。
自分が大切にしたい価値観がわかっていれば、「がんが治ったら、その体験をがんで困っている人に伝えたい!」とか「がん患者さんが集まれるカフェを作りたい!」とか、未来のことが考えやすくなりそうです。
そうして出てきた未来のエピソードから、「どうしてそれができたら幸せなの?「そうしてそれが大切?」と考え、さらに『価値観(エッセンス)』を抽出するのがステップ5
さらに、そこからまず目指したいゴール(目標)を作っていくことがステップ6です。
ステップ4,5で出てきた未来のエピソードや価値観(エッセンス)を『自分軸』と呼び、その軸に沿ったゴール(目標)を作っていくことがコーチングです。

まずは自分がどんな『価値観』を大切にしているか?
見つけてみましょう!

今回も最後までお付き合いいただきありがとうございました。

“コーチング脳で『がん医療』を考える”シリーズ⑧
はいかがでしたでしょうか?
何か参考になることがありましたら嬉しいです。

次回以降もどうぞよろしくお願いいたします。


この文章は、宮越大樹さんの著書『人生を変える!「コーチング脳」のつくり方』(ぱる出版)(https://www.amazon.co.jp/dp/4827212783/)を教科書として、『がん医療』にコーチングを応用する方法について考えておりますので、まだ本書をお読みでない方は是非とも読んでみてくださいませ。

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