スクリーンショット_2019-02-26_11

【医師直伝】花粉症に『鼻うがい・鼻洗浄』は効く?科学的根拠に基づくコクラン・レビューより。


こんにちは、Dr.森田です。

もうすぐ3月ですね・・、憂鬱な『花粉症』の季節がやってまいりました。


と、なると気になるのは花粉の飛散状況。

世の中には花粉の飛散状況やらもろもろ予報はありますが!

個人的には、世の諸々の流行予測にもまして、『グーグルトレンド』がもっとも信頼できるかな〜?と思っております。

こんな感じですね。


Google Trends(グーグルトレンド)は、ある単語がGoogleでどれだけ検索されているかというトレンドをグラフで見ることができるツールです。うえのグラフはグーグルトレンドのサイトで「花粉症」と入力した時に出てくるグラフです。(2019年2月末現在)
https://trends.google.co.jp/trends/


これを見ると、これから花粉がガンガンきそうな予感でいっぱいになります…(ノД`)。


ま、花粉予報はさておき…(^_^;)、今回は花粉症対策について。


花粉対策と言えばもちろん、マスクや薬は当然大事!

そこは言わずもがななんですが、今回は意外な盲点的なヤツ。

『鼻うがい』


について調べてみようと思います。



ちなみに、花粉症の薬(薬局・通販で買える「医者が出す薬」)についてはこちらでまとめております。



 『鼻うがい!』


聞き慣れないかもしれませんね。

wikipediaにはこう書いてあります。



『鼻洗浄(はなせんじょう,nasal lavage)、鼻腔洗浄(びくうせんじょう)、鼻うがい(Nasal irrigation)とは、液体を鼻腔から入れ口や鼻から出し、鼻腔内を洗浄する方法のことである』


Wikipedia 鼻洗浄より
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%BC%BB%E6%B4%97%E6%B5%84



論より証拠。動画を見ればよくわかります。これが鼻うがいだ!



ま、簡単に言えば、花粉もゴミもハウスダストも、全部一緒に余計なものは食塩水で洗い流しちゃえ!


そんな感じのものですね。インドあたりでは、日本で言う『乾布摩擦』的な位置付けで一般的に行われている、という噂も(確証なし)。



実はそんな僕も立派な花粉症持ち!

『鼻うがい』毎年やってます(๑•̀ㅂ•́)و✧


でも、結構鼻が敏感な方なので・・かなり慎重にやります。


個人的なコツは以下4つ!


◎洗浄液を人肌以上に温める(冷水は鼻がツーンとする)

◎ちゃんと食塩水を使う(真水は鼻がツーンとする)

◎終わった後、鼻を強くかまない。(耳がツーンとする)

◎痛くないように水圧を微調整しながら洗う


こんな感じでしょうか。



で、僕が強力にお勧めするのがこちら!

僕はもう10年以上愛用しています!


なんでそんなにお勧めかといいますと、このハナクリーンは、容器にお湯と水を入れる線がついているので

◎簡単に人肌の温度にできるし
◎1回分の食塩水のパックも付いてるし、
◎手動ポンプ式なので水圧調整がしやすい!のです。




Amazonで見る↓

楽天で見る↓




あ、10年使ってるうちに新商品も出てますね。こちらはコードが螺旋になっててかさばらないようです(でも幅が広くて場所をとるかな?)値段はそんなに変わらないみたいですが。



Amazonで見る↓

楽天で見る↓




で、今回の本題。

こんなただ洗い流すだけの単純で前近代的で原始的な方法が、本当に効果あるの?

運良く科学も医学も発達したいい時代に産まれて、薬や手術の恩恵を全身で受けられるせっかくの立場なのに、今更『洗うだけ』!!??

ってどうなの??

確かにそうですよね・・・


で、この『鼻うがい』が効果あるのかないのか!実はこれ、医学的にも検証されておりまして論文もいくつか出ております。


といいましても、医学論文にも信憑性に各種いろいろなレベルがありまして…手っ取り早くいいますと、医学的にもっとも信頼性の高いものは、『システマティックレビュー』というもので…簡単にいうとこんなところ。


『システマティックレビュー』(英語: systematic review)とは、文献をくまなく調査し、ランダム化比較試験(RCT)のような質の高い研究のデータを、出版バイアスのようなデータの偏りを限りなく除き、分析を行うことである。 根拠に基づく医療(EBM)で用いるための情報の収集と、吟味の部分を担う調査である。


出展:Wikipedia『システマティックレビュー』
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%9E%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%83%AC%E3%83%93%E3%83%A5%E3%83%BC


つまり、システマティックレビューで効果ありと言われたなら、有効である可能性がかなり高い!ということですね。

システマティックレビューで認められるためには、何千人・何万人の患者さんに対して(しかもその多くは患者さんが飲む薬が本物なのか偽物かもわからない状態で)その効果が実証されたという論文の数が多く出てこないといけないわけですから。

で、世界中の論文を片っ端から分析しまくって、そういう『システマティックレビュー』を世界に発信しているのが、『コクラン・レビュー』でして、そのコクランさんがなんと!


「アレルギー性鼻炎に対する、生理食塩水を用いた鼻うがい」


というレビューを出しているんですね!それがこちら↓


ちなみにコクランさんはこうして日本語版も出してくれているので、一般の方でも非常に読みやすくなっております!皆さん、いろいろ検索してみましょう!


で、その内容はどうなのかといいますと、こんな感じ。




■「鼻うがい」の効果を比較研究した論文は14あった。全部の研究の合計対象者は747人(成人267人、小児487人)だった。

『生理食塩水による鼻うがい』をした場合、成人も小児も共に『何もしない』場合よりアレルギー性鼻炎の症状緩和に効果があった。副作用はなさそうだった。食塩水の量や濃度によって違いがあるのかどうかについてわからなかった。

■『鼻うがい』と、『ステロイド点鼻薬』『経口抗ヒスタミン薬』の効果をの比較するのに十分な研究報告はなかった。

■エビデンス(科学的根拠)の質は全体的に低度、または非常に低度だった。これは、ほとんどの研究の規模が非常に小さく、それぞれが異なる手法を用いていたから。ただし、生理食塩水による鼻の洗浄は、安価で安全であり、ステロイド点鼻薬や抗ヒスタミン薬の代替として許容可能な方法であるため、今後さらに質の高い研究が求められる。


ま、つまり簡単に言いますと。


『鼻うがい』についてはそこそこ研究されており、『効果あり』と言えそうだが、合計でも1000人未満しか研究されてないので、結論は言えない。ただ、副作用はなさそうだし、安価で簡便なので、もっと研究して欲しいな。


というところでしょうか。


まぁ、確かに昔は傷口を消毒するのが一般的でしたが、今はもう「傷口は消毒はしないで水道水で洗え!」が医学界の常識です(医学の常識も日々変化します)。そういう意味では、「鼻アレルギーはまず食塩水で洗え!」もそのうち常識になるかもしれないですけどね。


以上、「花粉症に鼻うがいは有効か?」でした。




あわせて読みたい


注:この記事は投げ銭形式です。

医療は誰にでも公平に提供されるべき「社会的共通資本」、
という信念なので医療情報は基本的に無償で提供いたします。
でも投げ銭は大歓迎!\(^o^)/
いつも一人で寂しく(しかもボランティアで)
原稿を書いているので、
皆様の投げ銭から大いなる勇気を頂いております!
ありがとうございますm(_ _)m

ここから先は

0字
この記事のみ ¥ 100

夕張に育ててもらった医師・医療経済ジャーナリスト。元夕張市立診療所院長として財政破綻・病院閉鎖の前後の夕張を研究。医局所属経験無し。医療は貧富の差なく誰にでも公平に提供されるべき「社会的共通資本」である!が信念なので基本的に情報は無償提供します。(サポートは大歓迎!^^)