見出し画像

ゲイ大学生 はじめての両思い #21

大学4年生の夏。
僕は一目惚れをしました。
その相手は近所の小売店の店員さんでした。


そこで接客をしてくれた店員さんは見た目がとてもタイプでした。
お目当ての商品も買えたし、イケメンの店員さんに接客をしてもらえて内心ウハウハでした。

そして、自宅に帰りゲイ専用のマッチングアプリをみていると
なんとなくその店員さんに似ている人を見つけました。

でも、載せている写真がプリクラだったのでよくわからなくて本当にその店員さんだなのか確証は持てませんでした。
マッチングアプリで見つけたその人が、仮に今日会った店員さんだったとして
僕のことなんかなんとも思ってくれないだろうな…。


そんな思いもありながらもマッチングアプリで見つけた人が接客をしてくれた店員さんだったのか確かめたい気持ちもあり
後日、同じお店へ買い物に行きました。


事前に購入したい商品の目星はつけていたのですが、種類が多くどれを購入したらいいかわかりませんでした。
先日、僕に接客してくれたあのイケメンの店員さんも店内にいました。
声をかけようとしましたが他のお客さんの接客をしていたり、忙しそうにしていたためなかなか声をかけられずにいました。

30分ほど、店内をウロウロしながらその店員さんに声をかけるタイミングを見計らっていましたが結局、声をかけるタイミングが見つかりませんでした。

遠目で見る店員さんは、アプリにいたその似ている人と一致するのかどうかはわかりませんでした。
当時のプリクラって顔が変わりすぎてて本当によくわかりませんでした。

本当はその店員さんに接客をしてもらいたかったけど、これ以上何もせずに店内をウロウロしていたら不審だし、もう待てないと思い諦めて近くにいた年配の店員さんに声をかけました。


「あの、すみません。こういう商品がほしくて…。」


「あー、わかりました。担当を呼んでくるので、少々お待ち下さい。」


そう言ってその年配の店員さんは店の奥に消えていきました。
しばらくすると、別の店員を引き連れてその年配の店員さんが戻ってきました。


年配の店員さんが連れてきた店員は、紛れもなく
僕が接客をしてほしかったあのイケメンの店員さんでした。


「こないだの学生さんだよね。また来てくれたんだ、ありがとね。今日はどうしました?」


奇跡が起きました。

心臓を撃ち抜かれました。

ドキドキが止まりませんでした。

その年配の店員さんは、僕が会いたかった人を連れてきてくれました。
しかも、その店員さんは僕のことを覚えてくれていて気さくに声をかけてくれました。


本当に嬉しすぎて心踊っていました。



そしてその夜、その店員さんに似ている人とマッチングアプリでマッチングしました。



手が震えました。
夢なんじゃないかと思いました。

高鳴る気持ちを抑えて、落ち着いてメッセージを返しました。


他愛のない内容のメッセージを数通やりとりをして、すぐに会う約束を取り付けました。




このマッチングした人は、僕が会ったその店員さんかもしれない。
確証はないけどそんな気がしてしょうがなかったです。

もしかしたら自分の思い違いで、全くの別人かもしれないけど

あの店員さんだったらいいな…。
と淡い期待を抱いていました。



そして約束の日。
相手が指定してくれた待ち合わせ場所に向かいました。

車で迎えに来てもらい、夕食を食べに行く予定でした。
時間よりも少し早めに待ち合わせ場所に到着し、ドキドキしながらアプリの相手を待っていました。

待ち合わせ時刻ちょうどに事前に聞いていた車種の車が現れました。


「いま着いた車だから、助手席に来てくれる?」


メッセージが一通届きました。




恐る恐る、その車に近づき助手席の扉を開けました。




扉を開けた瞬間に現れたのは僕の知っている顔でした。




「はじめまして…じゃないよね。こないだはありがとね」



迎えに来てくれた彼は、はにかんでそう言って僕を迎え入れてくれました。


一瞬時間が止まったような感覚がしました。



奇跡が起きました。


本当に本当に嬉しかったし、自分が期待していたことが目の前で起きて
これまで運命とかって言葉を信じたことはありませんでしたが、これって運命じゃないのかと心の底から感じました。


そして、夕ご飯を食べて
流れで僕の家に行く流れになり…。

その日は、一夜を共にして
翌朝、彼は帰っていきました。

そしてそれから毎日、仕事終わりに僕の家に来てくれて
僕の家から出勤してくれるようになりました。

アプリで会ってから一週間で彼から告白され、僕達は付き合うことになりました。


付き合ってからの時間は
本当に、本当に、本当に幸せでした。
夢のような素敵な時間でした。

僕は彼と出会って
初めて、好きになった人に好きになってもらう体験をしました。

好きな人に好きって言ってもらえることがこんなに幸せなのかと
好きな人に好きだと言えることがこんなに幸せなことなのかと
一緒にいるだけでこんなに安心できるんだと
二人だとこんなに心地がいいのかと

彼が僕に初めて体験させてくれました。

たくさんの幸せな体験を彼がくれました。
彼はたくさんのはじめてを僕に経験させてくれました。



そして約2年程のお付き合いを経て
僕たちは別れました。
大好きで大好きでしかたがない彼に、僕から別れを告げました。

はじめての感情でした。
どんな感情だったのかわからないくらいにいろんな感情でぐじゃぐじゃでした。
時間を戻したいって心の底から思ったのはこのときが初めてでした。

別れるなんて思っていませんでした。
ずっと一緒にいられていることが当たり前で
これからもその当たり前が揺らぐことなんてないと、当時の僕は疑いもしていませんでした。



次回以降で、彼と付き合ってからのことと僕たちが別れるまでのことを書きたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?