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苦手な人と質問力

自分の仕事は主にインタビューと執筆です。

以前は経済事件の取材とか企業の不正を追及するとか、ジャーナリスティックな事もやってたのですが、結局マンツーマンのインタビューの方が向いている(てか圧倒的に正義感や社会的使命感が不足しているため)という理由で、今はほぼそっちに特化しています。

まぁ、不器用なりに10年以上インタビュアーをやってると、それなりに見えてくる事もあるわけで、今回は「質問力」と「人間力」の関係について書きます。何か偉そうでスミマセン。

苦手な人をラインアップしてみた結果

先日、ある人に対してすごく嫌〜な印象を持って(というより以前から苦手だったのを再確認して)、改めて自分が苦手な人を頭の中でリストアップしてみました。「嫌な奴」だけ何人も思い出したので吐きそうになりました。暇ですね。

その人たちの共通点って、見事なほど他人に質問しない人だったのです。

ここでいう質問とは
「あの件だけどどうなった?」
「あれって何の話だっけ?」
みたいな確認のための質問は含みません。

「あなたの出身はどこですか?」とか
「あなたの趣味はなんですか?」など、
相手に関する事を聞いて話を膨らますため、もしくは
「今のコロナ対策についてどう思う?」
「営業の○○さんのおっパブ好きを役職に例えたら部長クラスかな?それとも課長止まり?」
など、相手の考え方や返し方を知るための質問を指します。ちなみに出身地を聞いといて「ふーん」で終わるなら聞かない方がマシです。

つまり、目の前の相手に対する興味・関心がどれだけあるか、なんですね。

質問してこない人は、基本的に目の前の相手や物事を掘り下げる事ではなく、自己主張を通す事、自分を知ってもらう事の方に興味があります。要するに承認欲求が強く知的好奇心が薄い人です。「あいつは仕事が出来ねえ。俺が若い頃は」と愚痴ってる実は自分が一番仕事が出来ない上司によくいるタイプですね。

合コンでモテない決定的理由

この辺り、勘違いすると痛い目に合います。なんたって合コンでモテない事この上ありません。

実は昔、僕はこのタイプでした。女子に「吉田さんって○○なんですか〜」と質問されてひたすら答えるのみの関係は長くて1時間で終了です。気持ち良く質問に答えてちょいと話を大袈裟に盛ったりして相手も笑ってるから気に入られてるかな、と思いきや、コミュニケーション能力の高いイケメンにさっさと持って行かれる憂き目に何度か遭いました。

思い返すとイケメンは女子に要所要所で質問し、己を知ってもらうより相手の良さを引き出す技を無意識に繰り出していたのです。

当時はイケメンに持ってかれるのは仕方ないと自分に言い訳していましたが、ブサイクだからこそコミュ力を磨かなければならなかったんです。コミュ力最強レベルまで高めてイケメンに負けるなら本望です。スクールウォーズの山下真司はイソップにこう言いました。「勝てる戦いなら誰でもやる。負けると分かっている戦いに挑む事に命の尊さがあるんだ」と。いや、結局イケメンが勝つのかと。

質問はするよりされた方が圧倒的に気持ちいいです。だから気持ち良くしてもらった分、相手を気持ち良くしなければならないのです。結局、僕が苦手な人たちは僕を気持ち良くしてくれない人たちだったのです。これが分かって腹落ちした次第です。

子どもの怒りを鎮める事に成功

なんて事を考えていたら、丁度いい事例が我が家で起きました。
5歳の長男、ある日ブロックでこんな物を作りました。

翌日も同じ物を作ろうとしましたが、途中で失敗して崩れてしまいました。長男は
「ゔぁ〜!出来ないよおお!崩れちゃうよおお!」と号泣、絶叫しながら自暴自棄になって組み直しますが何度も失敗します。やり場のない怒りで全身をワナワナ震わせています。

そこで彼を呼んでこんなやり取りをしました。
「どうして泣いているの?」
「ブロックが...グヒッ、崩れちゃうー」
「そうかー、崩れちゃうから悲しいんだな」
「もう無理ー!..グスっ、出来なーい!」
「上手く出来ないと悲しいよなー。ところで昨日は上手く出来たのにね。どうして今日は上手く出来ないんだろ?」
「分かんないよぉ!」
「じゃあ昨日の事思い出してみようか。そう言えば、昨日はもっとニコニコ楽しそうにブロック積んでた気がするなぁ」
「....」
「昨日は楽しかったよね?なんでだろう?」
「上手く積めたから」
「今日は楽しくないよね。すぐ失敗しちゃうからかな」
「うん」
「じゃあさ、昨日みたいにニコニコ楽しみながら今日は違うの作ってみたら?途中で崩れたらやり直せばいいじゃん」

気を取り直して再トライした結果

前回とは違いますが満足いく作品ができました。
まあ、実際のやり取りはもう少し複雑だったんですが、質問によってやる気を引き出す事には成功したようです。次回は合コンで試したいと思います。
#コラム
#エッセイ
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