【詩】船になる木
その木は船になる
木は生まれ
育ち
やがて船となる運命だ
切り倒され
削られ
いくつもの木が
重なり合って
職人たちの手で
頑丈な船へと姿を変える
船は旅をする
船底の木は海水を弾き
船乗りたちを運ぶだろう
はるか遠い
見果てぬ地へと
お前は待っている
船が戻ってくるのを
仲間を
家族を
恋人を
船となった木が
運んできてくれるのを
いつしか船は朽ちるだろう
木は風化し
記憶から失われる
それでも
誰かを運んでいた
それだけは確かなことだ
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