【酸っぱいものを食べたい・苦手?】中医養生学

今回は酸味に関する中医学の解説をさらに掘り下げます。

1. 酸味の基本的な作用

酸味は中医学で重要な味の一つで、以下の特徴を持っています。

  • 収斂作用: 収斂とは、物質を引き締め、凝縮する働きです。酸味が収斂作用を持つことで、体内の余分な液体(汗や涙、唾液、尿など)を適切に管理し、過剰な流れを抑えます。

  • 止血作用: 酸味は血を収斂し、出血を止める力を持ちます。例えば、切り傷や出血した場合に酸味の食材を摂取することで止血を助けることができるとされています。

  • 止咳作用: 酸味の食材は肺を収斂させるため、咳を止める働きもあります。特に慢性的な咳や虚弱な肺に対して有効です。

  • 固渋作用: 体内の無駄な水分や湿気を引き締め、排出する作用を持ちます。これは特に湿気や余分な水分が体内に滞留している場合に有効です。

2. 酸味が関連する臓腑

酸味が特に影響を与える臓腑は「肝」です。

  • : 酸味は肝に帰属します。肝は気の流れを調整する働きがあり、酸味は肝を疏泄(気の流れを促す)作用を強化します。このため、酸味を摂取すると、イライラや怒りっぽさ、精神的な気鬱が緩和されることがあります。しかし、過度に酸味を摂取しすぎると、肝を刺激し、逆にストレスや不安が増す可能性もあるため、バランスが重要です。

  • 血液関連: 酸味は血液の充実にも関与し、血の循環を促進します。これにより以下のような症状を改善することができます:

    • 目眩: 血がうまく流れていない場合、酸味が血液循環を改善し、目眩を予防することができます。

    • 手足の痺れ: 血行不良による痺れも、酸味を摂取することで改善が期待されます。

    • 月経不順や閉経: 酸味は血の充実を助け、月経周期やホルモンバランスの安定に寄与します。

  • 筋肉や爪: 酸味の摂取が足りないと、筋肉の痙攣やこむら返りが起きやすくなることがあります。また、酸味が不足すると、爪が割れるなどの症状も現れることがあります。

3. 酸味を嫌う/極端に欲する人

中医学では、酸味を摂取することで体調や体質が調整されますが、逆に過剰に酸味を求めることや酸味を嫌うことは、その人の体調に異常があることを示唆します。

  • 酸味を嫌う人: 酸味を極端に嫌う人は、肝機能や消化器官に問題がある可能性があります。酸味は肝に関連しているため、肝が弱っている場合には酸味を避ける傾向があります。また、肝の疏泄機能が低下している場合、酸味が過剰に摂取されることを嫌うことがあります。

  • 酸味を極端に欲する人: 反対に、酸味を過剰に欲する人は、肝の虚弱や消化不良、または体内の熱が過剰になっている場合があります。過剰に酸味を摂取することで体内の熱を冷ますことができるため、体がそのバランスを取り戻すために酸味を求めるのです。

4. 酸味が含まれる食材

酸味を持つ食材は多く、これらは肝の調整や血の循環を助けるために有効です。

  • 柑橘類: 金柑、グレープフルーツ、シークワーサー、すだち、かぼす、みかん、ライチ、レモン、ゆず、クランベリーなど

  • 果物: 梅、梨、プルーン、ラズベリー、いちご、キウイフルーツ、ザクロ、すももなど

  • 特殊食材: 小豆(あずき)、クジラ肉、チーズ、ヨーグルト、ブリ、ローヤルゼリー、ローズヒップ、酢など

これらの食材は酸味を含んでおり、肝機能を助け、気の流れを促進します。また、消化を助け、体内の余分な熱や湿気を取り除く役割もあります。

5. 酸味の活用法

酸味の食材は、体内のバランスを取るために非常に効果的です。例えば、レモン水やシークワーサーを飲むことで、以下の効果が期待できます:

  • 発汗を促す: 酸味は体内の熱を冷ます作用があるため、暑い季節や汗をかきやすい時に役立ちます。

  • 消化を助ける: 酸味は消化器官を刺激し、食欲を促進し、食後の満腹感を和らげるのに効果的です。

  • 利尿作用: 酸味が利尿を促し、体内の余分な水分や毒素を排出する助けになります。

結論

酸味は肝機能の調整、血液の循環、筋肉や爪の健康に影響を与える重要な味です。適切に活用することで、体調を整え、特にストレスや消化不良、体内の熱が過剰になっている場合に効果的です。ただし、酸味を過剰に摂取することは肝に負担をかけることがあるため、バランスを取ることが大切です。

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