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学生時代のヨーロッパ旅行(その二十一、イタリア)

ジェノヴァで華やかな週末を過ごした後は、イタリアを更に南下、フィレンツェに向かいました。

フィレンツェの友人

Tiptreeでは、フィレンツェの友人とも知り合いになっていました。ヴィットリオ君と言います。ロベルトと一緒にいたことが多かったのは、ジェノヴァとフィレンツェが地理的に近いということもあったのでしょうね。フィレンツェに着くと、真っ先にこの友人に連絡しました。

ヴィットリオはフィレンツェの駅まで迎えに来、彼の自宅に連れて行ってくれました。フィレンツェの彼の家というのは、驚いたことにルネサンス期に建てられた6階建ての古いマンションでした。15世紀から16世紀がルネサンスの勃興した時代ですので、新古典主義と呼ばれる西欧の建物が18世紀、19世紀を主体としているのと比べると、更に200年以上遡る時代です。日本でいうと、室町時代にあたります。そんな時代の建物が、現代でも普通に人が住めるマンションとして成立しているというのが驚きでした。

イギリス、フランス、ドイツという国々が産業革命の後に勃興していくのと比べると、イタリアはルネサンスとその後の都市国家による隆盛の時代に文化が花開きます。その時代に既に高層の集合住宅が建てられていたわけです。

ポンテ・ベッキオ

その様な古いマンションに住んでいたヴィットリオの家は、相当に資産家だった様です。家業はフィレンツェの観光名所ポンテ・ベッキオでの宝石販売でした。この様な場所で店舗を持っていること、古いマンションに住んでいる事、そして商売が宝石の販売であったら、この家は相当にお金持ちでしょう。
ヴィットリオは僕を連れて、ポンテ・ベッキオの宝石店に連れて行ってくれましたが、貧乏旅行のバックパッカーで、着るものも質素な僕はとても場違いなところに来たと感じました。
ヴィットリオはパブをハシゴするという様な生活はしていなかったですね。上品な家庭の息子と言ったいで立ちでした。家で簡単な食事を振る舞ってもらいました。

ポンテ・ベッキオ橋上の店舗

フィレンツェ大聖堂

フィレンツェでは、いくつもの建物を見学しましたが、特に印象に残っているのは大聖堂です。この大聖堂の内部空間はとても広く、この屋根をかけるのに何人もの建築家が検討を重ね、最終的にブルネルスキの案が採用されて建設されています。
この屋根は、二重構造になっており、その二つの構造の間を這って、最頂部まで行くことができます。1430年にこのドームが完成しているというので、実に600年前の出来事です。中世の人々が苦心して建設した巨大なドーム建築には、本当に感銘を受けました。

ローマ

フィレンツェからは更に南下、ローマに入りました。ローマでは、普通の観光客状態でしたね。ユースホステルに宿を構え、ローマのルネサンスよりも更に古い古代遺跡を巡り歩きました。

フォロ・ロマーノ
古代ローマの建築物が廃墟となった遺跡群。いにしえの、栄華を誇ったローマ帝国の様子が偲ばれます。2000年以上の前の建築技術の様子を想像しながら彼らの遺跡を見ていると、タイムスリップをした様な感覚になりました。

フォロ・ロマーノ

パンテオン
フィレンツェの大聖堂と比べると、一回りも二回りも小さなドームの建物ですが、建設された時代はルネサンスよりもさらに1500年も遡るものです。
パンテオンでは最頂部が開口となっているのがとても面白かったです。この建物では何を意図して、小さな穴を頂部に残したのでしょう。換気のための開口でしょうか?

パンテオン

コロッセオ

ローマの野外競技場コロッセオも巨大な建造物でした。欧米には、この円形競技場を舞台にした映画がたくさんありますが、実際にこの様な具体的な遺跡が残ってあるのだから、イメージをかき立てられます。日本には城郭と寺院がたくさん残っていますが、競技場というスペクタクルな空間と比べるとなかなか絵になりづらいですね。

コロッセオ

シエナ

ローマを後にして、これよりは南に行くことは諦め、北上しました。ユーレイルユースバスで辿り着く最終地点をベネツィアと設定しており、それまでにオーストリアにまで足を延ばすことを考えていたからです。

オーストラリアに向かう前に、シエナの街に立ち寄りました。シエナの街は、ルネサンス期に活躍した商業都市国家よりも古い時代の、山岳都市といった風情でした。中世の交易が船を主なツールとして発展していったので、それより以前の時代陸路を主体としていた時代に発展していたのでしょう。
そのため街並みのたたずまいがとても古風で、ミラノやジェノヴァよりも更に古い感じがしました。イタリアの街というのは、それぞれがとても特殊な歴史を有しており、異なった風情を持っていらものだと感じました。

山岳都市シエナ

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