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ドライブ・マイ・カー

昨年公開された映画『ドライブ・マイ・カー』がWOWOWにて、放映されたので、じっくりと観ることが出来た。
原作は、村上春樹氏の『女のいない男たち』に、収録されている短編作品の
一つであり、原作は60ページに満たない短編作品。
村上春樹小説の前後をプラスして、濵口監督が自ら脚本を書き、放映時間が3時間近くになる長時間作品である。映画館で鑑賞するには少々長くて、
トイレが気になほどの時間だった。

私にはこの作品が、村上春樹氏の短編作品の中でも気に入って、面白く
感じたものだったので、濵口竜介監督がどう映像表現するのかと感じて、
楽しみにしていたものだった。
放映時間とは違って、原作は60ページにもならない短編だが、濵口監督の脚本がその村上作品の前後にプラスαされたもの。

主人公の禍福(西島秀俊)と、亡くなった妻は、お互いに愛していたと
思うが、どこかでお互いに孤独感を持ちながらの夫婦であった。
しかし、ある日偶然、妻の分からない部分を見つけてしまう。
でも、何も見なかったようにする禍福。
そして、妻が亡くなることで、禍福は、妻の分からない部分を
永遠に掴むことが出来なくなってしまった。
映像での各シーンで、その孤独感が物凄く強い。
特に、妻を演じた女優(霧島れいか)の時折り見せる孤独感は、
強烈だけど、とても美しく、怖い。

綺麗に洗車された、赤い車の走行シーンが繰り出されるが、車内での
カーステレオの操作音などの描写は、村上作品なんだと思う。

この映画は、監督自ら書き上げた脚本から、各俳優達がじっくりと
台本を読みこなし、演じられ丁寧に作り上げられた作品だと思うが、
村上春樹作品と同様に、はっきりとした展開を楽しむ小説ではないと
思う。
トップガンのような、爽快な?作品を求めると、むりな作品なのかも
しれません。