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バレンタインだから、おみくじを作る。

バレンタイン。会社へチョコレートを差し入れすべきか、私は猛烈に迷っていた。

例年のバレンタインは、上司へ日頃の感謝を兼ねてちょっと良い感じのチョコを渡していた。だが、この1年で組織体制が変わり、今年は同じフロアに2人の上司がいる。

良い感じのチョコは1箱あたり2,000円〜3,000円程度かかるため、2人に渡すだけで4,000円〜6,000円はかかってしまう。加えて、普段めちゃくちゃ助けてもらっているチームメンバーに何もあげないのはいかがなものか…と頭を抱えていた。

感謝の気持ちは伝えたいが、お金の負担は減らしたい。そんな折、たまたま『31歳、夫婦2人、月13万円で、自分らしく暮らす。』という本の要約動画を視聴した。

夫婦2人で月13万円あれば豊かに暮らせるといった内容で、お金をかけずいかにハッピーに暮らすのか、そのコツや考え方が散りばめられている。

この動画の中でまさに、バレンタインのたびにチョコを買うのはお金のかけすぎだ、と指摘されていたのだ。ただし、誰かへのプレゼントは自分を幸せな気分にしてくれるため、節約のためであってもなくすべきではない。チョコを買う代わりに、手作りのプレゼントで感謝の気持ちを伝えるという方法が紹介されていた。

そこで私は思った。おみくじを作ろう、と。

なぜおみくじを作るのか

今の流れからすると「チョコを手作りする」となりそうなものだが、手作りは苦手な人も多いし、材料をそろえると大した節約にはならない。そのため、市販の安いチョコを使いながらも、安っぽくないチョコに仕上げる必要があった。そこで思いついたのが、バレンタインみくじである。

バレンタインみくじの概要はこうだ。手作りのおみくじを作り、市販のチョコと一緒にラッピングする。チョコは1つあたり数十円で用意できるため、あとはおみくじ用の紙と簡単なラッピングの袋があれば、1人分100円程度で作れるのだ。

この話を書いている時に思い出したのだが、私は大学時代、日本の社会学や地理学などを幅広く研究する学部(A学部と呼ぶことにする)の専攻だった。元々そういった学問に興味があったわけではなくー入学後も全く興味は湧かなかったのだがーその学部を志望したのには理由があった。

そもそも、「実家から通えて自分の学力でもなんとかいけそう」、というゆるすぎる理由で志望校を決めた私。志望動機が不純なので行きたい学部があるわけでもなく、どの学部を受けようか悩んでいた。学部決めのため大学のパンフレットをぱらぱら眺めている時、ふとA学部の写真が目に留まった。

A学部の教授や生徒は、何やら研究室のような場所で机を囲んで資料を見ながら話していた。その机の上には、神社でしか見かけないような木製のおみくじの筒が置いてあったのだ。

おみくじや占いがそこそこ好きだった私は、「この学部はおみくじも研究対象にしているのかな?」とぼんやり考え、なんとこの写真をきっかけにA学部専攻に決めたのである。浅はかすぎる。

そんなわけで、私とおみくじは切っても切れない、とは言えないものの、そこはかとない縁があるのだ。手作りプレゼントを渡すと決めた当初、手紙を同封する案も思いついたのだが、もらった人同士で「こんなことが書いてあった」みたいな答え合わせをされると地獄なのでやめた。

かくして、私のバレンタインみくじ作りが始まったのである。

バレンタインみくじを作る

バレンタインみくじを作るにあたってまず必要なのは、市販のチョコの選定である。安いチョコといえばチロルチョコやブラックサンダーが思いつくが、チロルチョコは何個か入れないとプレゼントとして様にならないし、ブラックサンダーは安さが強調されすぎる。

安いけど安っぽくないて、1つか2つで様になる。コンビニでチョコを物色する中で見つけたのが、ボノボンチョコレートである。

ボノボンチョコは1つ40円〜50円で買える安さでありながら、そこそこの大きさで見た目もかわいらしい。チロルチョコやブラックサンダーに比べるとそこまで普及しておらず、おかげで価格の目星もつきづらい。

ボノボンチョコを標的に定めた私は、早速コンビニで買い占めることにした。だが、フロアの社員全員にチョコを配ろうと考えた私は、最終的に30個くらいはチョコを購入する必要があった。ボノボンチョコは1箱30個入り。コンビニによって置いていたりいなかったりするため、悩んだ私はAmazonで箱買いすることにした。

1箱30個入りのボノボンチョコ。大事をとって2箱購入。

Amazonで箱買いして勢いがついた私は、そのままAmazonでラッピングやおみくじ用の紙の物色にあたった。ちょうどラッピングもメッセージカードも良い物が見つかり、意気揚々と注文した。

ここまで読んでくれた方は、すでにお気づきかもしれない。普通にチョコ買うよりも高くない?と。私は「手段の目的化ってこうして起きるんだな」と他人事のように考えながら、おみくじ作りをスタートさせたのである。

バレンタインみくじの中身は大吉

おみくじ作りで大切にしたのは、大吉以外を作らないというただ一点のみである。想像していただきたいのだが、バレンタインに突然みくじを引けと言われ、引いた結果大凶とかだったらもらわない方がマシである。私だったら絶対引きたくない。つまり、こちらの都合でみくじを引いてもらう以上、損した気持ちにさせてはならないのだ。

よって、おみくじの中身は大吉をスタンダードとし、大吉以上を作ることで一部の人は特別感も感じられる仕様に決定した。特に深く考えずに作り始めた結果、おみくじは以下4種類のラインナップとなった。

・大吉
・大大吉
・大大大吉
・エターナル大吉

頭が悪そうすぎる…という悪口はグッと飲み込んで、Amazonで注文したメッセージカードにせっせと多種多様な大吉を書いていく。おみくじらしく、開運メッセージ的な一言も添えた。大量生産したメッセージカードとボノボンチョコをラッピングし、ようやくバレンタインみくじは完成を迎えたのである。

目を凝らすとうっすら大吉が見える

全てなんとなくで用意したラッピングもチョコもメッセージカードも、絶妙なサイズ感と色合いで作ることができた。ぱっと見すごいファンシー。メッセージカードがあと5mm大きかったら入らなかった。

節約のために考案されたバレンタインみくじだったが、作り終えた今、単純に作っていて楽しかったという思いが強い。もらって嬉しいかはともかくとして、作って楽しかったからおっけ〜〜〜とゆるい気持ちで明日会社に持って行こうと思う。

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