エッセイ 自転車のスタンドの大型化と快適化

先日朝からベローチェで窓際の席に陣取って外を見ていた時である。歩道に沿って自転車が停めてあったのだが、スタンドががっしりしているのがかなりあることに気付いた。昔で言う中国式である。新聞配達用の自転車のスタンドである。20~30年前はかっこが悪いと人気がなかったはずである。今それが普及しているのは、荷台に子供を乗せる大きなかごをつけているからだろう。かごが大きくて重いため、幅の狭いスタンドでは安定が悪いのだ。

私が子育てをしていた25~30年前は、ただ両足を外に出せるホロのないむき出しのかごだった。当然風雨にさらされる。だから子供に雨具を着せた。もちろんそれでは防げなかった。当時はそれが当たり前だった。雨が降れば濡れるものだったし、冬には寒風にさらされるものだった。

最近の子供を乗せるかごはシートに覆われている。雨にも当たりにくいだろうし、寒風もかなり防げるだろう。外からは子供の顔さえ覗けない。
どんどん快適化が進んでいってるようだ。

快適化は子供だけで進行しているのではもちろん無く、大人自身が強く快適を求めるようになった結果なのだろう。
てんやもの、今でいうデリバリーサービスを利用する人も増えた。技術革新が起こってウーバーイーツが出来てからはなおさらだ。

快適化はとどまることが無いだろう。私が子供の頃、網戸は破れっぱなしで、夏には蚊が入ってきて、刺されるのが当たり前だった。冬には足の指に霜焼けが出来たが、あの頃が懐かしい。あの頃のことを思い出すと、もっとすべてが生き生きしていたような気がするが、子供だったからだろうか、それとも不便な生活は人を生き生きさせるのだろうか。


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