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先輩デザイナーが教えてくれた大切なこと

なんやかんやで20数年広告の仕事してきまして、振り返るといろんなデザイナーさんとお仕事してきました。いまぱっと数えてみただけで20人はくだらない。特にリクルートから業務委託で制作ディレクターをしていた時代(20代〜30代前半にかけて)は、同じ業務委託仲間のデザイナーさんが山程いたのでほぼ毎日、いろんな人とお仕事してました。あぁ懐かしい…。皆さま本当にお世話になりました。

デザイナーは魔法使いじゃない

女性的なデザインが得意な人、洗練されたシュッとした感じのデザインが得意な人(←この表現がシュッとしてない…)、意外な角度からアイデアを出してくれて楽しませてくれる人、めちゃめちゃ無口だけどその人柄からは創造できない遊びのある面白いデザイン上げてくれる人、仕上げがめっちゃ早い人…、本当にいろんな方がいました。
特に私がローキャリアだった頃は、最も多くの方と絡んだ気がします。週刊誌の原稿を、同時に大小10本以上並行して走らせる、そんな仕事の仕方だったので、必然的にね。
ただ、今思えば新人の頃って「デザイナーさん=魔法使い」だとちょっと勘違いしてたんですよね。「こんなクライアントで、先方はこう言ってて、こんな情報をいれたくて…(略)で、言いたいことは以上です。さ、どうしましょ。」という具合に、素材をだーっとデザイナーという魔法の鍋にほおりこみさえすれば、デザイナーさんがなんとかしてくれる、みたいな。
でも、

「んなわけねーだろ!甘えんな!お前が(案件を担当するディレクターが)、どんな原稿にしたいのか、考えなきゃ誰が考えるんだよ!
え?罫線のあしらい方とか、色とか?
んなディテールをお前が考えるんじゃないんだよ!それはデザイナーの仕事だよ!ディレクターが考えるのは「方向性」だよ、方向性!どんなターゲットに、どんなことを伝えたいのか、そこ考えてから俺らデザイナーの前に出直してこいよ。その案をたたき台にして、一緒に創っていくんだろうが。ゼロベースで全部こちらに考えさせようとすんじゃないよ、そんな丸投げの奴と仕事したくないよ。ディレクターに新人とかベテランとか関係ないんだよ、お前はお前の仕事しろよ、ボケ!!」

…という趣旨の話を制作部配属後すぐ、諸先輩方からは教えていただいた次第です。言いまわしは優しく、でも言ってることはシビアに…。
その難しさに最初はたじろぎもしましたが、おかげさまで新人の自分でも「自分の意見を持っていいんだ」と思えるようになっていった。
先輩デザイナーたちの教えが、実績も自信もなかった新人の私に、小さな自信を持たせてくれたと、感謝しています。

人生のフェーズにあわせて、仕事相手も変わっていくべき

ただ最近、あんまりデザイナーさんとはお仕事しなくなりました。なぜならいまディレクションは、スタッフにほとんどお願いしているので。私は主に経営の仕事しつつ、社内唯一の営業として活動する日々(笑。小さい会社なのでね、社長のトップ営業は基本です。
クリエイターとして、時に壁打ち相手としてクライアントとのMTGにお邪魔したり、時にコピーライターとして仕事させてもらったりもしますが、デザイナーさんとめっこり絡んだあの頃が懐かしくもありつつ、もう戻らないフェーズだなとも思っています。

人は人生のフェーズにより、仕事相手が変わっていきます。いや、変えていくべきだ、とも思っています。良くも悪くも、20年以上同じ人としか仕事してない、という状況は自分の進化の有無を疑ったほうがいい、職人じゃなければ。フェーズが変わっていく上での別れは、ちっとも寂しくない。いまはFacebookもTwitterもあるのだから、繋がろうと思えばいくらでも繋がれる。それよりも自分のおかれた環境を意識的にアップデートしていくほうが、きっと大事で。変化することを恐れない。変化することが当たり前でいられる、って人間の耐性を強化するのに欠かせないと私は思っています。

私もこれからの10年、どんな人とお仕事をしていけるのか、どんな風に変わっていけるのか、楽しみにしながら前を向き、進んでいきたいと思います。

ではまた。


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