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R-1に学ぶ、レッドオーシャンからブルーオーシャンを見出す「体験的価値」

新しい顧客行動の定義

R-1は、「乳酸菌」という機能性によってだけで市場を席巻し、トップランカーに君臨しているわけではない。多くの消費者がその独自に定義された体験的価値に惹かれた結果だ。

R-1の魅力は、単に「強さひきだす」という機能的なメッセージだけではない。その背後にある「体験価値」だ。

100ml前後のペットボトルに詰められたドリンクヨーグルトは、外出先でもスプーンなしで気軽に飲むことができる。この手軽さ、便利さという体験的価値に、そしてその中で提供される健康への機能的価値が、多くの消費者の心を掴んだ

ユーザーが実際に製品を手に取って感じる体験、それがR-1の最大の武器と言える。その体験価値を伝えるマーケティング・メッセージが、消費者との接点をしっかりと築くことに成功した。

戦略の妙がここにある。

競争の激化と新たな課題

この成功は他の企業からの模倣を生んだ。多くの企業が同様の形状や機能的価値を持つ製品を市場に投入。結果として、再び機能的価値での競争が始まっている。こういった競争は結局、価格競争へと向かう危険がある。

しかし、エナジードリンク市場に新たな「カッコよさ」を持ち込んだレッドブルのように、いかに模倣を生んだとしても第一想起をファーストムーバーが獲得してしまえば、競合他社は母集団としてのマーケットを拡大してくれる参加者にすぎなくなる

新市場への挑戦の可能性はないか

一方で、競合が増えてきたここで新たな体験価値によって差別化が測れないか、スライドさせた新たな市場の獲得ができないかを思考実験してみよう。

エナジードリンク市場は巨大でありながら、その多くは体に負担をかける可能性が指摘されている。ここには大きなチャンスが眠っている。

エナジードリンクが提供する「短期的なエネルギー供給」という機能的価値と、R-1が提供する「本当に体に良い」という機能的価値を組み合わせる。その上で、エナジードリンクの利用シーンやターゲットを想定し、ブランディングやマーケティング・メッセージを構築する。

提供価値を分解し、各要素を再構築・シフトすることで、新しい市場を獲得することができる。これは単なる模倣や追随ではなく、市場の真のニーズを見極め、それに応える新たな価値を創出することに繋がる。

その結果、業界の既存のルールを塗り替える可能性を持った革命的な製品やサービスを生み出すことができるだろう。世界を塗り替えるワクワクするビジョンが見えてくる


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