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周八枚というジェネリックライカレンズを買ったので作例を載せてみる話

あなたのココロのスキマ♡ライカと写真でお埋めします、hirotographerです。

1958年-1969年まで約10年ほど販売されていた第一世代のライカのMマウントレンズ「Summicron 35mm f/2」をご存知だろうか?
8枚玉の愛称で親しまれ、現在プレミアがついているため、並品でも50万円、美品だと70万〜状態によってはひゃくまんえんを超える値段が付けられているマニア垂涎のレンズである。

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時は2021年、その八枚玉を忠実に再現したレンズがなんと13万円という半額以下の値段でLIGHT LENS LAB M 35mm f/2(通称「周八枚」)として現世に受肉し爆誕した。

ぶっちゃけ個人的には今持っているCarlZeiss Distagon 35mm f1.4 ZMでもう満足なので新しいレンズに興味はなかったし、ライカのレンズ自体がアホみたいに高いこともあって、最近は新しいレンズが欲しいという欲求もまるで賢者モードのように湧いてこなかった。
ただ、描写が異なる軽くて小さいオールドレンズがあったら欲しいな・・・と思っていたのは確かなので、私にとってこの復刻八枚玉はどストライク、光の速さで左クリック一閃。発売日に注文し、気づけば到着していた。

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ちなみに楽器界隈ではだいぶ前からヴィンテージもののシミュレーション、というソフトウェア技術(ハードウェアに組み込みのものも含めて)がめちゃくちゃ進化している。いわゆるヴィンテージと呼ばれる機材があり、その音響特性をソフトウェア的にシミュレートした機材やソフトウェアそのものがメインストリームになり多数販売されているのだ。そんなこともあって同じ「波」である光を扱うレンズについても個人的にはそのうち光学系をシミュレーションしてくれる機材が生まれてくるのではないかと思っているので、個人的に高額なオールドレンズに対しては二の足を踏んでいる。ただ扱うデータ量も多い光学の世界においてはそれほど簡単ではないようで、昨今「復刻」という別な方向で再現する方向に進んでいるように見受けられる。

最近の復刻レンズだとバブルボケを再現すべく復刻されたTrioplanなどもあるが、こちらは文字通り泡と弾けて飛んでいった(一応復活している模様で、もはや「かつ消えかつ結びて」の方丈記の世界)し、ライカ自身からも復刻ズマロンが販売されており、歌手のLisaさんも所有している。

今回の周八枚についてはライカではなく他社が再現しようとしている点が新しい。そしてポイントはもう一つ、当時のレンズには鉛が使われているので現在では環境配慮の観点から製造が難しかったりするはずが、一般発売前の周八枚には鉛入りのレンズが使われていたようである。そしてリバースエンジニアリングという部分もあるので権利関係どうなの?というのはありつつも、鉛の話とあわせてこれは中国にしかできないやつじゃん・・・。

これはもうジェネリック八枚玉と呼ぶしかない・・・。


オリジナル八枚玉の特徴と周八枚(ジェネリック)の比較

それでは早速このLIGHT LENS LAB M 35mm f/2(通称「周八枚」)を Leica M10-PのJPEGの作例でお見せしたいと思うがまずレンズの特徴を紹介する。

オリジナル八枚玉のレンズの特徴として以下4点ほどが挙げられる。

・何か居そうなシャドウの諧調の豊かさ
・開放だとやや軟調な描写と周辺減光
・歪みの少なさ
・絞ると中央部分だけでなく、周辺部もシャープ

正直オリジナルの八枚玉ズミクロン は所有していないので比較はできないが、いくつかのYoutubeやWeb記事ではこのあたりが散々行われており、それらを参照すると以下の内容となっている。

・やや周八枚のほうがコントラストが高く、シャープ
・それ以外はボケの形状や上記のレンズの特徴まで含め判別するのが難しいほど
・オリジナルは50年以上前のレンズのため、周八枚とオリジナルの差よりも、オリジナル間の個体差のほうが大きいのでは?

オリジナルとの判別が難しい点は同じ構図と設定で撮った写真並べられたら「マジでわからん」皆口々に言っており、もはやスワンプマンの思考実験を彷彿とさせる状況がついに現実世界すら侵食し始めたか・・・という感慨もあり、大変趣深い。ジェネリック超えてスワンプマンレンズ!!

ある男がハイキングに出かける。道中、この男は不運にも沼のそばで、突然雷に打たれて死んでしまう。その時、もうひとつ別の雷が、すぐそばの沼へと落ちた。なんという偶然か、この落雷は沼の汚泥と化学反応を引き起こし、死んだ男と全く同一、同質形状の生成物を生み出してしまう。
この落雷によって生まれた新しい存在のことを、スワンプマン(沼男)と言う。スワンプマンは原子レベルで、死ぬ直前の男と全く同一の構造を呈しており、見かけも全く同一である。もちろん脳の状態(落雷によって死んだ男の生前の脳の状態)も完全なるコピーであることから、記憶も知識も全く同一であるように見える[3]。沼を後にしたスワンプマンは、死ぬ直前の男の姿でスタスタと街に帰っていく。そして死んだ男がかつて住んでいた部屋のドアを開け、死んだ男の家族に電話をし、死んだ男が読んでいた本の続きを読みふけりながら、眠りにつく。そして翌朝、死んだ男が通っていた職場へと出勤していく。

ジェネリック八枚玉作例

そんなカメラ界隈の哲学的思考を揺さぶるこの周八枚、まずはライカらしいシャドウの描写を見ていただきたい。撮影機材はM10-Pと周八枚の組み合わせ、JPEG撮って出しだ。

シャドウに何かが潜む描写
まずこちらの2枚、降雨後の葉っぱのテカリや葉脈、水滴などの生生しさも感じられる描写を見ていただきたい。開放ながら様々な植生の緑の質感も出ているように見受けられる。

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反射する材質は特に妖しさを放つ
ガラスの反射なども独特の妖しさを放っている。現代レンズだともう少しパキッとした描写になりそうだが、少しの緩さが無機物と有機物の中間のような艶かしさを醸し出している・・・気がする。都内のビルや建築などでもっと撮ってみたい気持ちにさせる絵作りである。

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色再現も良好
色の出方もズミクロンっぽさがありつつ、濁らずほどよい抜けがあるように見える。変な飽和感もなく、無難な印象。オリジナルよりははっきりとした色表現になっているようだ。

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歪みねぇ描写
手持ちなので多少のご容赦はいただきたいがブロック壁で周辺含めてこの歪みの少なさ。若干真ん中がふっくらしているようにも見えるが現代レンズでももっと膨らんだ描写の35mmはたくさんあるので60年前の設計のレンズとは思えない。

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ボケ描写はイマイチ?
今回あまりボケが目立つ作例を撮らなかったものの、ボケはあまり綺麗とはいえないのが正直なところ。他の方の作例をみてもオールドレンズっぽくうるさい感じになるイメージだった。ここはそもそもボケをこのレンズに求めていなので個人的にはOK。SNS映えしない暗い写真が増えそうだ。

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これらが八枚玉ズミクロンのジェネリックレンズ、周八枚の実力である。個人的には260gという軽さ、コンパクトさも相まって大満足。過去のレビューで無限遠がでないものがあったりなど、ビルドクオリティへの懸念はあったが、少なくとも手元にある現物について心配なさそうだ。レンズがコンパクトなのでどうしても操作感はDistagonに劣るものの、旅用のレンズとしても大活躍しそうな雰囲気である。

というわけで最後までお読みいただきありがとうございます。これからも写真や旅に関するnoteを定期的に発信していく予定です。興味を持っていただけたり、少しでもココロのスキマ♡埋まったな♡→❤️、と思ったら、フォロー、いいね、頂けると嬉しいです。
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