マガジンのカバー画像

保管庫

77
カテゴライズが難しい記事です。 敢えて言えば、「自分がいつでも読み返したい記事」かな? のちのち考えます。
運営しているクリエイター

#バッドエンド

たった一つの冴えた別れ方

「私の命ってね、もう長くないらしいのね……」
抱きしめる僕の腕の中で、彼女はそう呟いた。
「ま、ガンって奴。リンパ節に出来ちゃうと……どうにもならないらしいの」
ごく普通に、「今日のお味噌汁は、ちょっとしょっぱかったね。ゴメンね」って言うみたいに。

頭の中が真っ白になって。
どうしてそんなことになる可能性を、僕は無視してきたのか?
どうして彼女に、もっと優しくしてあげられなかったのか?
そんな疑

もっとみる

「ハンバーガー少女」

【序】
「どうして」そうなのかは分からない。
いや、そもそも「存在」に疑問を唱えること自体がナンセンスなのだ。
ただ自然に。
草花が、色鮮やかに花開くように。
小鳥が、囀(さえず)りながら空を翔けるように。
母親が子に無償の愛を注ぐように。
分かるのは…。
「私が『ハンバーガー少女』である」ということだけだ。

【「ハンバーガー少女」についての、いくつかの考察】
最初に。
「ハンバーガー少女」とい

もっとみる

If you don't read this diary.you should not read next diary!

今さらなのだが。
昔の一時期、猛烈に流行ったFLASHを探して視聴してる。
「youtube」やら「ニコ動」やらにシフトしていった、過去のWEBにおける流行である。
だが。
俺は当時のFLASH群が見せてくれる「退かぬ、媚びぬ、省みぬ」姿勢が好きなのだ。
今日(こんにち)のMADや釣り動画などでも、片鱗は見ることができる。
しかし。
FLASHの同人的な門戸の狭さと、良い意味での独りよがりが好きだ

もっとみる

勝手にmurderer

君が居なくなって、一週間が過ぎた。
慌しい日々が過ぎ去り、やっと落ち着いた。
昨日から、会社にも行っている。
周りが俺に気遣って、あまり話をしないで済むのがありがたい。

自分でも驚くくらい、淡々と毎日を過ごしている。
人間ってのは、意外と強くできているようだ。
こうやって書いていても、君がこの文章を読んでくれている気がする。
今にもドアを開けて、「なんか食べた? 一応、買い物してきたけど」って帰

もっとみる

デトマソ家の家訓とフラッグシップ

パンチラを見ると、「今日も…頑張ってみようかな?」的な気分になる。
これは、俺が極度の下着フェチという訳でもなければ、性犯罪者予備軍だからでもない。

いや、性犯罪者予備軍ではあるかもしれないが…。
男性なら理解いただけるだろうか? この気持ちを…。
女性なら軽蔑するだろうか? この崇高な理念を。
違う!
パンツが見えたから、そのお尻を触りたいとかそういうんじゃない!
違う!
家に帰るまで記憶を持

もっとみる

実験文章「同じモチーフを違う世界観で書く」【レトロSF】

私は文字を打って金をもらっていたが、「クリエイターではない」と自認している。
「すべての物語は焼き直しであり、違うモチーフに置き換えることが可能」と標榜しているからである。
この記事を書く理由になったのは、私が過去に書いて随時更新している「【随時更新】私の雑想に影響を与えた名曲の数々(そして、私の雑感)」に譲るが、そこで「文頭のようなこと」を書いてしまったので、サラッと書いてみようと思った次第。

もっとみる

ミステリアス長ドスとF好き

や…やめてぇ! これ以上はボク、おかひくなっちゃうぅぅ!
「随分な口を利くじゃねぇか? 本当は、これが欲しいんだろ?」
【30分後】
っっきゅぅぅん! 凄いぃきぼちぃぃぃ! あは? えへへへへ…。
「ちっ!壊れちまったみたいだなキタナカの野郎」
どうも。
当代随一の「媚薬で狂わされた姿が似合う日本男児」にして「ボクっ子」なキタナカです。
鼻水やらヨダレやら、だだ流れですから。
「おいは! おいどん

もっとみる

ごめんね、サルバドール

口癖は「おじさん、大三枚でどう?」。(<網タイツにボンテージ姿で真っ赤なルージュを引きながら)
「TPP? あぁ、えっとたしかツベルクリン反応がどうこうって奴?」などと博識ぶりを披露。
政界に打って出ようと決心してみたものの、公約として最初に思いついたのが「初夜権」。
その癖、「子供はコウノトリが運んでくる」と信じて疑わない一面を持つ。
そんな。
下衆っぷりを発揮しつつ、無垢(イノセント)な子供の

もっとみる

ときめかないメモリアル

月曜日の夜。
君が好きだと聞いたCDを買って。
君と何かを共有できた気分になって、ちょっとだけ浮かれて家路を急ぐ。

君はどの曲が好きなのかな? ボクはこの曲が好きだな、とかさ。
もちろん、そんなことは言えない。
学校では、君の声に耳をすましながら知らないフリ。

火曜日の昼休み。
休み時間、君は教科書とにらめっこ。
五限は君の不得意教科、数学だったね。
勇気を出して声をかけてみた。

「お前、こ

もっとみる

モノクロームの世界

助けを求めている。
ボクはね。
彼女を「助けてあげたい」と思ったんだよ?

でもね。
サメに襲われるマグロを、救う為に船に上げたら死んでしまうように。
彼女をボクが立つココに引き上げたら、きっと彼女は苦しむだろう。

ボクは彼女の代わりにずっとココにいたから。
この世界に。
九年もの間、ココの空気を吸い続けたから。
最初は苦しくて、息をする事すら難しかったけど。

少しづつ。
身体が環境に合わせて

もっとみる

軽口ホリディ

ザッ!(画面に走るノイズ)
「よかった…。ご主人様の誕生日まで、もちましたぁ」
おい! どうしたってんだよ?
「私の身体…、思ったよ…うに動いてくれなくて…。でもっでもっっ!」
ザザッ(ノイズまみれでブレる姿)
「よかった…。ほんとに」
喋るな!とにかく一回電源切って、メンテしてやっからな!
「うぅん…」(目を瞑って首を振りながら)
「うぅん」じゃねーよ!
「もう…十分です」
そっちが十分でも、俺

もっとみる

リノリウムの床と真っ白な壁

彼女の部屋には、大きな刃物がなかった。
全部、僕が捨てさせたのだ。
カッターでも十分に危ないのだが、「刃物」としての存在感よりも「道具」としての側面が色濃いから「発作的な行動」を取る確率は格段に低くなる。
だからカッターは残した。

彼女は時に、神になる。
この世のすべてを呪い。
僕を罵り。
自分を認めない世の中に挑む。
荒ぶる神だ。

嵐はいつ止むとも知れず、夜半。
だが…。
去らない嵐はないの

もっとみる