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Step❼:戦略を実行する

〜むっちゃシンプルな戦略思考〜

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Step❼ 戦略を実行する


“一生懸命つくり上げた戦略も、実行されなければ何の意味も価値のない。
そうならないために、「戦略伝達」のプロセスは極めて重要だ。
また、その際、戦略も「シンプル」なものでなければ、伝わらないし、実行もされない。”




戦略をつくったからといって、これで終わりではありません。

一生懸命つくっても戦略がしっかりと実行されなければ意味がありません。

そこで、戦略を実行する際のあるある事例と、戦略を確実に実行するためのポイントについてお伝えしていきたいと思います。



▶︎戦略を実行する際のあるある


戦略を実行する際のあるあるは、戦略を理解していなかったり、戦略通りに実行されないことです。
では、何故このようなことになるのか、よくある要因を列挙してみたいと思います。


あるある要因1: 戦略が複雑で難しい


戦略が複雑でわかりにくいため、組織のメンバーがどのように実行すればよいかわからないことがあります。

何をやればいいのかわからないので、混乱と不安が生じ、組織パフォーマンスも落ちてしまいます。
結局、戦略通りではなく、バラバラな活動になってしまうので、資源も無駄に使われ、最終的に目標を達成することもできなくなってしまいます。

つまり、複雑な戦略ではなく、「シンプルな戦略」でなければ実行されないということです。


あるある要因2:戦略がしっかり伝わっていない


個人の戦略であれば、自分自身でつくったものなので、その戦略について、十分に理解し納得していると思います。
しかし、組織の戦略では、自分だけが理解・納得しているだけでは、戦略は実行されません。
組織全体が戦略を理解し、納得して初めて実行が可能となります。


よく見られるのは、トップダウンで戦略を一方的に伝えるケースです。
トップは、戦略を伝えれば皆が理解し納得して実行してくれると信じています。確かに、トップダウンが強い組織では、この方法でも実行されるかもしれませんが、ほとんどの場合、戦略を押し付けられた人々は納得していないことが多いです。


理解・納得していない場合、間違いなく戦略の実行パフォーマンスが低下します。
さらに、戦略が納得されていないと、その通りに活動しないこともあります。


せっかく一生懸命つくった戦略も、その内容がしっかり伝わらないと、組織全体で統一された行動が取れず、戦略の効果が発揮されません。

軽視されることが多いですが、「戦略伝達」は、戦略を確実に実行する上で、非常に重要なプロセスになります。


あるある要因3: 戦略が漠然としている


戦略が具体性に欠け、何を実行すればよいのかがはっきりしないため、メンバーが適切な行動を取れないことがあります。

戦略が具体性に欠けている場合も、戦略が複雑で難しい場合と同様で、何をすべきかが明確でないため、メンバーに混乱と不安が生じ、組織全体のパフォーマンスが低下してしまいます。

その結果、戦略に従わず各自がバラバラに活動することになり、リソースの無駄遣いが発生し、最終的には目標を達成できなくなります。

つまり、戦略を確実に実行するためには、「具体的なアクション」まで明確にする必要性があるのです。



▶︎戦略を浸透させ、推進するためのポイント

 

 ポイント①:戦略はシンプルにする (シンプルな戦略)


シンプルな戦略でないと、受け手には伝わりません。
複雑な戦略は、受け手が混乱しやすく、理解に時間がかかります。間違って理解されるケースもあります。

一方、シンプルな戦略は、要点が明確であり、短時間で伝えることができるため、受け手が即座に理解しやすくなります。


シンプルな戦略でないと、受け手はすぐに忘れてしまいます。
複雑な戦略は、情報が多すぎて覚えきれないことが多いですが、シンプルな戦略は要点が絞られているため、受け手の記憶に定着しやすくなります。

シンプルな戦略は、受け手の記憶に残りやすく、その結果、戦略実行に対する意識も高まります。


なので、シンプルな戦略を考える際、次のことを意識するといいと思います。

  • 要点を絞る
    戦略をつくる際には、最も重要な要素に集中します。

    あれもこれもと欲張らず、本当に必要な要素だけを選び抜きます。
    戦略の焦点を絞ることで、シンプルで効果的な戦略をつくることができます


  • 短くシンプルに表現する
    複雑な専門用語や長い説明を避け、シンプルな言葉で戦略を表現します。

    短くシンプルな文章や箇条書きを使うことで、戦略の内容が分かりやすくなります。
    シンプルな言葉を使うことで、全員が理解しやすい戦略となり、戦略実行度も確実に上がります。


  • 視覚的な要素を活用する
    図やグラフ、イラストなどの視覚的な要素も取り入れることで、受け手の理解を助け、より分かりやすく伝えることができます。

    シンプルなビジュアルは、戦略の全体像を一目で把握することが可能となり、受け手の頭の中にイメージされます。



 ポイント②:戦略はシンプルに伝える (戦略伝達)


組織において、戦略を確実に実行してもらうためには、戦略を確実に伝達することが極めて重要です。

せっかく苦労してつくり上げた戦略も、実行されなければ意味がありません。
そのためには、組織全体に戦略を理解・納得もらう必要があります。
そうすることで、パフォーマンス高く、戦略を実行することができるのです。

また戦略を伝達する際は、次のことを意識して伝えるといいと思います。

  • なぜ戦略が必要なのか?
    ただ単に、出来上がった戦略だけを伝えるのではなく、戦略の背景、必要性など、課題感を共有する必要性があります。

    この時、いきてくるのが、戦略をつくる際に分析してきたPEST分析や市場・競合・自社分析、さらにはKSI(戦略課題)などの分析結果です。
    これら分析も併せて、この戦略に至った背景や、その必要性、さらには戦略課題などもしっかり伝えることで、納得感が増します。


  • 受け手の立場に立って伝える
    ついつい戦略を伝える際、自分の視点で当たり前のように伝えがちですが、大切なのは、受け手の立場に立って伝えることです。

    戦略を伝えるとき、発信者の視点と受け手の視点には、しばしばギャップがあります。自分が理解していることや前提条件が異なる可能性もあります。

    しかし、受け手の立場に立って、受け手の気持ちや考えを理解した上で、伝えることで、共感を得ることができます。
    その共感は、信頼関係構築に繋がり、戦略実行のモチベーション向上にも繋がってきます。

  • シンプルに伝える
    そして全てにおいて重要なことは、シンプルに伝えることです。

    戦略をシンプルに伝えることで、受け手は内容を素早く理解することができます。
    複雑な表現や多すぎる情報は、受け手に混乱を招き、重要なポイントが埋もれてしまう可能性があります。

    また、シンプルなメッセージは、受け手の記憶に残りやすくなります。
    長くて複雑な説明は忘れられやすいですが、簡潔で要点を押さえたメッセージは、受け手の心に残りやすく、後から思い出しやすいです。



 ポイント③:戦術まで落とし込む (具体的なアクション)


戦術とは、戦略を実行するための具体的なアクション
になります。
一方、戦略は、目指すべき姿を達成するための方針となります。


ですので、戦略は、戦術(具体的なアクション)まで落とし込む必要があります。
そこまで落とし込むことで、はじめて受け手は、何をすべきなのか具体的に理解することができ、迷うことなく戦略を実行することができます。


また、戦術に落とし込む際は、次のことを意識するといいと思います。

  • 戦略を戦術に落とし込む際のポイント:5W1H

    戦略を具体的な戦術に落とし込む際には、5W1Hを意識すると効果的です。
    5W1Hを意識して戦術に落とし込むことで、戦略の実行に必要な具体的な行動を明確にし、組織全体での統一した実行が可能となります。


    Who(誰が)
    担当者を明確に:
    それぞれのアクションを誰が実行するのかを明確にします。
    例えば、「顧客訪問を強化するのは営業チーム」など、具体的な担当者やチームを割り当てます。


    What(何を)
    具体的な行動を明確に
    :具体的にどのような活動をすればいいのかアクションを明確にします。
    例えば、「月に一度の顧客訪問を実施する」など、実行すべき具体的なアクションを明確にします。


    When(いつ)
    タイムラインを明確に
    :各アクションの実行タイミングを設定します。
    これは、「いつから始めて、いつまでに完了させるのか」というスケジュールを明確にすることです。


    Where(どこで)
    実行場所を明確に
    :アクションがどこで実行されるのかを明確にします。
    例えば、「顧客訪問は顧客のオフィスで実施」など、具体的な場所を明確にします。


    Why(なぜ)
    目的の明確化
    :アクションの目的を明確にし、チーム全員がその目的を理解することが重要です。
    例えば、「顧客訪問の目的は顧客満足度を向上させること」など、なぜそのアクションが必要なのかを明確にします。


    How(どうやって)
    具体的な方法を明確化
    :アクションを実行する具体的な方法や手順を示します。
    例えば、「顧客訪問は、このプレゼンテーション資料を活用する」など、実行の方法を明確にします。

このように戦略を戦術に落とし込む際には、5W1Hを意識することで、具体的なアクションを明確にし、組織全体で一貫した実行が可能となります。

誰が、何を、いつ、何処で、何のために、どのような方法で実行するかを明確にすることで、戦略が現場で確実に実行されるのです。



〜むっちゃシンプルな戦略思考〜



最後に、、、
一生懸命つくり上げた戦略も、実行されなければ何の意味もなく、何の価値もありません。

このようなことにならないためにも、戦略をしっかり伝えるという「戦略伝達」のプロセスは極めて重要になってきます。

その際の戦略も「シンプル」「具体的なアクション」まで明確になっている必要があります。

そうすることで、はじめて確実に戦略が実行され、目指す姿の実現に近づくことができるのです。



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