学生時代のヨーロッパ旅行(その二十、イタリア)
Lago MaggioreのGianniのところで、旅の準備を整えた後、ミラノからジェノヴァへと旅を進めました。イタリアでは行く先々で友達に連絡をとって、週末を一緒に過ごしています。ジェノヴァではRobertoを訪ねました。
ミラノ
ミラノにはLago Maggioreで知り合った2人の友人が同行してくれました。そして、Gianniと同じ様に、あちらこちらの名所に連れていってくれ、食事は一緒に食べその料金も払ってくれました。
イタリアに入って以来、毎日の様に友人のお世話になり、ご馳走になる生活でした。皆には日本に来たらお返しするからと言っていましたが、日本は遠くそんな機会は今もってありません。
この様な客人をもてなすスタイルは、僕が今住んでいる台湾もよく似ています。日本からの友人が来ると、大きな円卓での食事会を他の友人と一緒に開いて歓待してくれます。そして、日本からの客人には支払わせません。僕も日本からお客さんがくる際にはこのスタイルにしています。
しかし、この時点でイギリスのTiptreeを離れて約2ヶ月。毎日が旅行という生活にだんだんと疲れてきました。21歳だったので体力はそこそこにあり動けるのですが、精神的に疲れてしまって、新しい街に来てもあまり刺激を感じないという状態に陥ってしまいました。
ミラノの街では、2日ほど休息をとって、後半2ヶ月の旅に備えました。何しろ帰りのフライトチケットは2ヶ月後のアテネからなので、途中どの様に過ごしても、そのタイミングでアテネまで辿り着かなくてはいけません。ときどきの休養は必要になります。
アルド・ロッシ
ミラノでは、大聖堂Duomoとアーケード街、最後の晩餐などの、よく見る観光スポットの他に、イタリアの建築家アルド・ロッシの建物を見学しました。
この建築家の建物は、静謐なオリジナルな空間で人気です。写真を見ると、まるでムンクの絵の様な非現実的な夢の中にいる様な印象を持ちます。この建物を現地で見てきました。
ミラノには、ガララテーゼの集合住宅として有名なアルド・ロッシの設計した建物があります。これを訪れました。実際にこの建物の足元に立つと、生活感はあまりなく、抽象的な空間だけが感じられます。このスペースの特徴は、インテリアの要素がとても少ないこと、柱や窓が均一に反復されていることなどにあります。
今思うに、この様な非常に研ぎ澄まされた、空間のみで構成する手法は、安藤忠雄の設計に通じることがある様に思います。安藤忠雄が打ち放しコンクリートを好み、幾何学形態を要素にして空間を構成するそのインパクトは、このアルド・ロッシの設計した空間に似ている様に思います。色彩や素材感を出来るだけ削ぎ落として、空間の質だけを浮かび上がらせること、ローマの古代建築につながる様な反復のリズム感。その様な印象の建築でした。
コモ湖
ミラノを離れて、いったんまた山の中に入り、コモ湖を訪ねました。これは、カサ・デル・ファッショという建築作品を見るためです。この名前の意味はファシスト党の事務所ですね。第二次世界大戦のファシスト党の建物です。
ジュゼッペ・テラーニのこの作品は、端正な立面と平面の構成が特徴です。そして、この建物の立面も同型反復のリズム感とシンプルな建材の選択が特徴的ですね。これは、イタリア人の感性なのでしょうか。
そう言えば、この立面の構成は安藤忠雄の那覇での商業建築、フェスティバルに似ています。建築の志向するところが似ているのでしょう。
ジェノヴァ
コモを後にすると、また海の方に向かいました。今度はジェノヴァです。ジェノヴァではTiptreeで仲良くしていたRobertoを訪ねました。
この街は治安があまり良くないと聞いており、少し緊張していましたが、友人と一緒に街歩きをするのでそんなに不安なことはありませんでした。
この街でも、週末の過ごし方は友人たちに混じってバブのハシゴでした。港町のおおらかさが感じられて、とても明るく気分の良かった夜だったことを覚えています。
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