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日の出を見るために早朝の横浜をダッシュした友達を追いかけながら考えたこと


先日、高校時代のお友達のりんちゃんの誕生日があったので、その時の話をしたいと思います。

愉快なお友達 りんちゃん

私とりんちゃんは同じ大学ですが、違うキャンパスに通っているのでなかなか会うことができません。だから月に一回、定期的に遊びに行く約束をしています。そして今月の遊びに行く日は、りんちゃんのお誕生日の前日でした。私が「この日は空いていないから〜」などと言い、一生懸命彼女のお誕生日に近い日の予定をとったからです。

約束の数日前にりんちゃんからラインがきて「横浜に行きたい!」とのこと。この時期は赤レンガ倉庫でクリスマスマーケットをやっていたり、夜景が綺麗でしょうから、私もぜひ行きたいと思い、二つ返事で承諾しました。

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彼女に夜何時ごろまで遊んでいられるのか聞くと、その日は横浜のホテルに泊まると言うのです。私は少し羨ましいな〜学部のお友達とお泊まりかしら、などと思っていました。

遊びに行く当日、つまりりんちゃんの誕生日の前日、授業が終わって彼女と合流しました。彼女はキャリーバックを持っていました。
「旅行気分が味わいたくて、わざわざキャリーを持ってきたの!」
そうなんです。りんちゃんはこんな愉快な子なんです。さらに話していくと、りんちゃんはなんとホテルに1人で泊まると言うのです。これには驚きました。

電車に乗っておしゃべりしていたら、1時間の電車なんてあっという間です。りんちゃんのお友達の面白い話を聞いたり、お互いの近況報告をして、楽しく電車の中の時間を過ごしました。

横浜に到着

馬車道駅で降りたのですが、駅構内の壁が煉瓦で、なんだかすごくいい雰囲気です。地上に出るとそこは横浜!天気も良く、暖かい電車内から出てきたばかりなので、冷たい風が気持ちいい。最高の気分でした。

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適当に歩いているだけで、素敵な夜景が見れます。女の子2人なので延々におしゃべりしています。カップルも沢山いましたが、2人とも景色とお喋りに夢中であまり気になりませんでした。

りんちゃんのホテルにチェックインしました。ダブルベットがドーンとひとつある、ビジネスマン向けのお部屋です。
「泊まるなら声かけてくれればよかったのに〜」
そんなことを言うと、りんちゃんが食いついてきました。
「一緒に泊まる?泊まる?」
私は泊まるなんて考えていなかったし、準備もしていなかったので、軽い気持ちで、じゃあ部屋が空いてるか聞いてみようかとフロントに聞いてみました。

フッ重 ノリで宿泊を決める

フロントには流暢な日本語を喋る、フィリピン系のおじちゃんがいました。りんちゃんが一生懸命、同じ部屋に泊まれるのか、近い部屋は取れるのか話してくれました。同じ階でひと部屋だけ空きがありました。一泊素泊まり5900円。学生にとってポンと出せる金額ではないけど、払えなくもない。直感で「泊まりたい」と思い、そのまま支払いをしてしまいました。

私はもともとおうちが大好きなフットワーク重めな人間です。一緒にいたのが大好きなりんちゃんだったから、こんな突発的に泊まることを決めれたのだと思います。りんちゃんと一緒にすごしたいな、が、嫌いなアルバイトで6時間働いてもらえるお金を支払うこと、大好きなおうちに帰ることを上回った瞬間です。

ぽんと泊まることを決めた時、大人になった気がしました。コンビニでお泊まりセットと、お酒を買っている時にも自分が大人になった気がして、内心ウキウキしてしまいました。

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日の出を見に行こう

今回りんちゃんが横浜に泊まることにした目的は、「誕生日の朝に日の出を見たい」からでした。それは彼女が今回の宿泊で1番重要だと考えていたものです。

6:30に日の出らしいから、5:30に起きようという話になりました。日付けが変わってすぐにお誕生日のお祝いとおやすみを言い、各々自分の部屋に帰りました。

次の日の朝、つまり、りんちゃん誕生日の日の朝、私たちが起きたのは6:00でした。寝坊してしまったのです。りんちゃんは、高校時代も朝が弱い人間でした。そんなりんちゃんが自力で朝起きたのは、寝坊とはいえ、奇跡みたいなものでした。私は日の出を見ることにそこまで拘りがなく、りんちゃんについて行こう、と思っていた程度だったので、寝坊したのもうなずけます。

お化粧もせず、2人でとにかく日の出が見える場所へ、と、海の近くの公園へ向けて出発しました。

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残り10分 りんちゃんの全力疾走

私たちは早歩きで公園まで向かっていました。しかし、公園へは現在地から13分かかるとgoogleマップははじき出しました。コスモワールドの観覧車の時計はその時、6:21を指していました。どう考えても間に合いそうにありません。
「ごめん、私は走るわ!」
そう言って私に地図を渡したりんちゃんは、公園へ向けて走り出しました。

私も必死で追いかけます。走りながら、高校時代にりんちゃんと一緒にマラソン大会に向けて練習していたときのことを思い出しました。高校時代、私はバスケ部で、りんちゃんは吹奏楽部。りんちゃんの方が足も遅く、体力もなかったので、当時は私が彼女のペースに合わせたり、別々に走ったりしていました。

そんなりんちゃんが私よりも先を走っていました。私は現在も定期的にランニングをしていますし、体力が著しく落ちた訳では無いのです。りんちゃんのどこにそんなパワーがあるのだろう、と驚いてしまいました。

6:30少し前に海の見える公園に着きました。空はだんだん明るくなり、東の方の空は赤く染まっていました。

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太陽が少しづつ顔を出しはじめています。思っていたより、太陽の光が眩しくてびっくりしてしまいました。

りんちゃんはじっと太陽が昇るのを見ていました。

私が忘れていてりんちゃんが持っているもの

りんちゃんが1人でもホテルに泊まろうとしていたのは、苦手な早起きをしたのは、早朝でも全力疾走したのは、全て「誕生日の朝に日の出を見たい」ためでした。彼女はただただ自分のやりたいことに向けて、真っ直ぐに行動していました。

そんなりんちゃんを見て、私はハッとしてしまいました。

最近の私は、ここまで自分のやりたいことを貫き通したことはあっただろか、と考えてしまったのです。大人になるにつれて、失敗したくないし、安定を求めて、無理そうなことは避けて生きようとしてしまいます。でもこんなふうに消去法でばかり道を選んでいたら、なんだか人生つまらなさそうです。

「誕生日の朝に日の出を見る」ために、全力疾走したりんちゃんは、楽しそうに見えました。

りんちゃんは私が忘れてしまった、子供のような無垢な気持ちを持っている子です。そんなりんちゃんに、もう少し自分のやりたいように生きていいんだよ、と言われたような気がしました。
2021/11/30

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