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仕事は「好き嫌い」で選ぶべきだと思う

今夜、こんなTweetをしました

Tweetにも書きましたが、これはお客様の依頼を受け制作した、アトピー患者さん向けのライフスタイル冊子に綴った冒頭のキャッチコピー。これは個人的にすごく思い出に残ってる仕事で。このお客様との思い出について少しお話させて下さい。

「なんとしても伝えねば」
それがコピーライティングの原動力

頼まれてもいませんが、冒頭2ページの全文をご紹介させてください笑。

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「だいじょうぶ。
いままで頑張ったあなたなら、
きっとだいじょうぶ。」


先が見えないトンネルの中。

アトピーで苦しんでいる日々を表現するなら、
まさにそんな気分だと、
とある患者さんは教えてくれました。

治るのか、治らないのか。
毎日、毎日、文字通り、かゆみとの血がにじむ戦い。

「トゲトゲにささくれ立った心とカラダが少しでもやすらぎますように」

こんな願いを込めて今回は、
アトピーと向き合いながら、
ココロもカラダもやさしく暮らすために
「必要な3つの力」について考えてみました。

これまで頑張ってきたあなたの毎日が、
そして、あなたの大切な人の毎日が、
どうかやさしく生まれかわれますように。

ATPガード開発プロジェクトチーム

この文面にある3つの力のうちの一つが「癒やす力」。そのページもあわせて御覧ください

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誰も悪くない、
誰も責めない。
犯人探しをやめて、
ココロを癒やす


血だらけになりながらも掻きむしる我が子を見て、自らを責める親御さん。
血が出ても、ただれても掻かずにはいられない患者さん。
アトピー患者さんとその家族は、いつも、とても、頑張り、耐えていますよね。
病状自体も心配ですが、私たちがもっと心配しているのは、
「自分が子どもをアトピーにしてしまった」と
自責の念にかられる親御さんたちのココロ。
藁をもすがる思いで、いろんな策に飛びつき試すのに、
改善されない時の辛さ、無念さ。
「どうして、どうして、どうして?」と叫びたくなる気持ち。
本当にわかります。
なぜなら私たちは自分自身が、または大切な人が、アトピー患者だというメンバーがほとんどだから。

だからこそ伝えたいのが、「誰も責めない」というスタンス。あなたも、誰も悪くない。ただあなたにあった答えが見つからないだけ。

だから一緒に探しませんか?あなたと、あなたの大切な人にとってベストな答えを。

この冊子のコピーライティング、及びライティングはお客様である製造元、そして研究開発に携わった大学教授など関係各所に取材を重ねました。つまりリアルなアトピー患者さんの声。

取材を通じて湧いてきたのは、この人たちの思いは絶対に形にしないといけない、という良心だったと鮮明に記憶しています。

強い真実を前にすると、
突き動かされたように筆が進む

このコピーを書く時に、一番気をつけていたのは「嘘」をかかないこと。特に医療に関する話なので、エビデンス周りには神経を使いました。
でも単に制作陣のリスクヘッジ、という意味ではなく、「嘘偽り無く、出来るだけ発行元の気持ちをリアルに伝えたい」という想いのほうが強かったと思います。

取材を重ねる中で「これで治る」なんて、楽観的なことは軽々しく言えないのがアトピーという病気だ、ということを知りました。
でもその事実に屈せず、長年努力を重ね、立ち向かおうとしている人たちがたくさんいることも知りました。
そして、この人たちの存在を、真実を、ひとりでも多くの悩める人たちに伝えられたら、それは書き手として本望なんじゃないかと。むしろそれが私の使命なんじゃないか、とすら思うようになりました。
その結果、ものすごい勢いでコピーを書いた記憶があります。おそらく書き始めて3時間程、息止めてたんじゃないかくらい集中してた。まさに一気にかきあげた、そんな感覚でした

特に誇張しようとか、こう書くといい感じに聞こえるかな、なんて小手先のテクニックなんてまったく要らなくて。すーっと文章に出来たのは、そもそもの真実の力がなせる技だったんだな、といまでも思っています。

結局「伝えたい」と思うことしか、
書けないし、書きたくない

「いまでもあの文章読むと、涙がでるんですよね。なんでアトピー患者でもないのに、私たちの気持ちがわかるんだろう、って思いました。」

お客様からこのコピーを納品した後、頂いた言葉。いやもうこちらこそです、こちら感涙ものです、と抱きつかんばかりに嬉しかったです。単にクライアントからお褒めいただいたのはなく、私が伝えたいと思っていた広告の先にいる人(アトピー患者さん)に声が届いた、と思ったから。

でもこれが依頼主のクライアント自体に「伝えたい」という思いがなかったら?私たちはこの高い壁を乗り越えるんだ!という気概を感じなかったら?
私の筆はきっとうごいてなかったと思います。

私がいい仕事をさせてもらえるのは、「この人の思いを伝えたい」と思える人に出会えるから。心底力になりたい、と思えるから。

逆にいうと、そうとは思えない人のために、これからはもう動かなくていいんじゃないかとさえ思っています。だって、そのほうが相手様にも失礼にあたらないでしょう?裏で陰口いうような取引先と仕事したって、お互いのためにならないと思うから。

みんなきっと、もっと「好き嫌い」で仕事してと思う。自分の精神衛生上。クリエイティブ品質上。

これからもまだまだ素敵なクライアントと出会えるその日のために、日々精進したいと思います。

ではまた。


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