【違いが分からん!】当帰、唐当帰、大和当帰は何が違う?
漢方薬の学習の際に当帰、唐当帰というものが出てきます。
この二つの違いは皆さん分かりますか?
合わせて奈良県で有名な大和当帰の違いについて整理しました。
これらの違いは、主に植物の種類・地域特性・成分・用途によって区別され、それぞれ異なる特徴や効能があるとされます。
今回当帰の細かい分類について調べてみました。
※個人調査につき誤りがある可能性大です。ご了承ください。
1. 当帰(Angelica acutiloba Kitagawa)
学名:Angelica acutiloba Kitagawa
主な産地:日本の本州中北部(奈良、和歌山、北海道など)
特長と効能:
日本で「当帰」と呼ばれる植物の一種で、補血や血行促進、婦人科疾患の改善に効果があります。
特に、婦人科系のトラブル(生理不順や生理痛、冷え性など)や体力回復に用いられる生薬です。
日本で栽培される当帰は、血液循環を改善し、冷え性や貧血などに対して効果が高いとされています。
日本の気候に適した栽培が行われ、日本人の体質にも合いやすい特徴があります。
この「当帰」は、日本の生薬としてさまざまな漢方薬に含まれ、補血作用が強く、婦人科系の治療に多く用いられています。日本国内では奈良や和歌山などで「大和当帰」、北海道で「北海当帰」として栽培されています。
2. 唐当帰(Angelica sinensis)
学名:Angelica sinensis
主な産地:中国、韓国(涼しい高原地帯が多い)
特徴と効能:
唐当帰は、中国で広く栽培される当帰の一種で、特に血行促進や補血作用が強く、婦人科疾患の治療に使用されています。
中国では婦人病の治療における「聖薬」とされ、多くの漢方処方に含まれます。血行を改善するため冷え性の解消にも有効です。
香りが強く、薬効成分であるアルキルフタリド類(リグスチリドやブチルフタリド)を含むため、血管拡張作用、冷え性改善、美白効果も期待されています。
唐当帰は日本の「当帰」とは異なる種であり、中国で「当帰」として使用されていますが、日本ではその違いを明確にするために「唐当帰」と呼ばれています。
3. 大和当帰(Angelica acutiloba Kitagawa var. sugiyamae)
学名:Angelica acutiloba Kitagawa var. sugiyamae
主な産地:奈良県の大和地方
特徴と効能:
日本特有の品種で、特に奈良の大和地方で栽培されています。地域特産として生産され、品質が高く、日本人の体質に合いやすいとされます。
漢方や医薬品だけでなく、食品や入浴剤としても利用され、香りが穏やかで、消化吸収が良い特徴があります。
補血作用や血行促進、婦人科系疾患の改善に加え、日本人の体質に特に適した成分構成とされ、ホルモンバランスの調整効果もあります。
大和当帰は、日本で古くから「婦人病の聖薬」として親しまれており、地域の伝統的な生薬として現在も重要な役割を果たしています。
4. 北海当帰
学名:Angelica acutiloba Kitagawa var. sugiyamae(大和当帰を基に品種改良)
主な産地:北海道
特徴と効能:
北海道の気候に合わせて品種改良された日本原産の当帰で、大和当帰を基に開発されています。
特に根が太く、香りが強いため、薬効成分を多く含むとされ、補血や血行促進において高い効果が期待されています。
主に貧血、冷え性、月経不順の改善に使われます。
比較表
種類学名主な産地特徴効能
当帰Angelica acutiloba Kitagawa本州中北部、日本全般補血作用強く、日本人の体質に合いやすい血行促進、婦人科疾患の改善
唐当帰Angelica sinensis中国、韓国補血と血行促進が強く、香りも高い冷え性、婦人科疾患、美白効果
大和当帰Angelica acutiloba var. sugiyamae奈良県大和地方消化吸収が良く、香りが穏やか日本人向けの補血、血行促進
北海当帰Angelica acutiloba var. sugiyamae北海道根が太く、香りが強い血行促進、貧血、冷え性改善
まとめ
当帰:日本で多く栽培され、日本人の体質に適した補血・血行促進に優れる。大和当帰や北海当帰も日本で栽培される当帰の一種。
唐当帰:中国や韓国で栽培される原種で、特に血行促進と婦人科疾患の治療に多く用いられる。香りが強く、アルキルフタリド類などの薬効成分が豊富。
大和当帰:日本・大和地方特有の当帰で、日本人の体質に合わせた伝統的な生薬。大和地方で生産され、消化吸収が良い。
北海当帰:北海道で栽培される当帰で、大和当帰の品種改良型。根が太く、香りが強い。
※漢方薬でいわゆる当帰となっているものでも中国産の可能性あり。
唐当帰については中国産で確定?大和当帰を使っている漢方メーカーもあるのかもしれませんが、ほとんどないと推測される。