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プロポーズもあたしから

   つきあいたいと言うのはいつもあたしから。だから。

   初めての告白は高校1年生の中間テストのあと。小学生のころから、夏休みに彼氏とどこかに行くのが夢だった。入学してすぐに、ちょっといいなと思った人ができた。こういう時って多分、探りをいれると思う。彼女がいるのかなとか、好きなタイプはどんなのだろうとか。年上が好きなのかなとか年下なのかなとか。でもあたしはそんなこと考えない。あ、このひとが好きだなと思う。で、告白してくれるようにしむけるーなんて時間もったいない。ライバルができちゃうかもしれないし、うかうかしてる間に誰かに横取りされちゃうかもしれないじゃん。だからあたしから告白するんだ。もちろんふられることもある。


『積極的すぎるんだよなあ。きれいな人とは思うけど、おとなしいひとが好きなんだ。ごめん』

『他に好きなひとがいて・・。ごめんなさい』


   2度目の高校3年生のときも(1年生のときの彼はクラスが変わったときに自然消滅してしまった)あたしから、3度目の大学生のときも、4度目の社会人になってからも。


『失恋したばっかりなんだ。彼女にまだ未練があって。もう少ししたら戻ってきてくれるかもしれないし』

『いまは仕事が忙しくて。仕事に集中したいんだ。すいません』


     今の彼とは付き合って5年になる。同い年のあたしたちはもうじき30歳になる。最近の男性は女性からプロポーズをして欲しい人が多いらしい。ヤフーの記事だったかに書いてあった。うとうとしながらスマホで記事を見てたから記憶違いかもしれないけど。ふうん。そっか。だったらあたしからプロポーズしても彼はおどろかないね、その記事を見てたらの話しだけど。あたしはプロポーズの場所にもこだわった。あたしの家でとか、彼の家でとか、初めてデートしたカフェとか、初めて手をつないだ水族館とか。うーん、ロマンチックなトコがいいな。花火を見ながらとか、クリスマスのイルミネーションの前でとか。でも花火だのイルミネーションってのは季節が限られてる。彼が大好きだと体じゅうで思っている今、プロポーズがしたい。キラキラしてて、夢の中にいるような錯覚を覚える場所、そうだ、ディズニーランドに行こう。シンデレラ城の前なんて最高。「なにがあってもあたしがあなたを守るから」プロポーズの言葉にもこだわった。結婚して、なんて言葉はダイレクトすぎて恥ずかしい。これからもずっと一緒にいて、ってのはプロポーズの言葉にしては重みがない。


『きみからプロポーズしてくれてよかった。ぼくは消極的だから勇気がないんだ。プロポーズしても受けてもらえる自信がなかったし、断れるのが怖かった。プロポーズの言葉シチュエーションも浮かばなかったし』


   結婚後もあたしがあれこれ決めることになりそう。あたしからナニナニを求めることになるのかな。今までだって、ホテルに行こうって誘ったのはほとんどあたし。ま、いっか。彼は自分の意見がないのかなと、イライラするなあと思ったのは1度や2度じゃない。だけど2人ともがガツガツ人間なら意見がぶつかると思う。だったら真逆なほうがいいや。


❇️読んでいただいてありがとうございます。女性からプロポーズをするのもアリ、というヤフーの記事から着想を得ました。今の世の中の男性ってそういうもんなんですかね?🤔