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【知見】地域の選択 ~活性化か静かなる終焉か~

帰還不能点

地方創生は、2014年に第二次安倍内閣によって打ち出された政策で、今年でその開始から10年が経過しようとしています。人口減少、高齢化、地域資源の有無などは、地方創生における重要な課題です。成功の鍵としては、住民の主体性、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進、持続可能な事業モデルの構築が挙げられますが、これらはすべて若い世代の参加なしには成り立ちません。

「帰還不能点」とは、航空用語で「point of no return」の日本語訳です。これは、飛行機が離陸後に空港へ戻るための燃料が不足する限界点を指します。航空業界以外でも、後戻りが不可能な状況を表すのに用いられることがあります。僻地での医療・介護分野での経験を通じて、私たちはこの「帰還不能点」がうっすらとわかるようになりました。

様々な視点から考察することは可能ですが、一つの現実として、地域の高齢化率が60%を超えると、家庭や地域における介護力はほとんど残されていません。近隣に助けを求めても、そこにも高齢者が多く、頼りにならない状況にあります。さらに、企業の撤退が相次ぎ、生活に必要なサービスも地域から不足しています。

これは冗談のような話ですが、都市部から田舎に戻った定年退職者が、65歳を超えてもその集落では「若者」と見なされ、町の行事や世話を任され、忙しくしているという話を耳にしました。これらの方々は、他人に頼られる一方で、自分自身が頼る人を見つけられず、若々しい外見とは裏腹に不安を抱えています。

これらの事例から、感覚的には高齢化率が50%を超える前に何らかの対策を講じなければ、後戻りが不可能になると思われます。しかし、残念ながら危機意識を持つ自治体は少なく、住民も若者が離れていった原因を十分に理解しているわけではありません。そして、田舎に行くほど地位や名誉に固執する年配者が多く、世代交代の難しさを感じます。

ちなみに、私たちの会社はこのような環境下でビジネスを成り立たせるための基準を設けていることを付け加えておきます。

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