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保険会社もつらいよ

台湾で聞いたニュースで、日本ではあまり聞かないパターンだなと思った出来事があったので、紹介してみます。保険の仕組みを使っていかに金儲けをするかという話です。

コロナ保険

コロナが発生して以来、台湾はコロナウイルスの水際対策にずっと成功していました。諸外国で何万人という感染者が出ていた時に台湾では一桁しか感染者が現れておらず、患者の追跡調査も万全で、国中が台湾の疫情中心の偉業に喝采を送っていました。
しかし、諸外国がオミクロン株では感染しても大事に至らないと判断したことから、with Corona政策に移行していく中で、台湾も外の世界に歩調を合わせるように政策の転換を図り始めました。2022年2月のことです。

この直前、台湾人はこぞってコロナ保険に入ったのだそうです。詳しい契約内容は分かりませんが、コロナに罹ったら、10何万円かの保険金がおりるというものです。この条件はコロナで陽性になったことが証明されるということでしょう。疫情中心がwith Corona政策に移行する予定だと、そういうアナウンスが出た直後、そして保険会社がこの事態に対処する直前です。
そして、この直後コロナの患者は爆発的に増えました。そして感染者には、実質的な症状の軽重に関わらず、一律保険金が支払われることになりました。この金額は莫大なものになったそうです。保険会社の資金的な基盤を揺るがすほどに。

コロナ政策の変更が、保険金を正規の手段で受け取る絶好のチャンスになると多くの台湾人が判断したわけです。そして塵も積もれば山となる。保険会社は今苦境に立たされているとのことです。

産後ケアセンターの保険金詐欺

これはひと月ほど前のニュースです。台湾でも著名な産後ケアセンターからの保険金請求が、違法に行われていると新聞で大きなニュースになっていました。

産後ケアセンターというのは日本ではあまり馴染みがありませんが、台湾では"月子中心"と呼ばれ、妊婦を出産前から出産後の二、三ヶ月の間、専門にケアする介護施設のことです。このサービスは台湾ではとても普及していて、その費用も安くないことから、多くの業者がこの業界に参入しています。
このような業種なので、勢い高級化が図られ、それに伴い費用もだんだん高くなっていきます。

この高額の費用を抑えるために、産後ケアセンターは架空の治療を仕立てて診断書を作成し、これを以て患者が保険会社に請求するように仕向けていたのだそうです。この金額が患者に行くようにして、患者の金銭的負担を軽減するというわけです。
この診断書偽造に参画したのは医師3名。産後ケアセンターは関与を否定し、医師達はこれは顧客サービスの一環としてやったことで、自らの利益のためではないと主張していました。
保険会社は、同じ産後ケアセンターから、同種の診断書が相次いで提出されていることから不審に思い、産後ケアセンター宛ではなく、保険金を受領した妊婦達宛に一括して訴訟を起こし、妊婦側は自らの預から知らぬこととして、産後ケアセンターを矢面に立てて集団訴訟に対応することになった。このようなニュースでした。

このニュースが台湾でどれほどの重大な出来事なのか、医療関係の友人に聞いてみたところ、これは医師の信用に関わる非常に重大な事件だと思うとのことでした。

個人的な印象として、産後ケアセンターは企業としてこのような不正な保険金の申請をしているのでしょうが、矢面に立っているのはあくまでも担当した医師です。そしてその医師が口裏を合わせて、疑いが産後ケアセンターに行かないようにしている。個人的にはそのような図式に見えます。

個人ではなく集団で行われる手法

これに似たような保険金詐欺や保険に関わる問題は,恐らく日本にも少なからずあると思います。ただ,台湾ではそれが集団で行われるというのが少し様子がちがうような気がします。そのため,保険会社の被る被害が大きくなりやすい。あくまで、印象ですがそのような感じがします。

保険会社の方も、ここの国民は油断も隙もない輩だと思っているのではないでしょうか。

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