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シン市役所:解体新書|#2市役所って、必要なの?

 こんにちは。美濃加茂市長の藤井浩人です。
#2は『市役所って、必要なの?』と題してお送りします。

 新庁舎の話をしていると「そもそも市役所なんて必要なのか?」という話を聞くことがあります。 今回は、なぜ市役所が必要なのか。についてお話ししていきます。
※建替えについては次号以降で掲載します


1.市役所とは何か?

 まず、市役所は何か?という点からお話しします。
 美濃加茂市のような市町村は、地方自治法において普通地方公共団体と定められています。新宿区や渋谷区のような東京23区は特別地方公共団体と定められています。都道府県と違い、市区町村は最も身近な行政単位として、基礎自治体と呼ばれています。

 基礎自治体は住民サービスなどを行います。そこでは市民の窓口や事務処理を行う必要があるため、どの基礎自治体にも役所や役場が存在しています。職員、市長が執務をする場所であり住民サービスをする場所が市役所です。

2.美濃加茂市の成り立ち、人口増加と庁舎新設

 そもそも美濃加茂市は、1954年(昭和29年)に、8町村1区域(太田町、古井町、山之上村、蜂屋村、加茂野村、伊深村、下米田村、三和村、和知村の一部)が合併して誕生しました。今年で70年。

出典:岐阜県町村合併史付録

 当初は「加茂市」という案もありましたが、美濃国加茂郡から美濃加茂となったそうです。ちなみに、加茂市は新潟県に存在し、市制施行は美濃加茂市と同じ1954年です。
 ちなみにちなみに、美濃太田駅の名前が「なぜ美濃加茂駅ではないのか」と聞かれることがありますが、美濃太田駅の開業は1921年。当時、加茂郡太田町に位置したためそのままの名前となっているためです。美濃加茂市よりも美濃太田駅の方が古いのです。

 その後、1961年本庁舎が建設されました。当時は十分な規模であったのでしょうが、年々増加する美濃加茂市の人口、年々増加する行政サービス、必要な職員の増加。こうした背景から、1979年西館、1990年分庁舎、2022年健康プラザと建物が増えていきました。書籍にも「住民要望の多様化に伴う行政事務増大から、市庁舎が手狭になり」の一文があります。
 ちなみに、昭和29年時点の市役所職員数は104名、これと別に市費職員という職種が57名。また、昭和28年9月の人口が約31,629人であり、2023年12月の人口は57,518人となっています。

3.市の職員数は多すぎるのか?

 市役所で働く人数は2023年12月1日現在、正職員348名、会計年度職員157名。各施設にはそれぞれこのように分散しています。
【内訳】
本庁舎:正職員89名、会計年度職員(月額)34名
西館:正職員66名、会計年度職員(月額)27名
分庁舎:正職員51名、会計年度職員(月額)10名
保健センター:正職員33名、会計年度職員(月額)11名
各地域の連絡所(交流センター)、プラザちゅうたい、みのかも文化の森など、出先に正職員109名、会計年度職員(月額)75名
↑ 市民の皆さんに近い施設に、結構多くの職員がいます。

 なんだか多いんじゃないかと思われる方もいるかもしれません。もちろん、デジタル化による業務効率化や民間への委託などにも取り組んでいます。しかし、社会が複雑化している昨今、また、基礎自治体の役割が大きくなっていくこれからを考えると、職員の人数は容易には削減できないと予想しています。そして、どれだけデジタル化が進んでも、市民の皆さんの最も近い行政として、顔と顔が見える関係、Face to Faceで対応する役割は無くなりません。

 ちなみに、総務省が発表している「類似団体別職員数(R4.4.1)」という自治体の分類があります。 令和4年4月1日時点で美濃加茂市の職員数は322人。 規模や産業構造が近い[一般市Ⅱ-2](※)の78自治体のうち、人口1万人に対する職員数は56.32人で全体の75位(最下位から4番目)、 面積10㎢あたりの職員数は43.04人で全体の32位となっています。
※一般市Ⅱ-2は人口50,000~100,000人かつⅡ次Ⅲ次産業の割合が90%以上かつⅢ次産業割合が65%未満である市を指します(https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/c-gyousei/ruiji-dantai/index.html)

 類似自治体を少し並べてみます。

 これらの数値(※)は一概に多ければ悪い、少なければ良いというものではありませんが、実態のデータです。 客観的に見て、美濃加茂市は職員数が多いわけではなく、どちらかと言えば少数精鋭で対応している状況と言えそうです。

結論:市役所は必要

 以上の情報を踏まえて、いかがでしょうか。何となくいるの?いらないの?と思っていた市役所は、①市職員の働く場=皆さんへの行政サービスを遂行する職場であり、②Face to Faceのサポートをする窓口でもあります。
また、多くの出先機関があることも御認識いただけたと思います。
 
これからも市民の皆さんの生活を支えるうえで、市役所機能は必要だと考えています。

参考文献:美濃加茂市史

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