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20代前半ゲイのセフレ(1)#66

ゲイデビューして数年経った僕はゲイコミュニティにも慣れてきて、ゲイマッチングアプリを駆使して人と会うことにも抵抗がなくなっていました。

20代前半で僕がいわゆる“セフレ”と呼ぶにふさわしい関係になった人が数人いました。



一人目:30代後半 会社員
見た目はそんなにタイプじゃなかったけどとにかく優しかった。
いつも食事代・デート代を奢ってくれる。
セックスの相性は✕
だけど、求められたら断りづらくてやっていた。
ドライブが好きでよく色々なところに連れて行ってくれた。


その人とは、大学生のときに知り合いました。
とにかく優しい人でした。


「ひろトくんのことタイプなんだよね」

「今度、家にいっていい?」

「デートしたいな」

「かわいいね」


そんな感じで、思ったことを恥ずかし気もなく平気で言えてしまうタイプの人でした。
その人はいつも僕のことを褒めてくれるし、優しくしてくれるし、食事も奢ってくれるし、一緒にいて悪い気はしなくて気がつくと頻繁に会うようになっていました。

彼からのアプローチは積極的で知り合って間もなく身体の関係を持ち、僕たちは定期的に身体を交える関係になりました。


僕はその人のことは全然タイプでもなかったし、そういう行為をすることは心地よく感じていませんでした。
だけど、食事も奢ってもらっているし…。
いつも車も出してもらっているからな…。


と、その分の代金だと思い彼とそういう行為を続けていました。



ほどなくして、僕は彼から告白されました。
告白といってもちゃんとした告白ではなくて


「ひろトは俺のこと好きなのー?俺ら付き合ったりはしないのー?」


といったような、ちゃんとした告白ではなくて
実質、告白かな?
といったような感じでした。


僕は正直に自分の気持ちを彼に伝えました。
「付き合わないかな。恋愛とか、そういう感じじゃないじゃん」


彼はその言葉を聞いて
彼なりに僕との関係を割り切ったようで
それ以降は付き合いたいといった旨のことは言ってこなくなりました。

それ以降も、僕たちは定期的に会っていましたが
正直、好きでもないしタイプでもない彼とそういう行為を行うことに限界を感じていました。


そんな矢先に、僕は彼との行為を断ってしまいました。


行為を断った僕に対して、いつも優しかった彼は明らかに不機嫌だったように思います。
そしてその日を堺に、彼との関係は終わりました。

それ以降、彼から連絡がくることはなかったし
僕から連絡をすることもありませんでした。



結局、最終的には彼は僕と身体の関係を持つことが目的になっていて
僕は彼からご飯を奢ってもらったり、どこかに遊びに連れて行ってもらうことがお互いの会う目的になっていました。

僕が一方的に彼の気持ちを弄んだようにも捉えられるかもしれませんが、だけど恋愛と友達とセフレ。
その境界線ってどこにあるんでしょうか。
すごく微妙で、すごく曖昧な感じがするんですよね。

当時の僕は、友達に彼との関係を話したときに

「そんなに会ってるのになんで付き合わないの?」
「好きでもないのに、なんでそんなに会えるの?」
「それって、相手の気持ちを弄んでるだけじゃない?ひどいよ」


そんなことを言われた記憶があります。

だけど、当時の僕からしたら
都合がいいから会っていただけで
向こうから誘ってくれるから会っていただけで
交際する意思がないことも僕は伝えていたし
彼だってそれを承知した上で僕と会っている

それなのに、咎められてしまう理由が分かりませんでした。

結局は、お互いの利害関係が一致していたから会っていただけの関係で
対人間としての関係は全く構築できていなかったのだと思います。

彼は、最初は僕に対する恋心があったことは間違いありませんでした。
しかし僕にとってその彼の好意は、そんなに心地よいものではありませでした。


彼の好意の向いている方向が、僕の人間性や価値観ではなくて
僕自身の外見に向いているんじゃないかなと感じました。

彼から見えている僕は、ただの年下の大学生。
若くて初々しくて、筋肉質な身体と付き合いたい。若い子とエッチなことをしたい。


好きにも色々あると思います。
好きな相手と触れ合いたいと思うことは自然なことだと思います。
だけど、僕は彼のあからさまに下心が見えてしまう部分に一歩引いてしまっていた自分がいたように感じます。

僕が恋愛感情として彼に惹かれなかった一番の理由は彼の外見がタイプじゃなかったことではなくて
別に僕じゃなくてもいいじゃんと思ってしまったことだったんじゃないかなと思います。

うまく言葉にできないけど
僕なんかより若くて、筋肉質で、かわいい子なんてそこらじゅうにいるのに
そんな中で、僕じゃなきゃいけない理由がないように感じてしまいました。

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