見出し画像

スターバックスの「Investor Day 2022」の全内容を日本語で要約してみた(2)

最初の記事から読む場合はこちら👇

🚨 できるだけ正確な要約に努めましたが、こちらの記事はあくまでも私個人が公式の書き起こしを片目に動画を1.5倍速で見ながら要約したものですので、私の興味が低いセッションは微妙に割愛されてたり、意図せず誤った内容になっている可能性があります。あくまでも正しい情報は以下の公式サイトからご自身で確認をお願いします。

目次

  1. イントロダクション

  2. ミッションとアンビションの話(Howard Schultz, Interim CEO)

  3. 「Reinvention」について(Frank Britt, CSO)👉 この記事

  4. 「パートナー」について(Frank Britt, CSO)👉 この記事

  5. 「カスタマー」について(Brady Brewer, CMO)

  6. 「ストア」について(John Culver, COO)

  7. スターバックス中国について(Belinda Wong, China Chairwoman)

  8. 北米と中国以外のスターバックスについて(Michael Conway, Group President, International and Channel Development)

  9. CPG(Consumer Package Goods)について(Chanda Beppu, VP of Global Channel Development)

  10. 「テクノロジー」について(Deb Hall Lefevre, CTO)

  11. 財務目標について(Rachel Ruggeri, CFO)

  12. アナリストからのQ&Aセッション

「Reinvention」について by Frank Britt, CSO

スターバックスにおける「Reinvention(再発明)」とは?

  • スターバックスは変わる必要がある。今までで最高の自分自身になる必要がある

  • その計画とは「Reinvention」である。スターバックスはコーヒーハウスであり、コーヒーハウスとは「ストーリー」だ。今日は我々の新しいストーリーを伝える

  • Reinventionを具体的に落とし込むと以下の3つ

    • 優先順位づけ

    • 基本的なパートナー体験の改善(目に見える、目標のある改善)

    • U.S.直営店のグリーンエプロン(店舗)パートナーから始まる

Reinventionの計画は5ステップ

  1. ミッション

    • スターバックスはプレミアムコーヒーカンパニーである。フードカンパニーじゃない

    • Bean to cup at scale を実現する(上流から下流まで全てをカバー)

  2. パートナー

    • (次のセクション)

  3. カスタマー

    • (CMOのセクション)

  4. ストア

    • (COOのセクション)

  5. トゥギャザー(つながり)

    • パートナーと新しい、今までとは異なる関係をつくっていく

  • 今日は最も重要な「パートナー」「カスタマー」「ストア」について深く説明していく

ヒロシメモ
・Investor Day 全体で特定のワードの出現回数を調べてみた。
・最も重要と言っているだけあってパートナー(282回)、カスタマー(257回)、ストア(295回)の出現回数は 「Starbucks(614回)」 を除くとトップ3。Coffee(199回) というワードよりも使われている。

「パートナー」について by Frank Britt, CSO

パートナーとカスタマーからの「信頼」が重要

  • スターバックスの最も重要な貨幣は「信頼(trust)」である。PLやBSにはのってない。パートナーとカスタマーの信頼。

  • いまは十分に店舗パートナーとの信頼が作れていない。この課題は大きい

世の中が大きく変化し、スターバックスの「働き方」も変化しないといけない

  • 労働市場が変化しているが、それに合わせてスターバックスも変わらないといけない

  • 50%の外食労働者(US)は一度業界を去ると戻ってこない。外食業界で250万人分のポジションが埋まっていない(空前の人不足)

  • この3年で10億ドルを投資してパートナー体験を向上させる

「働き方」に3つの変化が必要

  1. 労働のフレームの考え方

    • 労働力、から「タレント」へ

    • コストセンター、から「ライフタイムバリュー」へ(パートナーへの投資をコストと考えず、パートナーのLTVで判断する)

    • 伝統的な採用、から「未開拓の労働力市場」へ(50歳以上のシニア・準シニア層へのアクセス)

  2. 労働体験

    • 決まったスケジュール、から「いつでも働ける(anytime shift)」へ 

    • 時給、から「トータルリワード」へ

    • 定型的なキャリアパス、から「パーソナライズされたキャリアパス」へ

  3. ジョブ(業務)の設計

    • 属人的(human-driven)、から「業務フロー・自動化」へ

    • 生産性、から「全人格(whole-person)」へ

    • タレントの奪い合い、から「タレントを作り出す」へ

スターバックスの働く場所としてのブランドはまだ強い

  • トップ雇用者として長く認知されている(AON Award)

  • 過去12ヶ月で18.3万人の店舗パートナーを採用した

  • スターバックスの離職率は 81%、外食業界全体は100%

  • スターバックス内の指標も2022年は改善してきている

パートナーのストレスが多い

  • 商品カスタマイズが多すぎて対応しきれない(テクノロジーや機器がついていってない)

  • コーヒーを楽しんだり、パートナー同士やお客さまとつながる時間が足りていない

  • 感情的にも精神的にもいっぱいいっぱい

  • パートナーが十分にトレーニングされておらず、サポートを求めて不安になっている

  • パートナーは所属感を求めており、コミュニティの一員であることを感じたい

Thriving Partners(パートナーが成長・繁栄する)な状態をつくる

  1. 職場で繁栄する(Thrive at Work)(パートナーの財務的健全性の実現をサポートする)

    • 実施済の取り組み

      • 時給アップ

      • 店舗トレーニングの時間数を倍にした

      • ブラックエプロン(コーヒーマスター)プログラムを再開

    • ローンチ中の取り組み

    • 将来予定している取組み

      • 賃金のイノベーション

      • 福利厚生(病欠手当やメンタルヘルスサポートなど)

      • 認知・承認とつながり(パートナー同士で褒め合ったり、お客さまからデジタルチップをもらうなど)

  2. 個人として繁栄する(Thrive as Individual)

    • キャリア形成をパーソナライズする

      1. 独立的なストライバー(Independent Strivers)

        • シフトの安定性や信頼性の高い給与

        • 福利厚生よりも給与の金額

        • 基本的な生活をしたり家族を支えるためにスタバからの給与に依存している

      2. 情熱的なキャリアビルダー(Passionate Career Builders)

        • スターバックスでのキャリアを成長させたいと思っている

        • スターバックスのさまざまな福利厚生を使う

        • 仕事に情熱的でありスターバックスの積極的な代弁者

  3. 一緒に繁栄する(Thrive Together)

    • ストアマネージャーが重要。マネージャー教育に投資するとパートナー全体の離職率が下がる

    • 具体的な打ち手として:

      • リーダーシップトレーニング

      • シフト作成ツールと、意思決定ツールを再開発

      • キャリアパスのマッピング

    • 3年以上勤務しているマネージャーがいる店舗は

      • -8.1ppt もバリスタの離職率が低い

      • +3ppt も顧客とのつながりが強い

      • +13% も週間売上が高い

なぜ投資家にわざわざパートナーの繁栄の話をして、10億ドルも投資するかというと・・・

  • パートナーに投資すると離職率が下がって労働効率も高くなる。そうするとパートナーのエンゲージメントが高くなり、カスタマーもエンゲージされるので結果的に業績が良くなる

パートナー体験イノベーションセンターつくる

  1. シアトル本社の Tryer Centerで機器やオペレーション、テクノロジー、イノベーションの R&Dをする

  2. イノベーションを加速することが目的。100日でアイデアを実現することを目指している

ヒロシメモ
・働き方の3つの変化の、決まったスケジュールから「いつでも働ける」への変化は、働き方の主導権をパートナーに渡すということ。これからの時代は超重要。
・Thriving Partners のフレームは、ポストCOVIDだけではなくZ世代を含めた新しい働き方に適応していて秀逸。
・ストアマネージャーの勤続期間と店舗やパートナーのパフォーマンスの相関関係を解明し、データドリブンに解決しようとしている。

次の記事へ👉