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友人と清水vs福岡を見たよの話

友人:確か前回のオチで次はないと言っていたな。にしてはずいぶんと早い再登場だ。人間一貫性が大事だぞ。

:そう言うな。エスパルスとアビスパの試合だ。俺とお前にとっては10年ぶりのダービーだ。多少の言行不一致は許せ。

友人:そうだな。5年前はせっかく昇格したのに清水がやらかしたからな。それに福岡についてなら俺も話したい。

:いいねえ。今回のネタは福岡の狙いについてだ。清水側からしたら浮き上がった課題についてとも言える。そのままお前の意見を続けたまえ。

友人:まずはスタメンだ。山岸もいいがFWはファンマだろと思った。むかつくが清水の守備は固くなった。そこに対抗できるのはカウンター、もしくはエミル(サロモンソン)の右足ぐらいだ。となればトップにファンマが欲しくなる。

:実際、2点ともサロモンソンが絡んだからな。

友人:だろ。俺は最前線の迫力を増やした方が良かったのではないかと思っている。

:一理ある。じゃあファンマがいればもっとやれたのか。

友人:それはわからん。どっちかというと結果は偶発性に左右されたのではないか。

:もっと自分のチームに自信をもてよ。福岡の保持はかなりよい狙いを見せていたぞ。確かに結果は偶発性に左右される。しかし準備で確率を高めることはできる。

友人:自分の土俵に持ち込んできたな。

:俺のnoteだからな。そこでお前に質問だ。福岡のチャンスはどこで生まれていた?お前の説だとサロモンソンのいる右サイドになるが。

友人:いや。どちらかというと真ん中で強引にドリブルという場面が多かった。

:酔ってた割によく覚えているな。その通りだ。で、なぜ真ん中にボールが入ったかだ。

友人:酔ってたのはお互い様だろ。理由はしらん。

前回の話を思い出してみろ。清水のシステムはどうだった?

友人:451から相手が後ろで持ったら中盤から前に1枚出していく。

:上出来だ。この福岡戦でも442と451の中間みたいなシステムだった。まあ数字はあくまで目安だが。

友人:ならばなぜ真ん中を使われたんだ。そもそも真ん中を塞ぐための451だろ。

:いい質問だ。鹿島戦との違いは前に出るのがサイドの中山でなく、インサイドハーフ役の後藤だったことだ。理由はわからん。福岡のSBを気にしたか、後藤の特性かもしれない。とにかくほぼほぼ後藤が前に出ていた。

友人:おっ、わかったぞ。内側の後藤が出るから中のスペースが空いたんだな。

:そうだ。福岡が保持した時、サイドハーフの石津が中に絞ったポジションを取っていた。ちょうど後藤の後ろだ。福岡は後藤がプレスに前に出るタイミングで後ろの石津にパスを入れていた。

友人:でも後藤が前に出ればCBはパスを出しづらくないか。

:後藤は中盤から前に出ていくからちょっと距離があるだろ。さらに福岡はボランチが斜めに開くように降りてきたり、一度SBに入れたりと角度をつけてから前に出すんだ。

友人:ふーん。なるほどな。

:でもな、清水は前半途中から後藤をFWの位置に置くようになった。福岡のCBとの距離を詰めたんだ。そして中盤は4枚でスライドだ。これで前から限定して中盤のスペースを消すようになった。これが清水の守備に注目した場合の前半の流れだ。

友人:お前442っぽいと言ってたもんな。確かにその辺からサイドや長いボールが増えてきてたな。そして舞台は後半に移るか。

:後半になるとCBをグティエレスから宮に代えただろ。宮の特徴はなんだ。

友人:組み立てが上手くフィードが正確だ。

:さすが詳しいな。グティエレスより宮の方がパスの選択が多そうだ。前半、CBに後藤を当てられたのでプレス耐性の高い宮に代えたのではないか。

友人:ぶっちゃけ対人守備はそれほどではないけどな。

:守るより意図的に清水の守備を崩してやろうということだろう。それにサンタナはグローリーが抑えている。

友人:シゲさん(長谷部監督のこと)いけてるな。

:宮の登場でボールが再び中盤に入るようになった。実は前半からだが福岡は中盤に入った後の仕組みも作られている。福岡は石津が後藤の後ろにいるだけではない。

友人:もったいつけてたな。

:話の流れ上だ。図にするぞ。

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友人:手書きの図は見づらいちゅうに。

:福岡の選手が3人で竹内を囲んでいるのだけわかればいい。つまり石津にボールが入った際にしっかりその先のパスコースを作っているってことだ。

友人:おう。色々やってんな。

:これで清水のボランチを外してゴールに向かってドリブルを仕掛ける。さらに福岡の右サイドハーフの金森も仕掛けられる。3人のアタッカーで襲いかかるってわけだ。ファンマでなく山岸だったのはこれが理由だったのではないか。ちなみにこの仕組みはネガトラにも関与していると思われるがここでは割愛する。

友人:確かに山岸は間で受けて仕掛けられるからな。

:で、福岡のアタッカーがゴールに向かってくると清水の守備はどうなる。

友人:ゴール前を固める。

:そうだ。清水にゴール前を固められたら福岡は逆サイドのサイドバックにボールを流すんだ。ここまでを図にするとこうなる。

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友人:だからややこしいって。何だこの矢印は。

:これも左側でピンクと緑の矢印が逆なのがわかればいい。ピンクが福岡、緑が清水の動きの方向だ。まず福岡の山岸や石津がゴールに向かってカットインするだろ。それが細いピンクだ。そうすると清水の守備は中央に向かう。左サイドの選手を見ても当然右に向かっている。

友人:片山、鈴木からしたらゴールは右にあるからな。緑の矢印も右に向かっている。

:福岡はドリブルからシュートを撃てればいいが、無理ならサイドのサロモンソンに開くだろ。太いピンクの矢印だ。その時、細ピンクと太ピンクの矢印は繋がるように同じ方向に動いていく。

友人:カットインとサイドチェンジが同じ向きちゅうことだ。

:しかしだ。清水の守備の緑の矢印を見ろ。サイドチェンジの動きとは逆だ。つまりサロモンソンに対応するには再び矢印を逆に向けなくてはならない。さらにサロモンソンは再びその矢印の逆をつくようにクロスを入れる。何度も矢印を折られればディフェンスは対応が難しくなる。逆に福岡は矢印が同ラインでスムーズに進むという理屈だ。

友人:わかったぞ。それが福岡の1点目の形だ。

:そう。しかも清水は途中から中盤4枚になってる。だから何度もスライドを強いられる。しかも4枚で守る場合、清水の中盤の選手は竹内以外はそこまで守備の強度が高くない。

友人:つまりあの1点目は福岡の狙い通りだったというわけだ。

:たぶん俺はそう思う。

友人:シゲさんやるな。かっこいいぜ。

:もう2000字を超えた。試合の中身についてこれで終わりにしよう。それにしてもまさか引き分けになるとはな。俺はショックでめちゃめちゃお前に腹が立った。

友人:俺に怒ってどうする。八つ当たりだ。それにしてもエミルの同点弾はめっちゃ燃えたぜ。お前の話は半信半疑だがやっぱり福岡は強くなると思えた。俺はシゲさんとJ1を戦い続けたい。

:そうか。実はな、試合後に無邪気に笑いながらピッチに手を振るお前を見てたら悔しさも落ち着いてきたんだ。お前とまた来年、スタジアムにくるのも悪くないなと思ったよ。

友人:きもっ。お前そんなきしょい視線を俺に送ってたのか。おっさんにそんな目で見られてもきもいしか感想がないぞ。

:おい。俺の優しさを返せ。しかも今回は綺麗にオチをつけようと思ったら無駄な反撃しやがって。前言撤回だ。よし、アウェイではけちょんけちょんにしてやるからな。次は泣かせるぞ。

友人:いいねえ。燃えてきたじゃん。じゃあその勢いで次戦はアウェイ遠征いっちゃう?

:ごめん、それは無理。

友人:相変わらずしょっぼいなあ。


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