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褒めるのが苦手な人は「渡辺篤史の建もの探訪」を見よう!

みなさんは褒めるのは得意ですか?
一般論ですが日本人は褒めるのが下手とよく言われています。
自信をもって自分は褒め上手!という人はそこまで多くないと思いますが、
私はその中でも特に褒めるのが下手な東北人。
10人くらいの東北4県友人調査では圧倒的多数で「地元の友人同士では褒めることは少なくむしろディスりあうのが親しい証」という言質を取っています。事実上京した際に大したことないことを褒められてどうしたらいいかわからなくなり「げへへ」と謎の苦笑い反応をしてしまったことも多数。どれだけ「褒める」「褒められる」に慣れていなかったがよくわかると思います。

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褒めることの効果

結論から言うと褒めるのが下手なよりも褒めるのが上手な方が絶対によいです。ちゃんと褒めれると考えただけでも以下のようなメリットがありますね。

-人間関係が円滑になる(「ありがとう」の延長線)
-褒められた人が笑顔になってこっちもなんだか幸せ
-いろいろな人と仲良くなれる、きっかけになる
-いろいろ教えてもらえる、会話が弾む
-(写真撮るなら)被写体の人の表情を引き出しやすくなる=いい写真が撮れる
-...etc.

ちなみに米国だと「縄跳びが一回も飛べない子」に対してもその努力を褒めるのだそうです。ただ、これには裏もあり、「なんでできないの?」としてしまうと差別と扱われたりする可能性があるという非常にセンシティブな問題を孕んでいるので手放しで賞賛だけすることはできませんが・・・。

いずれにせよ褒め上手にメリットはあってもデメリットはないですし、人を幸せにこそすれ、不幸にはしないものです。

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褒めるのが苦手な人の特徴

さて、話を戻すと褒めるのが下手な人の特徴として
①「褒めることを『心にもないことを言うこと』や『ごますり』だと考えている」
②「自分にとってどうか?だけの視点しかなく、その人にとってどうか?という視点が欠落している」
③「自分の価値観で判断しがち」
というのがあるのではないかと思います。
私も別に褒め上手、というほどではないですがこの3つを頭の中で整理したら、以前と比較して褒めるのが少し得意になりました(妻にもそう言われます)。

SNSのいいね!は押せるのに、面と向かって褒められないっていうのはなぜなのでしょうか?いいねを押すぐらいの気軽さで自然に褒められるとよいですよね。自分の素直な感想として「いい!」と思ったら、それを遠慮なく、躊躇なく表現してよいと思うのです。

褒めるところが見つからない、と言う方に知って欲しいのですが、確かにネイルだって女性用のバッグだって自分にはイマイチ良さがピンとこない部分はあります。
ネイルしてたら料理大変ですし、バッグにはカメラとレンズが数本入らなきゃ嫌だし←・・・でもそれは「自分にとっての機能性」という目線でしかみていないからなんです。違いは認めつつ自分視点を離れて相手の視点に寄り添うことが「褒める」の第一歩。相手の「好き」を認めてあげることなので、ネイルの色に季節感があるとか、バッグのステッチがカワイイとか相手の目線になればきっと出てくるはず。思うに「褒め」に求められるのは想像力と自分視点からの脱却(多様性の受け入れ)ではないでしょうか。
これは相手に対する解像度を高める、という表現でもよいかもしれません。

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なので「渡辺篤史の建もの探訪」を見よう!

「それはわかるけどどうしたらよいの?」という方にお勧めの教材を今回はお伝えしたいと思います。

それはずばり、「渡辺篤史の建もの探訪」(BS朝日 毎週日曜8:30~9:00)。生き馬の目を抜くテレビ業界でひっそりと25年続くという超長寿番組です!!お前が褒め方を教えるんじゃねーのかよ!と突っ込みそうになった方はタイトルも見ずにこのnoteを見てくださったのかと思いますが、そんなあなたのなりふり構わない知的探求心が素晴らしい!(とりあえず無理やり褒める)

さてこの番組ですが個人の住宅という非常にパーソナルなものに対してあらゆる角度から、お邪魔した渡辺篤史氏が褒めちぎっていくのがすごいところです。最大公約数的な快適さを目指して汎用化されたマンションと異なり、戸建て住宅は各ご家庭や個人のライフスタイルに最適化されています。つまりパーソナル空間の極み!どんなに素敵な家でも自分にとって住みたい家かと聞かれると「うーん・・・」となってしまうのが実際のところだと思います。
個々人の生活を踏まえた相手視点での「褒め」が必要とされることは想像に難くありません。それらを培った知識や感性を駆使しつつ止めどなく褒めちぎりながらも全く嫌みのない褒め殺し・褒め倒し30分!
こんな教材はなかなかないのではないかと思います。

ぜひ見てください!とだけいって終わるわけにもいきませんのでこれは匠の技!(別番組)という褒め殺しテクニック5選をご紹介したいと思います。これを見てから番組を見ていただければ1.5倍くらい楽しめるはず。

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独断と偏見で選ぶ 渡辺篤史の褒め殺しテクニック5選


「いいですねぇぇぇ・・・・(余韻を残す)」
直球ストレートながら、余韻を残すことで深い印象を与える褒め文句。汎用性が高いが、言い方によってはあっさりしてしまうので注意が必要。「ねぇぇぇ」はBPM90の全音符をイメージし、抑揚のある声量と適度な残響を重視されたい。

「いやいやこれはこれは・・・・」
一見何も褒めていないようで「・・・」部分でポジティブな感情や感嘆を匂わせる「みなまでいわない」高等・口頭テクニック。
ハイコンテクストな表現と奥ゆかしさがある。日本の侘び寂びの上澄部分。さんざん褒め散らかした後、ややストレートな褒め方が食傷気味になったタイミングで挟み込むこともできるあたりが非常に効果的。対象も建物の吹き抜けだったり、ソファだったり、窓からの眺望だったりと非常に幅広い。胡散臭くならない程度に感情を思いを込めるのがポイント。分かりづらいポイントに使ってしまうと微妙な雰囲気になるので、吹き抜けや眺望など誰が見てもわかる宅内の設計や装飾の特徴的部分に対して使うことが前提となる。

「不定形1(玄関に入ると必ず一言)」
初めましてこんにちはでまだお互い緊張が残る中、玄関に入るなり、必ず一言誉め言葉を言う。これはその内容ではなくてその行為自体に非常に高い褒めスキルが求められる内容。タイミング、大事。
玄関は他者に対して開かれている最初の内観なのでそこへの言及を気にしてソワソワする家主。そこに向けられるいわばアイスブレイク的な褒め。玄関に入って3秒で即褒めて安堵感を演出することでその後の撮影の現場によい雰囲気を作り出す。これぞプロの技。外観褒めから入るパターンもあり、ファーストインプレッションの大事さを教えてくれる篤史!

「不定形2<ソファには必ず座る>」
もはや水戸黄門の繰り出す印籠のような、相手の視点を獲得するためのアツシの必殺技と言っていい。かならずソファには座る。ただし、「ちょっと座ってよろしいですか?」一言断ってからという手順を踏むのが非常に憎いところ。相手への敬意がそこかしこに溢れていて、視点への共感への道が自ずと開かれる。
ソファに座ることによって、他者であっても間違いなく家主と同じ視点・視野を獲得できる。ただ、いきなり知っている風に共感からスタートするのは日本人的には心理的距離感が近すぎる場合がある。篤史の「失礼します。」からのソファ着席は「これから共感しますよ」という前振りであり、これによって家主も篤史の褒めを素直に受け止められるのである。すごいよ、篤史!

「これはxxx材ですか?」
これはどう考えても篤史が知ってて聞いているやつである。ほぼ確認に近い。「知ってて聞いてんだろ!」とテレビの前で突っ込んでいる番組視聴者が500万人くらいいる。間違いない。ただ、その突っ込みたくなる気持ちをグッと抑えて画面を見続けて欲しい。私と皆さんの約束だ。
篤史は知識はあるけど自分から断定せず、絶対に前提知識を頭に入れてから訪問しているはずなのに最後のシュートは必ず家主に打たせる。しかも「今のいいアシストでしょ?」感を微塵も出さないことで家主を主役に仕立て上げる。さらに素材が意外に拘ったポイントだったりするのも理解した上で、質問する篤史。家主的にはうれしくて喋り出してしまうというギミックを内包しているのだ。そして漏れなく家主はその素材を選んだ理由も雄弁に語る。当そこに至って「なるほどぉぉぉ」と深い声で褒めを完遂するというまるで地球の衛星軌道上を一周回ってまた巡り合った宇宙船にエールを送るかのような篤史の姿に我々は星々の煌めきをみる。家主の脳内でドーパミンが分泌されるのを画面越しに感じ取ることができる瞬間である。

最後、番組が終わる頃には自分が建物を見るためではなく、渡辺篤史の褒めを聞くために番組を見ていたのだとふと気付きます。渡辺篤史、恐ろしい子。

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さぁ、みんなで建もの探訪を見よう!!

みなさん、おわりいただけただろうか?
褒め上手になるには、という文脈でただ単にこの番組を私が紹介したかっただけであることを。
ちなみにライカ日記という名目である手前、ライカユーザーの褒め方の例もご紹介したい思いはあります。ただ、どう想像してもライカを褒めるとみなさんにとって碌なことがないので今回は割愛させていただきます。

家をリフォームする機会があれば渡辺篤史氏に全力で褒めちぎってもらいたい所存ですが、マンションなので無理筋でした。


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