「勝ち上がることへの駆け引き」はどこにったのか?ロシアW杯ベルギー戦敗戦。

選手一人ひとりのプロフェッショナル、日々の鍛錬の積み重ねを存分に披露してもらった90分。

一時はベスト8への夢に手が届きそうで、2点目が決まった52分には心が踊らずにいられなかった。

ただ一方で、ベンチとともに日本選手が歓喜に寄す52分のあの瞬間。

「日本が2点もリード?こんな展開想定していなかった」

選手たちのあの喜びと表情には、そんな気持ちが見て取れたかもしれません。

ここからひっくり返されるシナリオを、選手・スタッフたちがどのように想定したのだろうか。

そして、あの瞬間、監督は一体どんなメッセージを送ったのだろうか。

「残りの38分をどう過ごすべきか。」

満身創痍に見えた選手たち

2点をリードする状況を、日本の監督は全く想定していなかったと思います。というより、観ている誰もが想定していなかったでしょう。

日本の1点目のアシストに繋がるカウンターパスは見事でした。
ただ、この試合、日本の中盤選手のパスミスが目立ちました。

それもそのはず。中3日のスケジュールに、精鋭ぞろいのベルギー陣をなんとか抑えてきた選手たち。

日本から2失点した中で一層の猛攻を仕掛けてくるベルギー陣を防ぐのに手一杯な日本選手。

そんな中、はたまた巨漢で、その後ベルギーの2点目を得点するフェライニを投入したのが65分。

ルカク一人を抑えることでも大変だった状況で、彼の投入は、体力の消耗の激しいこの試合の日本選手たちには辛かった。

この13分間。監督はピッチ上の戦況をどう見ていたのか。こういう展開における選手へのメッセージを、試合前にどう整理していたのか。

「(2失点した後は)そのままオフェンシブには戦えていたので、メンバーの切り方もディフェンシブなこともできたけど、3点目を取れるチャンスもありましたし、ボールを持てたので、そのままでいきました。本気になったベルギーの怖さですね」
日本代表の西野朗監督、逆転負けに言葉詰まり「何が足りないんでしょうね…」GOAL 2018年7月3日 05:04  http://shr.gs/YQqCx9L

日本は不運にも、69分に思わぬ形で失点し、75分にはフェライニのヘディングで同点に追いつかれ、その後81分にようやく2人の選手を交代します。

最後の不運というばかりか、ロスタイムには、日本のコーナーキックが相手キーパーにキャッチされ、速攻カウンターを浴び、その9秒後にはこの試合の勝敗を決定づける失点。自陣から相手ゴールに突き進むあの一閃は圧巻でした。

「勝ち上がることへの駆け引き」はどこへ行ったか?

この試合通して、一貫して最後の最後までオフェンシブな姿勢を崩さなかった日本。

はて。勝つことを優先し、戦うことを辞めたポーランド戦の残り10分。
賛否はあるものの、日本は「勝ち上がることへの駆け引き」を覚えたのではなかったのか。

そして、この試合、「勝ち上がることへの駆け引き」とは、何だったのか。52分から65分の間で打つべき策、選手に送るメッセージとは何だったのか。

前節で見せた狡猾さを発揮すべき試合は、今日の試合だったのではないか。

選手の闘志、見せてくれたドラマ、日本のサッカーが新しいステージへ登ろうとした瞬間を目の前にしただけに、選手の活躍が印象的だっただけに、今日の試合の采配は悔しさが残ります。

選手層の厚さ。
一瞬のミスを得点につなげる狡猾さ・精度。
劣勢に物ともしないメンタリティ。

今大会は、あらゆる世界レベルを目の当たりにしつつ、力強く戦う選手たちの姿勢に、今後の日本の可能性を多く示してもらった大会だと思います。

ただ、「世界を相手にここまでやれた」「よく頑張った」というようなムードに、この試合、この大会に残された課題、ブラジル大会から本大会までの道のりにの振り返りの必要性がかき消されないことを祈ります。

4試合を楽しませてくれた選手たちに改めて感謝。
今後の発展を期待。

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