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シン市役所:解体新書|#5白紙決定、その後の動き

 こんにちは。美濃加茂市長の藤井浩人です。
#5は『白紙決定、その後の動き』と題してお送りします。

 前回は、「何が白紙になったのか」 「なぜ白紙になったのか」 についてお伝えしました。
 「自分が決めた計画を自分で白紙にして何がしたいんだ」
 そんな意見をいただくこともありましたが、そのような時系列ではないということもお伝えできたかと思います。

 2022年の7月から8月にかけて実施した市民アンケートでは、当時の計画案を多くの市民が賛同できていない状況であったと読み取れる結果でした。 私の個人的な考えで白紙撤回に突き進んだのではなく、市の重要な政策に市民の皆さんの関心や思いを巻き込めていない状況が裏付けられました。
 当然ながら、白紙のままでは終わらせません。 より多くの市民が納得に近づけるような過程を踏み、必要な新庁舎を完成させることで、今後の美濃加茂市にとって意味のある事業にしたいと考えています。

 今回はそのための検証活動についてお伝えします。


1.結果検証の意義

 白紙後、まず取り掛からなければならないのが検証でした。
 5年以上の期間と多大な労力をかけてきたにもかかわらず、なぜ、「反対」40.8%、「判断できなかった」31.7%という結果になってしまったのか。 賛成は全体の4分の1、26.8%でした。

 どのような計画にも賛成、反対はありますし、多数決で何事も決めれば良いとは考えていません。 しかしながら、美濃加茂市にとって重要な事業に対して市民理解の状況があまりにも厳しいと感じました。

2.検証の取り組み

 なぜ、そのような状況になってしまったのか。
 検証の前に、 資料や組織にまたがっている様々な情報を正しく整理、確認する作業を行うために、 2022年(令和4年)4月に新庁舎整備事業プロジェクトチーム情報整理部会を立ち上げました。

 同部会が令和5年3月に作成した資料には、

「新庁舎の整備と深く関係する市の計画や市商業ビルの概要について掲載し、改めて市民の皆さんと共有する必要があると考えました。次に、新庁舎整備を進める前に、市の計画や市商業ビルに「そもそもどのような課題があるのか」、「その課題に対してどのような解決方法があるのか」についてまとめました」

出典:新庁舎整備事業プロジェクトチーム情報整理部会資料


 このような記載が全77ページにわたって整理されています。断片的な情報ではなく新庁舎整備にまつわる複数の情報をご覧いただくことができます。お時間のある方はぜひご一読ください。

 情報整理部会の活動と並行しながら、2022年7月に新庁舎整備事業プロジェクトチーム検証部会が立ち上がりました。半年の間に全9回の会議が行われ、委員からは多くの意見が示され、検証が進められました。 そして、こちらも同じく令和5年3月に新庁舎整備事業プロジェクトチーム検証部会資料が公表されました。

3.検証結果

 検証結果として、「多くの市民と合意を形成することができなかった主な理由」が示されました。

①決定のプロセスが不透明
 (旧)基本計画(案)を作成する際に委員会の中で整備地が駅前と決まり、最終答申を出しているが、その過程が不透明になっている。行政が新庁舎の場所を最終的にどういう手法、段階を経て決断するのかを示した方がよい。

②市民意見の聴取不足
 これまでの新庁舎整備事業のプロセスでは、ワークショップやアンケート調査、市民説明会など意見や考えを聞く場はあったが、どれも一方向での意見を伝える場となっていた。その結果、市民が伝えた意見がどう反映されているのか不明瞭となるとともに、市側の方針に対して市民の意見をいう場がないと感じた市民が多く、上手く合意形成することができなかった。

➂情報の発信不足
 これまでの新庁舎整備の状況について広報誌を中心に情報発信を行ってきたが、多くの市民に対して伝わっていなかったという状況がある。特に、(旧)基本構想 、(旧)基本計画(案)の経緯について、広報や新聞、HPに掲載されていたが、どういう属性の人がどういう議論をして、どう決定したのかが、伝わっておらず合意ができていない理由となっている。

④機能・規模・候補地などの課題の情報提供不足
 新庁舎に関する機能や規模、候補地などの課題の前提条件を市民に広く情報提供できておらず、理解を得ることができなかった経緯があった。また候補地別の費用の算出の仕方に対しての指摘意見が多く、合意形成ができなかった理由となっている。

そして、市民との合意を形成するために必要な進め方も示されました。
①新庁舎整備の進め方の明示
②市民と対話する
③情報発信を強化する
④前提条件の情報共有

 これらの検証に基づいて、これからの新庁舎整備の進め方について示した「新庁舎整備ロードマップ」を2023年3月に定めました。


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