商標実務に関するオンライン公開ディベートに参加しました
知財業界ではちょっと名の知れた「知財実務オンライン」というyoutubeチャンネルがあります。
このyoutubeチャンネルの運営者の加島先生と押谷先生が「知財実務オンライン」を商標出願したところ、情報提供(*1) がなされました。
これをネタにして "特別回" にしてしまうところが先生方のタダでは転ばないところ。
"特別回" として
「前代未聞!自分たちの商標登録出願に対する情報提供を題材に、 商標の登録可否を検討する」
と仕立てて上げられました。
そして、わたし は、この"特別回"の選手(?)として出演しました。
*1: 「情報提供」とは、出願された商標が登録できないという主張を、証拠資料とともに提出して、登録を阻止しようとする手続です。提出された主張・証拠は、出願人に送られます。
今回の情報提供での主張は、「この商標は商品・サービスの内容を表しているだけだし、また、誰の商品・サービスか認識させられないので、登録できない」というのが主なポイントです。
ちなみに、だいぶ前に、「知財実務オンライン」を出願したという加島先生の話を初めて聞いたときは、ぶっちゃけ、「それは登録にならんやろー」と思いました(笑)。すみません(笑)。
ですが、この"特別回" 出演のお話をいただいてから、この名前に妙な(?)愛着がわいてきて、「登録になるといいな!」という気持ちに変わってきました。
なので、あえてディフェンス側チームに手を上げさせていただきました。
判決や審査基準等に素直に従うと、まあ登録できないだろうなあという案件ではあります。その王道のロジックは、オフェンス側がかなり主張されていたところです。
審査基準- 3条1項3号(判決の判断を反映)
商標が、その指定商品又は指定役務に使用されたときに、取引者又は需要者が商品又は役務の特徴等を表示するものと一般に認識する場合、本号に該当すると判断する。
一般に認識する場合とは、商標が商品又は役務の特徴等を表示するものとして、現実に用いられていることを要するものではない。
審査基準 - 3条1項6号
本項第1号から第5号までに該当しないものであっても、一般に使用され得る標章であって、識別力がない場合には、本号に該当すると判断する。
ディフェンス側は、識別力がなさそうなもの(すみません汗)を「ある」と言いくるめるわけなので、変則技(反則技も!?)でなんとか押し通したいところ。
とはいえ、われながら「ここはこう突っ込まれるよね」と予想したところは、きれいに突っ込まれました(笑)。
(※実は「これ言われたら試合終了になるな」という点については、明確に突っ込まれなかったので、試合が続いていた感じです(途中ちょいちょいかすめてきてたので、冷や冷やしてました(笑))。)
ですが…
なんというか、商標実務やっている先生は感覚としてわかると思うんですが、こういった案件でも、変則技で頑張ってみると結構登録になるケースがあるんですよ。「あれ、登録なっちゃった?」みたいな(自分でいうのもなんですが)。
なので、実際の実務では、拒絶理由通知きてもあきらめずに頑張ってみるのは絶対アリです。
ただ、登録すること自体が目的になってしまっては意味がないです。
そもそも、なにを目的として商標登録したいのか?
ブランディングとしてみたときに、その商標を登録することがどのような意義を有するのか?
を考えて、頑張るか頑張らないかを決定すべきですね。
そういうところまで考えていただける弁理士さんとお付き合いされることをお勧めします。ちなみに、ひろたは結構考えます(←なにげに宣伝 笑)。
今回のディベートでは、ある意味、再反論できるよいネタを提供いただきました。しかし、もし審査官が見てたら、そっちにもネタ提供してしまっている(笑)。
ということで、「知財実務オンライン」の出願に拒絶理由通知が来たら、冷や冷やした点も改善しつつ、意見書を弁理士総当たりで書いてみよう!(笑)