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【台湾の面白い建物】台中國家資訊圖書館

この建物は、潘冀建築師の設計した台中の新しい図書館です。
これは、もともとは日本統治時代の台中市の図書館だったそうです。この図書館の蔵書を新しい図書館に移す際、国の資訊(情報)図書館と位置付けて、まったく新しいイメージの施設として生まれ変わりました。

設計者の潘冀建築師は、台湾では公共建築を多く手掛けている、台湾建築師界の第一人者です。
この外観からどのような内部空間になっているのかとても興味を持っていたのですが、内部は中央のエントランスから両方にウイングを伸ばした、とてもオーソドックスな計画になっていました。
1階は半分をテナントスペースとし、残りの半分を子供図書室とし、残りの階は2つのウイングにそれぞれの図書コーナーを配置しています。このレイアウトは、公園のコーナーに建物を配置したための景観の配慮から、計画されているようですね。

資訊と銘打っているだけあって、コンピューターの端末と、CDや映像メディアのコーナーはとても充実していました。また、天井と床のデザインが、動線計画をうまく表していて、サイン計画の一部を担っていることもうまい処理だなと思いました。室内のコーナーがいずれも大きなカーブをとっているのも好感が持てましたね。

外観の斜めの壁面は室内側から見ると、何の無理もなくとても自然に納まっていました。この形は内部空間の要請から検討され、うまく外観に反映したのだろうと思いました。
この図書館は、とてもバランスの取れた素晴らしい建築計画だと思います。

https://www.bing.com/search?q=台中國家資訊圖書館 &qs=ds&form=QBRE

【外観】

この建物は、波打つ様な曲線と曲面の処理が特徴的です。この立面は、コンクリート素地の上にモルタル補修、その上に円形のタイルと目地処理の上に吹き付け塗装で処理されています。

東側道路に面した立面。足元に建物を貫くエントランスがあります。
これも東側立面。南側を向いています。
西南コーナーの妻面。大きなガラス開口になっています。
中庭サイドから見た様子。L字型平面の中央がエントランスです。

【平面図】

ブーメランの様なL字形の平面になっています。コアが3カ所に分散し、それが平面の内側にあるため、外壁周りが自由に使えるプランになっています。

4階の平面サイン

【共用部】

共用部で特徴的なのは、床のパターンと天井のデザインで、動線を表現していることですね。この様な空間デザインをすると、人はこの方向性に向かって自然に歩いていきます。そのような誘導性を自然に備えているというのがとても新しい感じがしました。

エントランスの吹き抜け空間
天井デザインによる、動線の表現。
天井を見ると自然にこの方向性で歩きます。
コンピューター端末のコーナー。光壁のデザインに合わせて設置されています。

【書架】

書架の部分は、比較的質素で単純な設えでしたね。

標準的な書架。高さを抑えてるのが特徴です。
雑誌コーナーの書架。45度にして菱形に置いてます。

【窓際の処理】

台湾の図書館は、館内で沢山の人が学習をしているのが一つの特徴です。そのニーズに合わせて、最近の図書館は窓際を積極的に学習コーナーに設えています。
そんな中でも、この建物は特にそのデザインのされ方が秀逸です。そもそも、この外観に現れている横連窓の開口部は、この学習席のデザインから導き出されたものだと思われます。その配置をいろいろ工夫する中で、断面計画の変化が現れ、それを外観デザインにフィードバックしていった。恐らくそのような経過をたどって創造された新しいデザインなのだろうと感じました。

左側の妻面は避難バルコニーとするためにフルハイトのガラス面になっています。
右側は足元が曲面になっています。
窓に向けて机を配置したコーナー。居心地が良さそうです。
ラウンジ的設えにした窓側部分

【情報コーナー】

情報端末の配置も曲面を利用した変化のあるものになっています。
CD、DVDのデジタルコーナー。ガラスのオープンな仕切りになっています。

【こども室】

子供室の設えは、思い切ってマンションのキッズコーナーの様にデザインされています。床がフローリングになっているほかにも木材を多用して、暖かい雰囲気になっていますね。

これは樹木をデザインしたのでしょうね。
家具も丸い可愛いものにデザインされています。

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