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詩と小説

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ぽつりぽつりと落ちた言葉を集めては歩く。 かたりかたりと睡魔の声で紡がれる物語。
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#ポエム

月って。

月って。

月って。月って何?
四角の中に、ある真ん丸?
遠い遠いどこかに、ある真ん丸?

月。月って。何?
どうしていつも、傍にいるの?
ほんとは地球の、どこにもいないの?

月って。月って。何?
誰かのためなんかじゃ、ないはずよ。
闇を照らすためなんかじゃ、ないはずよ。
地球のためなんかじゃ、ないはずよ。
月って私たちと、おなじなはずよ。

だけど、やっぱり。
だから、やっぱり。

月って、いったい何?

水先案内人の彼/彼女

私の頭の中には死神が居る。
別に殺されるわけじゃないんだけど、私は彼/彼女を死神と混同してる。

私は瞼を閉じて、真っ白な世界で死神の隣に立つ。
彼/彼女は私を見て「また来たの」と小さく笑う。
「今日も頑張ったね」と手を差し出す。
その手を取ると、真っ直ぐ伸びた道の左右に夢が浮かぶ。
それは目の前にあるかのように、瞼の裏にあるかのように、ゆらゆらと、私のために、ただ浮かんでいる。

夢をひとつひと

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ゆるしあえる存在

ゆるしあえる存在

ぴたりとくっつく背中があつい。

シングルシーツの海にふたりなんて、嫌になっちゃうくらい狭い。
とてもとても狭い、はずなのに、どうしてかこれ以上の広さは不要な気がしている。

このベッドには、足を伸ばす余裕がある。
このベッドには、腕を広げる余裕もある。

入り組んだり、乗せたり、乗せられたり、物理的には確かに窮屈だけど、そこには心地よさすら感じられた。

本当は、余裕なんてほとんど存在しないのだ

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